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パルティータ第2番ニ短調 最終楽章-III
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:SM・調教 官能小説   
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1:パルティータ第2番ニ短調 最終楽章-III
投稿者: グレッグ・エムジョスキー ◆CP.4GFQjTw
ロードスターで高速を走り始めて直ぐに器用に後髪をくるりと手に巻き付け髪留めで纏めていたみほは、化粧室でメイクを直したタイミングで髪の毛を下ろしていた。後姿からは髪の毛に隠されて首筋を這う麻縄は見えない筈だ。

自らが着るインディゴブルーで同じプリント柄の槌ワンピースを着たマネキンを見付け嬉しそうに槌近づくと、みほはマネキンの乳首の辺りを指先で触れた。

「同じワンピースです、ゴールデンウィークに御殿場のアウトレットで一目惚れしました」

「おれの好みに合わせてくれたんだろ?」

「はい、前開きが絶対条件で探して」

「後ろでファスナーを下ろすのは目的を考えるとね。シルエットは綺麗かも知れないけど」

みほのワンピースに気付き、店内に招き入れたショップの店員はみほの斜め後ろに立って微笑みを絶やさずふたりの会話に耳を傾けていたが、会話の内容は全く理解出来なかったはずだった。

「何かご試着なさいませんか?」

会話に加わるきっかけを掴むためなのか、みほを客として掴むためなのかショップの店員が声をかけてきた。平日の昼前の時間は来場者も少なく暇を持て余していた印象もあったが、顧客を丁寧に扱うのがこのショップの特徴でもあった。

「試着する時には声をお掛けします」

「いつでもお声掛けください」

丁寧に一礼すると店舗入口のディスプレイを整えるようにその場を離れて行った。名札を見るとフロアマネージャーのようだ。物腰も柔らかくインテリジェンスな印象を与える女性の佇まいに、悪戯心も多少萎えたのだろうか、みほは真剣な表情でディスプレイに陳列されたブラウスを幾つか見繕っていた。

みほの髪の毛に隠され麻縄は正面から見ても気付かれることはないだろうが、もし白いブラウスを試着したらブラをしていない胸元と共に確実に露わになるのは間違いない。みほは、かおりが受けたランジェリーショップでの恥ずかしい瞬間に憧れを抱き、かおりが『お漏らししそうなほど恥ずかしかった』と言ったことに共感もしていた。

みほがブラウスを見繕っている間、フロアマネージャーはプロフェッショナルな行動をしていることに気付いた。みほが手にするブラウスに合うスカートやボトムズを見繕っているようだった。その行為をみほに伝えると、みほは二枚のブラウスを手にフロアマネージャーに会釈した。

フロアマネージャーはネイビーブルーがベースのチェック柄のスカートとネイビーより黒に近いパンツを肘に抱えながら試着室に誘導した。みほが選んだ薄いピンクのブラウスと白とネイビーのストライプのブラウスには、どちらのコーディネーションも合うと思わせるものだった。

「どちらから試着なさいますか?」

「じゃあこちらのブラウスから」

みほが薄いピンクのブラウスを示すとフロアマネージャーはスカートとパンツの両方を差し出しながらみほに微笑みかけながら言った。

「どちらの組み合わせでも合うと思いますので、順番に着てみてください」

「えっパンツはちょっと。。。」

多機能トイレで緊縛されたまま失禁してしまったみほは、下着を脱いだままだった。股縄を下着の代わりに身につけているとは言え、ローターもみほの中に挿入したままだ。そんな状態でパンツを試着したら間違いなく溢れた蜜で商品に染みをつけてしまう。

「彼女、パンツを履いてないんで」

横からの口出しをショップマネージャーは誤解したのだろうと彼女の真面目な反応で直ぐに理解出来たが吹き出しそうだった。

「そうなんですか? パンツルックもお似合いだと思うんですが」

プロフェッショナルに徹し顧客を丁寧に扱う対応をする真面目なショップマネージャーをからかうのは気の毒に感じ余計な突っ込みはしないことにした。

「じゃあみほ、スカートだけ試着させてもらったら?」

その言葉にフロアマネージャーは試着室のドアを開き、みほに入室を促した。

「一緒に入っていいですか? それとも外で待った方がいいですか?」

「。。。。」

ショップマネージャーは一瞬だけ驚きの表情を見せた後、何かを言おうとしたが、その言葉を遮ってしまった。何と言うのか楽しむのも真面目な彼女には申し訳無いと感じたからだ。

「冗談ですよ」

ほっとしたのか安堵の表情を見せたショップマネージャーに向かいみほが声を掛けた。

「ごめんなさいね、この人、悪戯っ子そのままおとなになったような人なんで」

「そうですよね、冗談ですよね。驚いちゃいました。。。お着替えできたらお声掛けください」

手にしたパンツをディスプレイに戻すために試着室を離れたショップマネージャーを目で追いながらみほに声を掛けた。

「みほ、縄を解くか?」

「どうしましょう、彼女には目の毒かしら?」

「そうだね、『調教ですか?』と聞いてきたランジェリーショップの店員とは違うよな」

「でも、見られたい気持ちもあるし、自分じゃ解けません」

「悪戯っ子がそのままおとなになったことに免じて許してもらおう」

みほにウィンクをすると試着室のドアを締めて、フロアマネージャーの元に向かった。

「さっきは、ごめんなさい。驚かせたよね?」

「はい驚きました。あんな質問されたことないですからね。あっ小さいお子様に付き添うお母様はいますけど」

「凄いプロ意識ですね、お客が選んだ商品にコーディネートして提案するんですか?」

「お店の混雑具合いで出来ないこともありますが、出来る限りはお手伝いして差し上げたと思ってます」

「一緒に選ぶのはあるかも知れないけど、驚きました。ラルフローレンさんも驚くでしょう、素晴らしいマネージャーだと」

「ありがとうございます。そう言っていただけるのは嬉しいです」

「悪戯っ子のお願いを聞いてくれますか?」

「はい、なんでしょうか?」

「後で彼女に『結婚前に最高の思い出になりましたか?』と聞いて欲しいんですよね」

「ご結婚されるんですね、おめでとうございます」

「あっ僕とではないんですが」

「わかりました、『最高の思い出』ですね」

槌試着室のドアが開き、薄いピンクのブラウスに身を包んだみほが顔を覗かせていた。ショップマネージャーと並んで試着室のドアの前に立ちみほを見ると胸元には下着を付けていないのが一目瞭然だった。更に下着の代わりに麻縄の亀甲縛りを身に纏っているのが部分的に見てとれた。

本来発せられる『お客様お似合いです』や『サイズはよろしいですか』と言った定番の台詞すら槌ショップマネージャーからは聞く、ラルフローレン氏が知ったら感嘆するであろうさっきまでのプロ意識は影をひそめてしまった。

「みほ、着心地はどう?」

「肌触りが気持ちいいです」

声を発することも出来ずに茫然自失の表情を見せるショップマネージャーから感情を伺うことは出来ないが、彼女をこの状況にいつまでも放置するのは気の毒に思えた。

「ブラウスをプレゼント用にラッピングお願い出来ますか?」

我を取り戻すとショップマネージャーは悪戯っ子の依頼を思い出したようだった。

「かしこまりました。あっみほ様、ご結婚に最高のプレゼントになりましたか?」

きょとんとした表情を見せたみほに一礼するとショップマネージャーはブラウスが陳列されたディスプレイに向かい、みほが選んだ薄いピンクのブラウスを取り出した。カウンターに向かいプレゼント用のラッピングをするためだ。

「あの方にわたしの名前を教えていただいたのですか?」

「いや、会話から知ったんだろうね、やっぱりプロ意識が高いよね」

「『最高のプレゼント』って言わせましたね?」

嬉しそうに尋ねたみほに答えた。

「彼女はパニクったみたいだ、縄で緊縛されてるのが透けて見えたから。質問は『最高の思い出』のはずだったんだ」

「はい、『最高の思い出』をいただきました」

うっとりとしたみほの表情は、『無伴奏ヴァイオリンのパルティータの最終楽章シャコンヌ』を聴いているようだった。

2018/12/28 21:54:49(5GMfUrja)
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