禁断の木の実

はい、パパも、千佐子は気がついてると思ってました。

でも、知らないという可能性、……つか、希望的な観測の僅かな可能性みたいなものに期待してた、の、かも。
だけど、
千佐子がそれを咎めない理由もわからないし、敢えてパパが千佐子に告白する必要も……

もしもそうだとして自分のお腹のなかで血肉を分かち合って育て命がけで産んだ優美が、自分の夫の性的な玩具にされてる事を容認するその理由がパパにはわからない。
婦人科の医者から言われたんです。
もう一人はなんとか産める可能性はあるが、おすすめはできい、と。
だから今も千佐子の子宮口には避妊リングが入ってるんです。
定期的に検診も受けて交換もしています。
ゴムに比べると確実性は落ちるけどピル等に比べて体には優しいからと、
今のところ散々に中だし三昧を受けながらも妊娠はしていません。
本当は……
これは言ってはいけないけど、パパは本当の「パパ」になりたい。
でも、千佐子の命と交換はいやだ！

だから、優美をパパの本当の娘として育てることに決めたんです。

それなのに、パパはなんてことを、

鬼はここにいる
私こそが現実の、鬼

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