2018/01/18 00:55:21
(9lJ3GXn.)
娘は 嘘だよね そんなの 嫌だと 取り乱した
『大丈夫 大丈夫 胸は 片方だけになっても
母さんは ちゃんと元気になるから
元気になる為なんだから 仕方ないんだよ』
本当?
『勿論 悪い所を取れば 元気になれるって
先生も言ってるんだから 心配無いよ』
早い方がいいと いろんな検査 検査の繰り返し
そして手術
かおるさんは いつもの明るさを失い
自分と娘は どう接していいか分からず 神を恨んだ
なぜ かおるさんなのか 折角幸せになれたのに
かおるさんが 何をしたっていうのか
なぜ 側にいるのに助けてあげれないのか
胸を無くす事の辛さ
再発の怖さに ずっと 怯えて生きていかなければならない
もう 笑っても 本当の笑顔なのか 作り笑いなのか
自分でもわからないと 呟く
腫れ物に触るような 態度は 余計にかおるさんを辛くさせる
でも どーしていいか 答えは 見つからなかった
検診前 1週間になると 『和君 行くのやめてもいい?』
怖い 怖いと困らせた
極度の恐怖から 食事も受けつけなくなることもあった
『大丈夫 心配無いよ』
なんの根拠も無いのに それだけしか言えない自分
本当は 検診なんか行って欲しくない 怖い
2年が経ち 検診の後 主治医に呼ばれた
リンパから 骨に転移が見つかりましたと
進行は 早く たった半年で 帰らぬ人となりました。
腰が痛い 痛いと 言っていたのに なぜか調子がよさそうな日
『和君 お母さんとお父さんに 謝りに行こうよ 』
『なんだと思ったら そんな事 考えてたのか もう許してくれたよ』
『本当なの 』
『あぁ 本当だよ お袋が かおるさんが元気になったら 店に食事に来たいってさ だから もう心配ないんだよ』
『そう よかった 』とまた眠りについた
もうすぐ 誕生日だったのに………
ハリセンボンぐらい ケーキにローソク立ててあげたのに
なんで 先にいなくなるんだろう
こんな悲しい 別れってあるのか
かおるさんのところへ 行きたい
そんな自分を 思い止めるのは 娘
娘は かおるさんの分身だから。
ふとした表情が かおるさんを思い出させると辛く感じたが
そんな時も過ぎ
高齢出産でのリスクも 恐れず 置いていってくれた宝物
そんな娘がいてくれたから 三年間頑張ってこれたと思います
かおるさんの提案で住所が書いてない年賀はがきを出し続けました
どんな思いで受け取っていたのだろうか 両親は
今年こそ 親に会いに行こうかと思ってます。
娘を連れて
お付き合いありがとうございました。
会話は 多少の違いは ありますが 内容は 忠実に再現したつもりです
かおるさんとの 楽しい日々が蘇り 懐かしさと 悲しさでいっぱいです。
残された方は 本当に辛いです
ハッピーエンドを期待されていた方が 多く 途中から裏切る事になる事を悩みました。
どうか気を悪くなさらないでください。
最後に 奥様や彼女がお見えの方は どうか大切にしてあげてください 。
それでは 失礼します。