優美を連れて実家に帰ると言ったんです。
離婚してくれと。
離婚はしない、優美も渡さない。
全てはそのためにやって来た事で千佐子と別れて優美を手放すならばこんなに頑張って耐えては来なかった。
母親がいる実家へ戻ってどんな家庭状況で暮らすつもりなのかと問い詰めました。
いつかは母親に優美は自分の夫が実の娘に孕ませた子だとバレるだろう。
そんな修羅場の家族で暮らせるものか、俺には到底想像もできない。
今もお前は神からの贈り物に変わりなく、優美は俺の宝物だ。
そんな俺と暮らした方がどれだけお前にとって幸せだとは思わないか……
確かにお前はこの一連の謀略の罪によって生涯俺の奴隷として奉仕をして生きてもらう。
だけど、虐げられた奴隷じゃない。
どこまでも俺に深く愛される奴隷なんだ。
そう懸命に説得しました。
「ただし、お父さんとの体の関係だけはもうやめてくれ。過ぎたことは仕方がないけど、それが俺とお前と優美とで幸せに生きていくための最低の条件だから」
声も出さずにポロポロと涙を流しながら何度も頷きました。
抱き締めました。
なんて細く小さな体なんだろうかと、あらためて思いました。
「好きだよ……愛してるよ……千佐子が好きだ」
初めて愛してると言葉にしました。
すると急に堪えられなくなったかのように声を出して泣きはじめるとその小さな体を押し付けてきて言うんです。
ずっと自分を愛して欲しいと、
ずっと私の奴隷として、愛し続けて欲しいと、
優美を可愛がってあげて欲しいと、
幸せにしてあげて欲しいと、
全てを承諾しました。
やっと、千佐子の閉ざされた心の扉を開けられたような気がしました。
でも、終わったわけではない気がします。
確かに暗闇の中からたくさんのオゾマシいものが吐き出されたようだけど、光の届かない暗闇の部屋の奥にうずくまる妖しげなものが残っているのを感じるんです。
だけど、とりあえずは一つ、一歩前進です。
姫がいてくれたから……ここまで来れました。
一歩ずつ、焦らず、試行錯誤しながら歩いて行くつもりです。
この先も色々大変だろうけど、神様からの贈り物と、その贈り物からいただいた宝物を手離さないように頑張って行きます。
ひまり姫に、限りない感謝をしながら……
ありがとうございました。
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