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『聖夜の特別投稿』
待ち合せに指定したのはメトロの駅から直結した丸ノ内のとあるビルの地下に店舗を構えるシアトル発祥のカフェだった。これまでに執筆した小説の大半を読み、お気に入りの作品は何度も繰り返し読んでいると伝えてくれた読者の「あおい」との待ち合せだった。 あおいは、小説の主人公であるかおりやみほに興味を抱き、時には自らを主人公に重ね合わせ秘かに蜜を溢れさせてしまうことを告白もしてくれていた。槌自身は理性が強く、真面目で臆病なため、小説の主人公たちのように大胆になれるか? また、心の奥底に鍵を掛けてしまいこんだ願望を解き放つことができるのか?葛藤しつつも直接話をしたいと伝えてきたのだ。8時という待ち合せ時間とお互いの目印をメールで伝えあった。 ベージュのトレンチコートとショートボブ、それがあおいが知らせてくれた目印で、ツイードのジャケットとトナカイ柄のセーター、そしてみほを主人公にした小説にも登場したヴィクトリノクスの赤いバッグを目印として伝えていた。 約束の時間の15分前にはエントランスに向いたテーブルに着き、アイスカフェアメリカーノを半分飲んだタイミングでひとりの女が迷うことなくテーブルに近付いて来た。時間とベージュのトレンチコートから直ぐにあおいと判断出来た。 「あおいです、お待ちになりましたか?」 「オフィスを出るのが遅くなったから15分くらい」 この日に至るまでには何度もメールを交わしていたため、お互いの口からは『初めまして』の言葉が出なかったのがおかしかった。その代わりの挨拶は『本当に会えたね』と『お会い出来て光栄です』だった。そして、『頭を撫でて欲しい』という行為を挨拶として実行した。 お互いの仕事のことや今日の出来事を報告し合うと、小説の話になった。あおいは、小説の内容がノンフィクションであることに半信半疑だったようだが、ふたりとも実在の人物であることに驚嘆し、ふたりの主人公が女性として魅力的な人物であることを熱弁し、ふたりのM性を別の行動で引き出した人物が目の前にいることを不思議な感覚で捉えたようだった。 アイスカフェアメリカーノを飲み干したタイミングで、あおいもドリップコーヒーを飲み干していた。 「もう一杯飲もうか?」 「ビールを飲んでもいいですか?」 「じゃあ一緒に行こう」 緊張を和らげるのに少しアルコールの力を借りたかったのだろう、あおいに手を差し出しカウンターまで連れて行った。グラスが出されるまでの待ち時間を利用して、あおいの腕の間に入り込んだ。カウンターに手を付くのを、あおいが後ろから抱きつくようなスタイルだ。背中にスーツ越しのあおいの乳房の感触を感じていた。 ふたつのグラスを持ちテーブルに戻ると、乾杯をしあおいはビールをひとくち口にした。少し緊張が和らいだのか穏やかな微笑みに表情が変わっていた。 「あおい、声に出してここで朗読してみないか?」 左右のテーブルには誰も座っていないが、前方や後方にはカップルや女性同士の客、仕事の打ち合わせのビジネスマンが数組いる。店内のBGMや客同士の会話で朗読が聞こえることはないだろう。それでも、店内で口に出すには卑猥な表現がある。 「。。。」 一瞬だけ躊躇の表情を見せたあおいは、ビアグラスに口を付けた後、自らが投稿した感想文を声に出して読み始めた。 「何度も読み返してしまいました。 やはりこのメヌエットⅡに反応してしまいます。 みほさんに自分を重ねています… 槌 鏡の中の世界で、恥ずかしくて言えないことを言う… 言えないことにも感じてしまうの。 縛られて感じ、後ろから抱きしめられ、立ったまま受け入れるの… 槌 私も覚醒してしまいそうです…」 あおいが感想を残したチャプターは、主人公のみほが多機能トイレで緊縛されたまま失禁してしまった後の行為を描いたものであった。 テーブルに肘をつきあおいの表情を見つめながら、右手の人差し指と中指であおいの首筋をなぞった。二本の指を唇に見立てて唇が首筋にを這う感覚を感じさせるためだった。 「あおい、覚醒したんだろ? 読みながら失禁したくらい蜜を溢れさせてしまったんじゃないか?」 「。。。。」 口にしたビールのせいなのか、恥ずかしさからなのか自らが書き残した感想のコメントを声に出して朗読したあおいは頬を桜色に染めて黙って頷いた。 「あおい、イルミネーションを見に行こうか?」 待ち合せにこの場所を指定した理由はメトロの駅からのアクセスとイルミネーションの中心に位置するからだった。 「はい、楽しみです」 あおいが身支度する間に、グラスをカウンターに戻しツイードのジャケットに袖を通した。企業の中枢で業務するみほのスーツ姿に較べるチノパンにトナカイの柄がプリントされたセーターは相当カジュアルなスタイルであった。 「お待たせしました」 手を繋ぎ地上階へのエスカレーターに向かうと、あおいを前に立たせ振り向かせ唇を重ねた。エスカレーターを乗り継ぎ地上に出ると正面にはブルックスブラザーズ、左斜め前にはニットの生地で編み込んだ巨大なクリスマスツリーが目に飛び込んだ。 「すごいね」 「セーターと同じ柄ですね。素敵」 クリスマスツリーが飾られるビルのガラスに寄り掛かるように、あおいを抱き締めた。人の行き交う丸ノ内仲通りでハグされることすら恥ずかしがると予想していたものの唇を重ねることすら躊躇を見せなかった。その場で激しく唇を貪り合うことすら自然に受け入れた。 槌煉瓦造りが美しい東京駅の駅舎を背に和田倉門方面に歩を進め歩きながらも信号が赤に変わると時折唇を重ね身体を抱き寄せる。休日には皇居の周りを走ることもあると言うあおいの案内で噴水公演に辿り着いた。周りには数組のカップルがいたもののパレスホテル側のコンクリートのベンチには誰もいなかった。 ベンチにバッグを置くと、激しく唇を貪り合い、舌を絡め抱き寄せる腕に力を込めた。 「聖水は喜んでお浴びします。でも、かおりさんのように飲むことは出来ないと思います」 「無理矢理押し付けるものじゃないからな、浴びて飲みたい気持ちになれば飲めばいい。それだけのことだ」 唐突に聖水のことを言い出したことに驚いたが、それ以外の覚悟は出来たのだろうかと感じた。 あおいの手を固く熱くなった分身に誘導すると一瞬だけ驚きの表情を見せた後、嬉しそうな表情に変わった。 「誰のせいでこうなったか理解出来るね?」 「。。。。」 嬉しそうに頷くと指先で形を確かめるように手で包み込んだあおいを押しベンチに座らせた。正面に立ち内堀通りに背を向け一切の視界を遮ると、その意味を理解したのだろう。あおいはファスナーを下ろし分身を引き出すと愛おしそうに唇で包み込んだ。 「気持ちいいよ、あおい。初めて会った男のものを。。。欲しかったのか?」 背後に視線を感じると男が覗き込むヨウナ視線で近づいて来ていた。見せびらかしたい気持ちもあったが、あおいを危険な目に合わせる訳にはいかない。自らの手で分身をしまい込み、あおいの横に腰掛けた。 しばらく近くに立ち尽くしていたが、何も始まらないと諦めた男は踵を返すように内堀通りに向かって歩き出した。 男が視界から消えたことを確認するとベンチに腰掛けたままあおいを正面に立たせた。トレンチコートの前を開き、スーツの下に着たカットソーを押し上げると白地に花柄のブラがあらわれた。右のカップを少しずらすと小振りの乳首が露わになった。 「卑猥さが足りないかな」 指先で弾きながらあおいの表情を伺うと感じ始めてしまったのか目を閉じたままで吐息に混じった淡い喘ぎ声を出し始めた。 「吸引して乳首をいやらしく改造しなきゃな」 「あああん、お願いします。大きく卑猥な乳首にしてください」 「今日から輪ゴムで留めてごらん」 「。。。。」 感じているのが指先に伝わるように乳首が固く突起し始めた。空いている左手でスーツのスカートを捲り、ストッキングの上からクリトリスを探し出し、指先で圧力を加えると指先には適度な湿り気が伝わってきた。もしかしたら、小説の感想を朗読された時から絶え間なく蜜は溢れていたと思えるほどだった。 「いやらしい雌の匂いだ」 指先をあおいの鼻先につけて、自らの雌の匂いを感じさせた。 「あああん、もうびしょびしょです。嬉しい」 あおいへの恥辱調教はクリスマスの日の午後に再開することになる。かおりへの調教に興味を持ったみほに調教を体験させ、そしてかおりとみほへの調教に興味を抱いたあおいへの恥辱調教が始まろうとしている。
2018/12/24 17:09:30(TTBBU3HF)
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