昨年の3月、僕は大学を卒業し、4月から始まる物流関係の仕事をする為に、ひと足早くT県にて一人暮らしを始めました。
そしあ初めての一人暮らしということもあり、いろいろやってるうちに一ヶ月はあっという間に過ぎていき、4月の初出社を迎えたのです。
それから僕は毎朝7時に起き、8時丁度に家を出ます。そして会社へは自転車で30分かけて出社するのですが、通勤ルートにある、両側が畑で何もない200メートルくらいの一本道で、かなり高確率ですれ違う人がいるのです。
その方を聖子さん(34)としておきます。
この聖子さんなのですが、まったく大袈裟でもなく正直に言うと、(こんな美しい人がいるのか、、、)と唖然とするくらい美しい方でした。
身長も高く、表情が豊かで、まるで芸能人と例えるのが失礼なくらいであり、いうなれば映画女優のような、圧倒的なオーラを出している方なのです。
いうなれば、美しい、健やか、和やか、とでもいうべきでしょうか。
ただ、この聖子さんと僕がいつもすれ違うのは、聖子さんには五歳の女の子がおり、いつも保育所に子供を送っていく為に、毎朝同じ時間に同じ道を通っているのでした。
自転車での向かい風で髪の毛がなびき、前に乗せた子供と楽しそうに会話しながら颯爽と過ぎていく姿には、いつもいつも(すごい幸せそうな人だなぁ)と聖子さんの豊かなオーラに圧倒されていました。
しかし、ただいつも出勤の時にすれ違うだけで、それから半年、いや半年以上はすれ違うだけで、当たり前のごとくですが、なんの関係にも発展することはありませんでした。
ただ、ある事がきっかけで転機が訪れます。