その日は、僕たちは交わらずホテルを後にしました。
僕らの職場はおばさん連中ばかり。僕と山内さんが怪しいとの噂が広がるのに時間はかかりませんでした。
山内さんは相変わらず強気で「何言っとんね!」と突っ込みつつ肉体関係を否定していますが、かつてボス猿として君臨していた威厳はどこへやら…
山内さんは徐々に女性化していき、だんだんとリーダーシップを執れなくなってました。
そのチャンスを狙い、台頭してきたのが僕の初代パートナー、北川さんでした。
ある日、北川さんは山内さんにヤキをいれ、ついに山内さん王国の牙城を崩壊させました。
部下たちはみな、北川派に流れ名実ともに、新女王の誕生です。
北川さんの時代がやってきました。
山内さんは僕の家に駆け込んできて、泣き崩れ僕に抱きついてきました。
山内さんを優しく抱き締めつつも、僕の心はここにありません。弱々しい山内さんには興味がありませんから。
僕は女王、北川を陥としてみたくなっていたのです。
北川さんも僕のことは気に入ってくれてるらしく、職場唯一の山内派の僕を除名せずにいてくれてます。
ある日、仕事が終わって北川さんに話がありますと言い、事務所で二人きりになりました。
相も変わらず北川さんは優しく接してくれます。終始、傍若無人だった山内さんとは大違い…(傍若無人さが山内さんの持ち味だったのですが)
北川さんは僕に「今夜うちに来なさいな」と言ってくれました。一段と距離を縮めるチャンスです。
その日の夜、北川さん家に行きました。
しかし、ことはうまく運ばず…
僕の内心に気づいた山内さんは、僕を尾行していたのです。
北川さん家に侵入した山内さんは、とある行動を起こしました。
これが後に語られる
「880事件」です。
この日を境に、僕の運命は大きく揺れ動くことになるのです。
くるくる…
くるくると……
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