コロナ禍真っ只中の時、彼女の勤めてたお店が閉店したんだ。
3年付き合い、結婚前提で同棲2年、彼女が出て行った。
「父が、帰郷しろって…ごめん…無職になったからって、結婚なんか
できないよ。」
ずいぶん話し合ったけど、無職になったことと、コロナが猛威を振る
う東京にいさせたくないという親御さんの意向を尊重して、別れるこ
とにした。
彼女も色々あって、疲弊していたから、家族の元へ返してあげた方が
いいと思った。
出会いは、俺が彼女の店の客になったこと。
就職したけど、大学時代に住んでたアパートから通勤できたから、そ
のまま住んでたけど、今度は乗る電車の方向が変わり、使う駅も変わ
った。
そこで、新しい店を開拓してたら、彼女の勤めてた店を発見、常連に
なった。
俺、松井玲奈が好みで、彼女、似てたんだよね。
心惹かれて、ある日、思い切って誘ってみたんだ。
もしだめなら、店ごと諦めようと思った。
そしたら彼女は嬉しそうに俺を受け入れてくれた。
彼女、俺と同い年の当時23歳だった。
飲食業に興味があって、料理と経営の専門学校出て働いてた。
俺と休日が合わなくて、週1回しか会えなかったけど、会ったときは
激しく愛し合った。
69で20分くらい舐め合ってて、お互いの性器がふやけるほど舐め合
って、生で交わった。
それまでの元カノたちもクンニやフェラしたけど、69は彼女が初め
てだった。
松井玲奈に似た可愛い女の子が、股開いて俺にオマンコ舐めさせなが
ら、俺のチンポしゃぶってるのって、信じられなかった。
夢のような時間だった。
彼女、セックスも遠慮なくて、騎乗位で腰振ったり、お尻を高く上げ
て肛門丸出しで後背位に応じたり、セックスを楽しんでた。
女子大生だった元カノたちは、みんな騎乗位や後背位は恥ずかしがっ
てたけど、彼女はどんな体位も積極的だった。
彼女が一番好きな体位は対面座位で、イヤらしい結合部が丸見えなこ
とと、時々手を伸ばして俺のキンタマを握れること、そして、お互い
腰をくねらせて喘ぐ姿が見れることだった。
でも、ふにっしゅに向かうときは正常位、ブチューッとキスをしなが
ら抱き合い、ラストスパート、そして、抜かれた俺のチンポを握って
手のひらで精液を受けた。
手のひらでオマンコを形作って射精させrって、きっと、元彼の誰か
が仕込んだんだろうなあ…なんて考えて、嫉妬したりしてた。
暫くして、週1回しか会えなくて、お互いを求め合う渇望で、結婚し
たいねって言い始めた。
彼女の店と俺の職場は近いし、その界隈にアパートを探した。
物件探し、楽しかったなあ。
二人の収入から、生活費を計算して、支払い可能な家賃を算出、結婚
も見据えて、子供部屋にできそうな部屋を確保して、部屋を借りた。
丸1日一緒に居れるのは週に1日だけだけど、毎晩寝るときは二人一
緒、俺はほぼ毎日同じ時間に帰宅するけど、彼女は勤務シフトによっ
て、早かったり遅かったりした。
毎晩毎晩セックスして、彼女が生理の時は、手でしてもらったけど、
俺だけ裸で射精するのって、結構恥ずかしいもんだね。
そんな楽しい毎日も、コロナ禍で緊急事態宣言が出され、やがて飲食
業に打撃が出始めた。
彼女の店もテイクアウトでしのいだり、協力金で何とか頑張ってたけ
ど、従業員に感染者が続出して、臨時休業を迫られた。
彼女は無事だったけど、店主が、店員に多少なりとも退職金を給付で
きるうちに、営業再開せず、そのまま閉店したんだ。
彼女の落ち込みようは、見てられなかったよ。
俺にしがみついて泣きじゃくる彼女を抱きしめた。
そして、数日後、別れを切り出されたんだ。
彼女は、失業に甘んじて結婚して主婦になる道は選ばなかった。
東京を諦めて帰郷して、地元に活路を見出そうとしてた。
コロナにほとんど影響を受けない仕事の俺は、彼女の決意を尊重する
しかなかった。
荷造りを始めた彼女、減っていく彼女の持ち物、哀しみの日々…
彼女が出て行く前の夜、最後のセックスをした。
「それじゃあ、私、行くね。」
「東京駅まで見送りに行くよ。」
「ここでいい。二人の愛の巣でさよならしたい。ここで見送って…」
「俺と暮らしてくれて、ありがとう。元気でな。さよなら…」
「私こそ、今までありがとう。さよなら。元気でね。」
最後のキスをして、彼女はマスクをして部屋を出た。
駅に向かって歩く彼女、うなだれた背中がとても淋しそうだった。
交差点で振り返って手を振った彼女は、その後、トボトボと去ってい
った。
あの後ろ姿は、今も忘れられない。
その後しばらく、何もやる気が起きなかった。
俺、乾燥機の使い方、知らなくて驚いた。
取説読みながら、涙が止まらなかった。
彼女がいないとできないことが、色々あった。
心から、今までありがとうって思えた。
一人で住むには広すぎるアパートだったけど、なかなか引っ越せない
でいた。
彼女の気配が残ってるのに、彼女がいないもどかしい空間、早く脱却
したかったけど、前剥けないし、やる気が起きなかった。
彼女の思い出が溢れる部屋と、街なみで、彼女の思い出と生きてた。
そんな時、彼女からラインが来た。
「ご無沙汰!私、友達と新しい店を始めたよ。コロナ閉店した店を居
抜きで借りて、コロナ対応の店を始めて、軌道に乗ったところ。心配
しないで。私、張り切ってるから。」
そして、地元に開いたお店の中で微笑む彼女の写真が添付された。
「お~、頑張ってるな。安心したよ。東京から、応援してる。」
って返して、そういえば、彼女が出て行ってから、ずいぶんと時が過
ぎたことに気付いた。
彼女は頑張ってるのに、俺は何をやってるんだと、重い腰を上げて、
やっと引っ越した。
彼女と暮らしたアパートのドアを閉めたとき、それまで流してなかっ
た涙が出てきた。
新しい部屋でダンボールの山を開けたとき、胸にこみ上げてくるもの
があった。
前の引っ越しは、二人で開けたんだよな…
そんなことを考えた。
新しい部屋に引っ越してそろそろ1年を迎える。
暮らしにも慣れて、いい感じになった女性と、先週末、この部屋で一
緒に朝を迎えた。
彼女は3歳年下、俺はもう28歳になる。
元カノになった彼女は松井玲奈に似てたけど、今度の彼女は吉岡里帆
っぽい和風顔。
しっとりと落ち着いてて、3歳年上に見えない大人っぽい女性。
色白でムチッとしてて、Dカップある。
なんか、一緒に居ると落ち着く人だ。
何となくだけど、彼女を抱いて、この先、この人と人生を歩んでいき
そうな気がしたよ。
元カノになった彼女、どうしてるかな…って思った。
あれから連絡ないし、これからもないと思うけど、ふと、彼女と暮ら
したアパートに行ってみた。
新しい住人の洗濯物が干されてて、それが男物と女物だったから、カ
ップルで住んでるんだなあと、彼女との暮らしに思いを馳せた。
「俺、やっと新しい一歩を踏み出せたよ。」
って、元カノになった彼女に報告するみたいに、呟いてた。
そして、元カノになった彼女の幸せを祈った。