不機嫌な素振りをするのかなと思っていたら予想外にベタベタの千佐子です。
口数は少なくあまり話さないけどやたらと甘える妻です。
寂しくて、切なくて、怖いんだと思います。
沙絵にどんな脅迫を受けたか知らないけど、どんな辛い秘密を抱えて苦しんでいるのかわからないけど今の千佐子は俺の妻だから沙絵の下に置くつもりは全くない。
命がけでも沙絵に負けたくない。
妻として夫の子供を文字通り命がけで産んで見せると言うなら全力でサポートするつもりです。
沙絵は健康で体力もあります。
だけど見た目の通り千佐子の体は脆弱で強い痛みや出血には耐えられません。
優美をお腹に抱えて臨月に入ると早々に入院して実家の御両親が毎日代る代る看病をしたんです。
なにせほとんど女子小学生が普通の赤ちゃんを産むようなものでしたから。
骨盤も小さすぎて普通分娩では母子ともに危険だとの医者の判断で帝王切開で優美を取り出し、今でもその傷は痛々しくクッキリと残っています。
「おめでとうございます。女の子で母子ともに無事、健康ですよ」と言う医者の言葉を聞いたとき、思わず膝をついて神様に手を合わせていました。
そんな私の肩に義父が手を添えてくれて「純君、ありがとうな」と言ってくれて、立ち上がって手を握り
「お礼は、頑張った千佐子に言ってあげて下さい」
涙が止まりませんでした。
だけど退院するときに診察室に呼ばれて主治医との話しの中で「二人目は産めますか?」と聞いた私に
「んー、、まあ何とか産めないことはないかも知れませんけど、おすすめはできないって言うのが正直なところですね」
その時から一人いればいい、二人目はあきらめるつもりだったんです。
それなのに……
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