千佐子にしては詰めが甘かったですね。
瑠奈はもう遠くに行くのだからと油断したのかな。
もしかしたら千佐子は未だにパパと瑠奈が頻繁な深いLINEのやり取りを交わしている事を知らないのか……
優美に金曜の引っ越しの時、瑠奈とママの様子を聞きました。
すると、私を大きな瞳でチラチラ見上げると最後はうつ向いて何も言わなくなりました。
「ん?どうしたの?」と聞くとみるみる涙がその目から溢れて、ポタポタとこぼれるんです。
慌てて抱き締めました。
「もういいよ、わかったから泣かないで、う聞かないから何も言わなくてもいいんだからね……」
抱き締めるととうとう声に出して鳴き始めてしまいました。
「ママと、言わないって約束したんだよね?」
無言でしゃくりあげながら頷きました。
「そっかぁ、偉いなぁ優美は、だったら言わなくていいんだ、パパとの約束もずっと守ってくれてるんだよね?」
泣きながら2回頷きました。
頭も背中も抱き締めながら撫でて擦ってあげました。
「パパはね?そんな優美がだあいすきなんだ、だから、もう泣かないよ?もう聞いたりしないからね」
こんな小さな心にどれ程のストレスを俺達は与えてるんだろうか……
胸が針を刺されたように傷みました。
でも、優美が必死に守りとおしたママとの約束はそのあとの瑠奈からのLINEでアッサリとバレてしまいました。
昨日の引っ越しでは千佐子のLINEで瑠奈と優美が楽しく朝から遊んでいると書いていてあったけど、瑠奈の祖父が駅に到着して母親が車で迎えに行くまで優美は保育園に行ってたんだそうです。
つまり……
千佐子と瑠奈が二人っきりになる時間はたくさんあったということです。
なんと、うちに来ていたとも言います。
何をしていたかは……つか、何をサレテイタかは明白です。
そして、それが私にバレないように優美に保育園に行っていた事を固く口止めしたんだと思います。
断片的ではあったけど瑠奈のLINEから読み取れるその行為は口止めをさせるに相応しいものでした。
レズというものはなんて恐ろしいものなんだろう
その性的快感を与えるテクニックは相手が子供だろうがなんだろうが容赦の無いものなんだなと空恐ろしく思えました。
沙絵と千佐子が、七瀬が抜け出せないように、
パパはその事を甘く思っていたんだと痛感しました。
優美をそんな世界に足を踏み入れさせては絶対にいけないんだとも……
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