その後のことをあまり覚えていない。
滑川さんは携帯が鳴ったので、電話をしに外へ出ていってしまった。
私は、ボトルの焼酎を手酌でガバガバ飲んでいた。
どのくらいかして、彼女は片手でゴメンねとしながら、彼氏と急に会えることになったから行くね、と自分の飲み代より少し多いお金をテーブルに置いた。
私が、おそらく、多いから返すよ的なことを言ったのだろうが、彼女は、いいよいいよ、それよりごめんね、こっちから誘っておいて途中で抜けて。
それと・・・、何か言い過ぎちゃったみたいね。気にしないでね、と言い残し去っていった。
それから、残っていた焼酎のボトルをすっかり飲んで一時間くらいその場で寝ていたら店員が来て、大丈夫ですか、と声をかけられたので、暗に帰れと言うことなのだろうと解釈し、すいませんを連呼し然るべき料金を支払い外へ出て時間を確認するも、意外と早い時間帯だったので、駅とは逆方向にある大きな公園へ行きベンチで寝ていたところ、巡回中のお巡りさんに声をかけられ、またすいませんを連呼して駅に向かったときには、結構酔いが覚めて、少し冷静さも取りもどしていた。
電車を待つ間、頭の中は先程の滑川さんとの会話で一杯になっていた。
確かに、彼女の言い分には筋が通っていたが、別に見たわけでもないし、沢木に聞いた訳でもないことだ。
ただ、彼女は以前沢木と付き合っていたことがあって、何となく昔のことを思いだし、『そうそう、彼ってそういうとこあるよね』みたいな、いわば元カノというものに酔っていただけなのかもしれなかった。
だからこそ、彼氏から連絡が来たら慌てて駆け出していったじゃないか。
所詮、他人事。酒の肴になれば面白可笑しく好き勝手に言えばいい。
そんな風に考えていたら電車が来た。
※元投稿はこちら >>