結婚するはずだった元彼がいます。
特にイケメンだったわけじゃないけれど、凄く優しくて、私の事を大切に
してくれて、抱きしめられたときの元彼の匂いがとても癒されました。
元彼には、キスをされただけで濡れましたし、足を拡げてアソコを見られ
ただけで逝っちゃうくらい感じてました。
クンニされたら、それこそクリトリスなんか舐められた日には、あっとい
う間に逝かされてしまいました。
彼をフェラするとき、この世にこれほど愛おしいものがあるかしらと思う
ほどの愛しさを感じながらおしゃぶりしていました。
彼に貫かれた時、ああ、この人の赤ちゃんを産みたい・・・そんな思いが
全身を駆け巡って、身体が宙に浮くような快感に見舞われていました。
そんな元彼が、私の元に二度と戻って来なくなったのは、元彼が私と結婚
するために私の実家へ挨拶に来たのが原因でした。
「真由さんと結婚しようと思っています。」
元彼が父に頭を下げたとき、父は、いきなり湯呑みのお茶を元彼にかけた
んです。
元彼はかなり熱かったと思いますが、元彼も私も母も、一瞬固まってしま
いました。
ハッと我に返った私が慌てて元彼にかかったお茶を拭いたのですが、元彼
はそれを制して、
「分かりました。真由さんとの結婚は諦めます。失礼しました。」
と言って、真っ直ぐ玄関に向かって歩きだいました。
私は元後を追って玄関まで行き、引き止めようとしましたが、
「俺、ああいうの無理なんだ。安物のドラマじゃあるまいし・・・じゃ
あ、さようなら。お父さんに認められるいい男探せよ・・・」
そう言い残して元彼は出て行ってしまいました。
その後、もう一度元彼と会いましたが、
「俺、真由のことは愛してるよ。今でも愛してるけど、真由と結婚したと
して、あの人と親戚になるのはちょっと無理だな。あの人、俺の何を知っ
て頭ごなしにダメだと言ったのか、全くわからないし、まず、あの態度は
人として失礼極まりないと思うんだよ。だから無理。」
そう言われて、言い返す言葉が見つかりませんでした。
父はと言うと、
「俺も最初は認められなかったんだ。それを、何度も足を運んで結婚を認
めてもらったんだ。それをたった一回で諦めるなんて、それだけの男だっ
てことだよ。」
と言う始末でした。
そのことを元彼に電話して伝えたら、
「俺は、自分が理不尽だと思うような嫌な事をされたら、それを他人には
しない。自分がされたことを他の人にもして、理不尽さを味わわせる側に
立ってみたいと思う人とは、悪いけど、付き合えないよ。」
そう言われて、
「ごめん・・・真由のせいじゃないよな。でも、もう、連絡してきてほし
くないんだ。一刻も早く、真由のことは忘れたいんだ。さような
ら・・・」
ああ、これでもう二度と元彼の声を聴くこともできないんだって思って、
悲しくて、淋しくて、崩れ落ちるようにして嗚咽しました。
あれからもう10年が過ぎようとしています。
私も30代後半にさしかかりましたが、あれ以来、恋愛はしていませんから
今も独身です。
30歳の時、一度だけ、父に無理やりお見合いさせられましたが、お相手の
方の雰囲気も、匂いも好きになれませんでした。
その方とは、デートを一度だけしましたが、元彼には遠く及ばない薄っぺ
らい感じでした。
父が勧める男性って、こんな男性なのかとガッカリしました。
今でも、ベッドに入った時、ふと元彼とのとのセックスを思い出してしま
います。
本当に大好きだったから、肉体的にも、精神的にも、とても満たされた
セックスでした。
10年過ぎた今でも元彼のことが大好きなままだし、他の男性と付き合う事
も出来ませんし、ましてセックスなんてとても無理です。
私がなぜ、今更こんな投稿をしたかと言いますと、10年ぶりに元彼を見か
けたからです。
土曜日の午後、車で買い物に出かけた私が信号待ちをしていると、目の前
の横断歩道を元彼が横切ったのです。
「あっ!」
と思わず車の中で叫んでしまいました。
元彼は、可愛らしい奥様と、幼稚園くらいのお子さんと3人で、スキップ
しながら楽しそうに横断していきました。
それはとても微笑ましい光景でしたが、できる事なら、そこには私が居た
かった・・・そんな思いがこみ上げて、涙がポロッと落ちました。
でも、あんな別れ方をした元彼が幸せそうで、安心もしました。
きっと私は、あんなふうに幸せな家庭を築くことは一生ないんだろうなあ
と思いました。
「さようなら・・・幸せになってね・・・」
車の中でそう呟きながら、せめて、元彼だけには幸せになって欲しいと心
から願いました。