昔、ツーショットダイヤルのサクラをしてた。
電話で繋がったお客さんと、テレフォンセックスをするお仕事で、家にいながらけっこう稼げて、とてもおいしいバイトだった。
そのお客さんの中には、愉快な方がけっこういて、バイトのひとつの楽しみになってた。
「○○って10回言ってみて」
っていうゲーム(?)が昔あったよね。
あの、10回ゲームのような事をしたがるお客さん。
同じ言葉を何回でも、何回でも、言わせたがる男がホントに多かった。
しかもその言葉ってのが、これまた決まって「まんこ」だの「ちんぽ」だの…
「お…おまんこ…」「ほら、もっと!!」
「おまんこ…あぁん」「もっと、もっとだよ!!」
「おまんこ、おまんこ、おまんこ…∞」
「おぉ…(聞きながら悶えている)」
もしくは合いの手の様に、こちらの言葉に呼応してくる人もいる。
「ちんぽ…」「まんこぉ!!」
「ち…ちんぽ…」「うおぉ、まんこぉー!!」
これが、相手がイクまで延々と…
まあ、なんも考えずに相手できるので、わたしとしてはイヤではなかった。
ただ、どのお客さんも
あまりに類型的すぎて面白味に欠ける。
もっと、オリジナリティーあふれるセリフを
言わされる方が、こっちも楽しい。
ある日繋がったお客さんは、その点とてもいかしたお方だった。
「海に行く時って、どんな水着を着るの?」と、聞かれたので
「ビキニだよ~」と、答えると、
「じゃあ、『ビキニを着ちゃうギャルなの』って言ってみて!!」
『ぎゃる』って表現は如何なものかと、お客さんにツッコミを入れてみたのだが、そんな事お構いなしで催促してくる。
「ビキニを着ちゃうギャルなの」「そう、そう!!」
「ビキニを着ちゃうギャルなの」「もっと!もっと!!」
「ビキニを着ちゃうギャルなの」
「もっと、ギャルんとこ、舌をからめて言って!!」
「ビキニを着ちゃう、ギャロォルなの…」
「そう、ギャロォル…」
(もう、一体、何語なんだか…)
だんだん、こんな事をしている自分にせつなくなってきた頃、今度は
「キミのおっぱいって何カップ?」
「Dカップだけど…」
「じゃあ、『Dカップのボインなの』って、言ってみて!!」
…もう、今さら『ぼいん』ごときにつっこむ気力も無く、
「Dカップのボインなの…」「おぉ…」
「Dカップのボインなの」「もっとぉー!!」
「Dカップのボインなの~」
「『ビキニを着ちゃう、Dカップのボインなの』って言って~!!」
「ビキニを着ちゃう、Dカップのボインなの~」
受話器を握りしめて、そう叫んでいる自分の姿は、絶対人には見られたくない!と、思った…