沢木と別れた後、大学へ行き二日酔いを堪えながら四時限目までをこなし、フラフラになって帰宅したのはもう夕方だった。
早番のはずの母はまだ帰ってきておらず、家の中は昨夜の宴の後始末がされた、いつもの我が家に戻っていた。
時間にはキッチリしている母の帰りが遅いというだけで少し嫌な感じがした。母は携帯を持っていないため、こういうときに連絡の取りようがなかった。一瞬本気で外へ探しに行こうと思ったがやめた。奴らのいう通りいつからこんなマザコン気質になったんだ、と自分の今取ろうとした行動を恥じていたら、玄関のドアがガチャリと開いた。
「・・・ただいま」
母が帰ってきたのだが、その声には張りがなかった。いつもは元気いっぱいの母なのに・・・。
「遅くなってごめんね・・・」
「おかえり、どうしたの、何かあった?」
私は喰い気味に応えながら母に近寄った。
私が近寄りすぎたのか母は思いの外驚き少し後退りをし、
「あ・・・あのさ、怒らないで聞いてくれる?」
「?」
確かに様子がおかしいのだが、母の表情は被害者のそれではなく、どちらかといえばもう一方のような気がした。
「あはは、実はさ・・・、沢木君がね・・・」
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