去年の暮れぐらいなんだけど、郊外で車故障して、立ち往生してたんだよ。
俺、全然車とか詳しくないんで、ボンネット開けて中見ててもなにが悪いのかさっ
ぱり意味不明 。
で、あたりも暗くなってきてたし車通りも全然ないところでヤベー、とか思ってた
ら 俺の車 の後ろに一台の車が停車した。
その車から降りてきた男を見て、俺は息を飲んだ。
それは見間違うはずも無い、百穴温泉の、あのW禿げだった。
「なぜこんな田舎にベージュの スーツで!?」と思うまもなく、W禿げは 「どうし
たの??」ときさくに俺に声をかけつつ上着を脱ぐと、ボンネットをのぞきこみ、
そし て、いろいろエンジンのまわりをごそごそやりだした。
高そうな白いシャツの袖が、どんどん汚れていく・・・
結果、俺の車は見事エンジンスタ ートに成功。
W禿げは「車は普段から可愛がってやらないと、すぐ壊れるよ。じゃあな!」 と言
うと、颯爽と自分の車に乗り込み去っていった。
そしてついに今日、W禿げが百穴温泉を出入り禁止になった。それでも俺は一生、あ
の日のW禿げを忘れない。
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