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紅梅無惨 2
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:SM・調教 官能小説   
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1:紅梅無惨 2
投稿者: 司馬 名和人
それから熊谷刑事はあらためるように目の前の志保子に対して次のように声を掛けるのである。

  「それではこれから君に対する取り調べを開始する。ちなみに本官は当、代々木警察署で特高主任を務めている熊谷警部補である。そしてそちらの補助席に座っているのは当、代々木警察署の特高係りの刑事である大宮巡査である」

 熊谷警部補は志保子にそのような事を言ってから次のように話を切り出すのである。

  「まずは、、、君の氏名だが、、、、根本志保子だね、、、、、、、、、、」

 その熊谷警部補の問いかけに対して、志保子はその顔を俯けながら小さな声で次のように答えるのである。

  「はい、、、、、そうです、、、、、」

  「うむ、、、、現住所は、、、、、、、、、、、、、」

 そのように熊谷警部補は紅梅高等女学校近くにある志保子の現住所の下宿先の住所を言うと、志保子は頷いて「そうです、、、、、、間違いありません」と答えるのである。

  「うむ、、、、、、、それで本籍地は長野県佐久郡ばつばつで間違いないね」

  「はい、、、、、、そうです、、、、、、、、」

  「生面月日は対象バツバツ年××月ばつ×日でこれも間違いないね、、、、、、」
  「はい、、、、、そうです、、、、」

  「それでは数えで二十四、満年齢で二十三歳と言うことになるね、、、、、、」

  「エエエエ、、、、そうです、、、、、」

  「君は地元・長野県の女学校をそれは優秀な成績で卒業した後で東京女子高等師範学校を受験し、合格して、そこもまた優秀な成績で卒業したのだね、、、、、、
  「優秀か、どうかは存じませんが、、、、ともかく、女子高等師範学校を卒業したのは事実です、、、、」

  「うむ、、、、、そして卒業して、すぐにあの紅梅高等女学校の国語教師として奉職して、今日に至っている、、、、、そうだな、、、、、、」

  「エエエエエ、、、、、その通りです、、、、、」

  「うむ、それでその紅梅高等女学校に奉職して何年になるのかね、、、、、、、、」

  「四年程になります、、、、、、、、」

  「なるほど、、、、それで現在はそこで国語の教師をしていると同時に同校の文芸倶楽部の顧問を務めている。そうだな、、、、、、、、」

  「はい、、、、、その通りです、、、、、、、」

  「それでは当然の様にこの雑誌の事は知っているな、、、、、」

 熊谷警部補はそのように言いながら机の引き出しの中からある一冊の雑誌と言うよりか小冊子に近い書物を取り上げるとそれを志保子のすぐ目の前に示す様に置くのである。その雑誌・書物とは言うまでも無くあの問題となっている紅梅文芸である。

  「刑事さん、、、、、、、これは、、、、、、、、、、」

  「そう、、、、これは君のところの学校の文芸倶楽部で出している所謂同人誌と言われる雑誌の類だよ、、、、、勿論、、、、知って入るよな、、、、、、、」

  「エエエエエ、、、それは、、、、、」

  「この同人誌の末尾にもちゃんと記載されているが、、、この同人誌・雑誌の編集責任者は根本志保子、、、、、、、君だな、、、、、、、、」

  「ああ、、はい、、そうです、、、、、」

  「うむ、、、、、それでは君にあらためて聞くがこの同人誌と言うか雑誌の目的は何だね、、、、、、、、」

  「目的と言われましても、、、只々、、わたくしども紅梅高等女学校文芸倶楽部の活動の成果を出来るだけ多くの方々にお知らせするのがまあ、、、目的と言えば目的です、、、、、、」

  「ふむ、、、、なるほど、、、それでこの雑誌はどのくらいの頻度で出されているのかね?」

 「それは、、、、カ一年の内、二月からの偶数月の隔月に出しております、、、、、、」

  「ふむ、、、、それでは一年に六回、つまり二か月ごとに出していると言う事かね、、、、」
  「そうです、、、、ですから、、、今、、刑事さんがお示しになったはつい最近、出たばかりの十月号です、、、、、、、」

 それに対して熊谷刑事はその同人誌の表紙を確かめながら「なるほど、、、確かにそのようだね。それではこの雑誌と言うか、、同人誌はどれくらいの部数が出ているのかね?」

  「そ、、、、そんなに多くの部数が出ている訳ではありません、、、、何しろ一女学校の文芸倶楽部が出している同人誌です。主な読者は女性ととその不敬更に学校の卒業生とその関係者者ぐらいです、、、、、」

  「だから、、、、、本官は正確な出帆部数を編集責任者である根本志保子、、君に尋ねているのだよ、、、、、、」

  「それは、、、、、その時にもよりますが、、、、だいたいのところ、、、、およそ八百部から千部ほどだと思いますが、、、、、、、」

  「ほお、、、、八百から千ね、、、、、、単なる女学校の文芸倶楽部の同人誌と言っても馬鹿にならんね、、、、、、」

  「それは、、、、何しろ、、、、わたくしども紅梅高等女学校は明治の初年い以来、既に五十年以上の伝統を誇っておりますので、、、、、卒業生もそれなりの数に上りますので、、、、、、」

  「うむ、、、、なるほどな、、、、、それではいかに同人誌とは言え、、、、、その影響力は決して、馬鹿には出来ないと言うっ事だな、、、、、」

  「刑事さん、、、、それは、、、、、、」

 志保子はそのように言いながら怪訝な表情になるのである。先ほどからのこの熊谷と言う特高主任の質問の意味が今一つ判らないからである。

 そのような志保子の様子にも関わらず、熊谷警部補は更に次のように話を進めるのである。

  「根本志保子、、君がこの同人誌の編集責任者と言う事はつまり、この同人誌に記載された様々な記事、記述に対して、君が対対外的に責任を持っていると言う事だな、、、、、、、」

  「エエエエエエ、、、、、まあ、、、、、そうですが、、、、、、」

 それから熊谷警部補はその紅梅文芸を手に取ってペラペラと捲っていたがやがてその最後のページに記載されていた編集後記のところの編集責任者・根本志保子と記されているすぐ隣に記されている次のような文章を指し示すのである。そこには次のように記されていた[ 編集委員、白木葉子、谷崎冬子]とである。

  「この編集委員とはどのような役割なのかね?」

  「そ、、、それは、、、、白木さんと谷崎さんとにはわたくしのちょっとした手伝いをして貰っただけです、、、、、、」

  「フウウン、、、、つまりはこの二人の女性とは君の助手をしていたと言う事かね?」

  「そ、、、、そんな、、、助手役だなんて、、、、そんな大袈裟なものではありません。先ほども申し上げたようにその二人ともにちょっとした手伝いをしてくれただけですよ、、、、、、」

 志保子はそのような事を言った後であらためてきっとした表情になって目の前の椅子に座っている特高係りの警部補に次のように問い返すのである。

  「それより、、、何だと言われるのです。この紅梅文芸の記事・記述の何処かに何か差し障りがあるとでも言われるのですか?」

  「ふん、、、、、相変わらず、、、機が強い女先生だな、、、、、えい、判った。君がそこまで言うのであればはっきりと君に聞こう、、、、、、根本志保子、、君は当然の事にこの目次にある二つの随筆に於いて、その詳しい内容を知っているんだろう、、、、何しろそれぞれの随筆の末尾に君の批評が記されているからな、、、、、、、、」

 その熊谷警部補の言葉にはっとした志保子はすぐに自分のすぐ前に指示された例の二つの随筆と言うよりか読書感想文が記された目次のヶ所を見つめるのである。

  「この二つの随筆が問題だと言うのですか、、、、、、刑事さんも読んで判りますように、、、、この二つの随筆は単なる読書感想文に過ぎません、、、、まさか、、、、こんな物が問題だとでも言われるのですか?」

 志保子はそのように呆れたと言う様な表情になって目の前の警部補を睨み付けるのである。それに対して熊谷警部補は表情も変えずに淡々と次のように話を続けるのである。

  「この二つの随筆のそれぞれの末尾に君の批評が記されているからには、、、当然の事に君もこの随筆と言うか読書感想文を熟読しているのだな、、、、、、」

  「それは、、、そうですが、、、、それがなにか、、、、、、、、、」

  「根本志保子、、、それでは、、君はこの二つの随筆、読書感想文と称される文章の明らかな問題点が判らないとでも言う積りかね、、、いや、、、それよりもその事を逆に確信したうえでこの白木並びに谷崎と言う女生徒にこのような問題となる文章を書かせたのかね、、、、、、、」

  「刑事さん、、、、貴方が何を言って居るのか、、、、わたくしには判りません、、、、、、」

  「根本志保子、、、先ほども少し、君に言った様に既に我々はこの二つの随筆・読書感想文の作者である白木、谷崎の両人からいろいろと事情を聴いた。それによるとだ、、、、、、このそれぞれの随筆・読書感想文の課題図書として、白木にトルストイの戦争と平和、谷崎にラ・マルクの西部戦線異状なしの二作品を薦めたのは君だと言う事だね、、、、、、」

  「それは、、、そうですが、、、、、、」

  「そして、更に白木、谷崎の両人がこの同人誌に記したこの二つの随筆・読書感想文を執筆するに当たり、君は様々な指導を行ったと言う事だね、、、、、、、」

  「それは、、、そうですが、、、、それが、、、、」

  「それではまた、ちと話が変わるがね。根本志保子、君はこの昨今の我が帝国を巡る情勢についてどのような考えを持っているのかね、、、、、、」

  「エエエエエエ、、、、、それは、、、、」

  「良い金、、、、現在、ただ今、かの大陸に於いて我が栄光ある皇軍が勝利に向かって進軍を続けている。この非常時に置いてはこの日本内地に住む我々もしっかりと銃後の守りを固めて行かなければならない。それは将来健全な婦女子を育てるべき高等女学校と手代わる事は無い、、、、そうであろう、、、、」

  「そ、、、それは、、、確かにそうでしょうが、、、、」

  「それでは君はこのような厳しい状況下において、この二つの随筆・読書感想文がどのような意味合いを持つのか考えてもいなかったのかね?」

  「そ、、、、そんな、、、この二つの読書感想文のどこがいけないと言われるのです、、、、、」

 この時に、熊谷警部補はその手に下例の紅梅文芸をドンと机の上に叩きながら次のように叫ぶように言うのである。
  「君、、、、この二つの随筆は明らかに反戦いや厭戦思想を帯びた全くけしからん文書では無いか、、、、、それが君にはまだ判らないのかね」

  「エエエエエエ、、、、、反戦、厭戦思想ですって、、、、、、、そんな、、、、、、バカバカしい」

 そのように志保子はその表情を引きつらせながらも、その後手に手錠を嵌められた不自由な体を小さく震わせながら笑うのである。それだけ、この目の前の刑事の言う事が志保子にはまるで見当違いも良い所であった。

  「笑うんでは無い、、、、、、」

熊谷警部補はそのように叫びながら机をバンと叩いては志保子の顔を物凄い表情で睨みつけるのである。その警部補の様子にさすがに志保子もその微笑を引っ込めるのである。
  「良いか、、、、お前、、、、この読書感想文と称される文章には戦場の有様や兵士の過酷さを必要以上に大袈裟にわざと誇張しているではないか、、、、、、、これは明らかに反戦・厭戦思想を鼓舞していると思われるのだ、、、、、、」

  「そ、、、、そんな、、、馬鹿な、、、、だって、そもそもこの課題とされた二つの小説の主題が戦争とそれに参加している一人一人の兵士の味わった空しさを表現しているのですから、、、、、それに対する感想となると当然のように戦場における兵士の過酷さについての考えを述べるのは極々自然でしょう、、、、、」

  「黙れ、、、、、、、先ほども言ったが我が皇軍の兵士たちが大陸に於いて苦労を重ねながらひたすら勝利の為に奮戦しているのである。それを銃後から邪魔をするがごとき文章を見過ごしに出来るか、、、、、、」

  「刑事さん、、、、、、今、支那で兵士の皆さんがそれは必死に戦っておられるからこそ、、、、このような文章の意義が有るのですよ、、、、、、、」

  「何だと、、、、、それはどう言う意味だ、、、、、」

  「宜しいですか、、、、、、、支那の大陸で多くの兵士の皆さんがお国の為に頑張っておられるのです。当然の様に女であるわたくしでも戦場と言うところが大変な所であることぐらいは認識しています。そしてそのように必死に日本の為に戦っていて下さる兵士の皆さまが戦場でどのような厳しい状況にあるのかと思いを寄せる事のどこが反戦。厭戦思想を鼓舞していると言う事に成るのですか?」

  「な、、、、何だと、、、、、」
  「それにこの紅梅文芸に載せられている小説を刑事さんは御読みになられましたか?」

  「なに、、、、小説だと、、、、、、、」
  「そうです。この小説の題名は善意の針と言います。内容はある女生徒の兄が出征する際に多くの善意の人々が千人針を進んで申し出てくれたことに感動した事を表しています。これも多くの内地の善意の人々が大陸の戦場にいる多くの兵士の皆さんに思いを寄せていると言う事を何よりも表しています。そしてこの問題の二つの随筆も同様な趣旨から書かれたモノです、、、、ですから反戦・厭戦思想の文書とは言いがかりですよ」

  「うむううううううう、、、、、何だと、、、、、、」

 その思わぬ志保子の反論に熊谷警部補は口ごもるのである。

 その時にその取調室にあの本庄刑事が入って来ると、熊谷警部補に何事かをヒソヒソと耳打ちするのである。それに対して、熊谷警部補は黙って頷いてから次のように目の前の志保子に声を掛けるのである。

 「ちょっと、取り調べを中断する、、、、、、」

 それから熊谷警部補はすくっと立ち上がるとやがて、その取調室を立ち去るのである。

 その取調室を出た熊谷警部補はそのすぐ隣の部屋のドアを「トントン」と叩くのである。すると「どうぞ」との返事が返って来たので熊谷警部補は「失礼します」と言って、そのドアを開いてその部屋の中に入るのである。

 その部屋は三畳ぐらいの小さな部屋でそこに年の頃は三十歳ぐらいの小柄でずんぐりした体形で分厚い眼鏡を掛けたいかにも神経質そうな男が立っていた。

 その男こそ、東京地方裁判所検事局の武井政彦検事であった。そしてその狭い部屋はその隣の取調室の様子を透視鏡[マジックミラー]越しに覗ける仕組みになっている部屋であった。つまり、先ほど来から武井検事は熊谷警部補の根本志保子に対する取り調べの様子をじっと見守っていたと言う訳である。

  「フフフフフフフフフフフフ、、、、、だいぶ、、、鼻パ白の強い御嬢さん、女先生のようですね、、、それにさすがに東京女高師を優秀な成績で卒業した才媛だ、、、、弁も経つようですね、、、、、、」

 そのように武井検事が苦笑交じりにそのような事を言うと熊谷警部補はいかにも残念そうに「申し訳ありません、、、、」と答えるのである。 

  「うううむ、、、、僕がここここから取調室の様子を拝見した限りでは熊谷さん、、、、甚だ失礼ですが、、、、、貴方はあの女に口で言い負かされている様ですね、、、、、、」

  「それは、、、、、、、、、、」

  「それに老練な特高刑事である熊谷警部補、、、、貴方らしくも無い、、、、、、、、あのようなインテリ女と口で争って、どするんです、、、、、やはり被疑者が若い女だと何時もの調子が出ませんか?」

  「そんな事も無いのですが、、、、、とにかく、、、、面目もございません、、、、、、、、、」

  「良いですか、、、、、あのように高慢で、インテリで、プライドが高い若い女にはそのプライド、驕慢の鼻っ柱をそれこそ問答無用でへし折るのです、、、、、、、、、、、」

  「へし折るですと、、、、、、」

  「そうです、、、、、あのような小生意気なインテリ女に対してはまず最初に手低的な屈辱と羞恥を味あわせてやるのです、、、、、、、そうすればすぐにシュンとなりますよ、、、、、、、、、、、、、、」

  「なるほど、、、、、そう言うものですか、、、、、、、、」

 この時に熊谷警部補の脳裏にはこの目の前の若い検事が一部では女の被疑者を自白・自供させる事が上手いとの噂が有る事を思い出していた。

  「判りました。それで検事殿としてはこれからどう取り調べを続ければ宜しいとお考えで」

 その熊谷警部補の言葉を聴いた武井検事はその口元にいかにも酷薄そうな笑みを浮かべながら、ヒソヒソと何事かを熊谷警部補に囁くのである。それに対して熊谷警部補も黙って頷くのである。


 それから程なくして、あの熊谷警部補が再び取調室に立ち戻ったのである。
 その熊谷警部補はその取調室に戻るなり、椅子に座らずにいきなり志保子に対して次のように言うのである。

  「根本志保子、、、、本日の君に対する取り調べは終了する。君にはしばらくここに泊まって貰うよ、、、、、、、、」

 その警部補の言葉に志保子ははっとしたようにその顔を上げて「そんな、、、わたしは何の容疑で逮捕・検束されたと言うのです、、、、、、、、ちゃんと、、、、理由をお聞かせください」

  「黙り珠江、、、、、我々警察が君の身柄を検束・勾留の必要ありと判断したのだ、、、、、、、、」

 熊谷警部補はそれだけを言い捨てるとその取調室のドアを開くと「さあ、、、、入ってくれ」と外に声を掛けるのである。するとあの先ほどの本庄刑事とその他、やはりまだ若い二人の制服巡査が入って来たのである。

 それから、熊谷警部補は再び正面を振り返り、その取調室の片隅にある例の補助席に座っている今回の取り調べの記録係りを務めている大宮刑事に次のように声を掛けるのである。

  「大宮君、、、、この女の手錠と腰縄を外してくれ、、、、、、、、、」

 それに対して、大宮刑事は驚きの表情を浮かべながら「主任、、、、、それで本当に宜しいのですか?」と問い返してくるのである。

  「あああ、、、、、構わんよ、、、、、、しかしな、、、、その代わりと言っては何だが、、、、、、こちらの御嬢さんいや女先生の体に捕縄を掛けるのだ、、、、、、、、」

  「エエエエエエエエ、、、、、、この被疑者に捕縄を、、、、、つまり、、、、縛り上げろと言うのですか、、、、、、」

 これにはさすがに大宮刑事もいささか面食らう思いであった。何しろ、昭和のこの時代、既に被疑者を拘束・連行する際には手錠に腰縄と言うのが既に不通となっていたからである。
 それに対して、熊谷警部補はいかにもその口元に皮肉な笑みを浮かべながら目の前の志保子の姿を見つめながら次のように言うのである。

  「こちらの女先生は未だにこのように和装で教壇に立たれておられる様子だし、、、また何でも名高いカルタ取りの選手でもあると言うぞ、、、、、、、そのような今時、珍しい和風の雰囲気を漂わせる御嬢さんの身を拘束するの金属製の手錠などとはまさに無粋の極みと言う者だよ、、、、、ここは一つ、、、、、こちらの御嬢さんには本当に文字通りに我々のお縄を受けて貰いたい物だな、、、、、、、なあ、、、そう思うだろう」

 熊谷警部補はそのような事を嘯きながら自分の背後に立っている一人の制服巡査から一束の捕縄を受け取ると、それをそのまま大宮刑事に手渡しながら「そう言う事なのでな、、、、、すぐにこちらの御嬢さんの手錠と腰縄を一旦、外してから、あらためて、この縄で縛りなおすのだ、、、、、良いな」と言うのである。
 それに対して大宮刑事は黙って頷きながらその差し出された縄の束を受け取るのである。

 それから大宮刑事はその縄の束を補助席に置くと、やがて志保子に掛けられていた後手錠と腰縄を解くのであった。
 そのようにして、ようやく数時間ぶりに自由となった自分の両手を志保子は労わるように刺すっていたが、それも束の間、既に熊谷警部補の目配せを受けていたあの本庄刑事によって再びその身体を羽交い絞めにされたのである。

  「何をするんです、、、、、、離して下さい、、、、、、、、」

 そのような志保子の抗いの言葉を聴きながらもこれまた熊谷警部補の目配せを受けていた大宮刑事はやがてあの捕縄の束を手に取りながら、既に同僚の本庄刑事に取り押さえられている志保子の身体の背後に回ったかと思うと、その華奢な手首を半ば強引に背後に捩じ上げるとその手首を後手に厳しく縛めはじめたのである。

 大宮刑事はそのように背後に捩じ上げた志保子の左右の手首を交差させたところにその手に下捕縄を巻きつけて後手に厳しく縛り続ける、一方で、依然として正面から志保子の体を抑えている本庄刑事に対して次のように声を掛けるのである。

  「本庄君、、、、ちとすまないが、、、、この女先生を跪かせてくれないか、、、、、、、」

 その大宮刑事の言葉に黙って頷いた本庄刑事はやがてこれまた半ば無理矢理に志保子の体をその場に跪かせるのである。 そして、その間に大宮刑事は志保子の華奢な左右の手首を後手に厳しく括ったのである。

  「ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ、、、、、、、、、、、」

志保子はその自分の左右の手首を後手に緊縛した忌まわしい縄目の余りのキツサニ思わず、そのような呻き声をだして、その上半身を耐えきれないように前につんのめらすのである。
 そのような志保子の哀れな様子にも関わらず、大宮刑事は志保子の左右の手首を後手に括った縄目を更に志保子の上半身の前に回しては、いかに着物の上からとは言え、二十代前半の年齢の若い女性に相応しく、それなりに膨らんでいる事が判る志保子の左右の乳房の上下にも食い込ませていくのであった。 このようにして、かくして、志保子の和服に包まれた上半身は厳しく高手小手に縛められたのである。
  「さあ、、、、、先生よ、、、、、立つんですよ、、、、、、、」

 その志保子に対する一応の縄崖が終わったらしく、大宮刑事はそのような事を言いながら志保子を後手に緊縛した縄尻を引きながら強引に立ち上がらせるのである。既にあの本庄刑事は志保子の体からは手を離していた。

 そのようにして志保子が大宮、本庄の両刑事によってその身柄が捕縛されていくのをずっと見守っていた熊谷警部補が再び志保子の顔を覗きこみながら次のように声を掛けるのである。

  「根本志保子、、いずれにしてもだ。君はこの警察署に於いて留置場にいる時以外は例えば取り調べの際などの折は常にそのように縄目の姿のままでいて貰うぞ、、、、、、良いね」
  そんな熊谷警部補の非常とも言える言葉を志保子はその縄目のきつさに喘ぎながら聞いているのであった。

 それから熊谷警部補はその狭い取調室の入り口のところに控えていた例の若い二人の巡査の方を振り返っては「被疑者・根本志保子を留置係りである君たちに引き渡すので速やかにこの女を留置場に収容して貰いたい。良いな」と命じるのである。
  「はい、、、、畏まりました。警部程の、、、、、」

 それに対してその二人の留置係りと思われる二人の巡査は共に声を揃えながらそのように応えながら、熊谷警部補に敬礼をするのである。

 それから大宮刑事が高手小手に縛った志保子の縄尻を例の制服巡査の一人に手渡すと、一方では、本庄刑事が志保子が検束前にその手に抱えていたあの風呂敷包みをもう一人の留置係りと思われる巡査に手渡すのである。

  「ふむ、、、、それでは、もうそろそろ、、、行くとするか、、、、、取りあえずは留置場までは本官らも同校しよう」

 熊谷警部補がそのように誰に言うともなく言うと、あの例の二人の留置係りと思われる巡査たちが再び警部補に敬礼を返してから、志保子の身柄を連行していくのであった。そしてその後を熊谷警部補と大宮、本庄の両刑事が続くのであった。


 警視庁・代々木警察署の留置場は他の警察署の留置場と同じように署の地下に設けられていた。
 その地下の留置場まで二階の取調室から階段を降りながら志保子は計・五人の私服。制服の警察官に囲まれながら着物の上とは言え、見るからに無惨とも言える高手小手の縄目をその身に受けながら引き立てられたのである。その間、既に深夜近くとは言え、まだ少なからずの人数が署に残っていたので、志保子は留置場に引き立てられるまでの間に多くの好機と嘲りの視線をその身に受けながら連行されたのである。

 そして、漸くの事でその警察署の地下にある留置場の入り口までなんとか辿りついたのである。
 その留置場の入り口には机が三つばかり置かれており、そその内の一つに年のころは五十を既に過ぎたと思われるいかにも頑健な体つきをしている頭が禿げ上がった初老の制服姿の警察官が事務を取って板のである。

 その老警察官はその留置場の入り口の前にあの志保子を連行してきた一行が現れたことを確認すると、やおら立ち上がったと思うとその一行の先頭に立っていた熊谷警部補に敬礼をしながら次のように声を掛けるのである。



  「熊谷警部補、、、、ご苦労様です、、、、、、、」

 それに対して熊谷警部補は軽く頷きながら「狭山巡査部長、、、、夜遅いにも関わらず、、、、精が出ますね、、、、、、、、」

 その熊谷警部補の言うが如く、この老警察官はこの代々木警察署で留置係りの主任を務めている狭山巡査部長であった。

 その熊谷警部補の労いの言葉にその狭山巡査部長はその表情も変えずにいかにも淡々とした様子で「いえ、、、、、、これも本官の職務でございますので、、、、、、、」と返事を返した後で、その熊谷警部補の背後にいる志保子の姿をジロリと見つめながら「警部補殿、、、背後にいるのが例の問題の被疑者でございますね」と確認するかのように言うのである。

  「あああ、、、、、そうだよ。まあ、、、ここ、当分はこちらの女先生、、、いや御嬢さんにここに泊まってもらう事となてね、、、、まあ佐山さん、、、、宜しく、、、、面倒をみてやって下さい」

  「判りました。お任せください、、、、、、、」

 そこで熊谷警部補はわざとその声を潜めながら次のように狭山巡査部長にあたかも囁くように言うのである。

  「実はね、、、、この被疑者の取り扱いについては担当の武井検事殿から特にご要望があってね、、、、、、、」

 それから熊谷警部補は更にその声を潜めながら何事かを狭山巡査部長の耳元に囁くのである。それに対して、狭山巡査部長は大してその表情も変えずに黙って頷くのである。

   それから熊谷警部補がその身に忌まわしい縄目を受けて項垂れている志保子の姿を振り返りながら次のように留置係り主任である狭山巡査部長に問いかけるのである。

  「まずは、、、、この女を無事にここの留置場に収容するとしてだ。取りあえずは何をするのかな?」

  「はい、、、、、、そうですねえ、、、、、、、まあ取りあえずはこの被疑者の所持品を改める事ですね、、、、、、、、それでこの被疑者の所持品はどうしました、、、、、、?」

 それに対して、その志保子が抱えていた例の風呂敷包みを持っていた、制服巡査がそれを狭山巡査部長のすぐ目の前に差し出しながら「主任、、、、、、これがこの被疑者の所持品です」と言うのである。

2017/09/22 05:50:18(i7iqMLSB)
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