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1:嗜虐の求婚 ⑧ 最終回
投稿者:
司馬 名和人
由香は思わずそう叫ぶと手で両耳を押さえて蹲ったのである。
「あの女衒はそれこそ、品物を売り込むような感じでそなたがもう女郎になりきっているととくとくと話おった。それに源蔵自ら、そなたの臀部を張り型とか言う怪しげな道具で甚振ったことも嬉しそうに話居ったぞ」 「もうもう言わないでええええ」 由香は尚も蹲りながら全身を痙攣させていた。羞恥でとても顔を上げられる状態では無かったのである。 「由香よ。わたしはこれらの事実をそなたの方から進んで話してほしかったと望んでおったよ。誠に残念じゃ」 猪市はやや言葉を和らげながら優しく蹲っている由香の背中を撫でさすりながら更に言葉を続けた。 「由香よ。今度こそ、正直に話してご覧」 そのような猪市の言葉に促されてか、由香は涙混じりに、あの牡丹屋に捕らわれの身になって以来、受けてきたさまざまの仕込みと言われた調教・陵辱の数々を話し始めるのであった。 その話を聞いていた猪市は聞き終わると眉ねを寄せて口を開いた。 「そなたの話を聞いて居るといかにも仕方がないと言う様に弁解しているように聞こえるが」 「いえ、そのようなつもりで申し上げた訳では」 「しかし、由香よ。そなたの話では最後の頃には縄も解かれてかなり自由な身になっていたのであろう」 「そのように申されましても、監視はついておりましたから」 「しかし、何とかなったであろう。町人・百姓女ならともかく、そなたは武家のそれの直参の妻で、町方与力の娘だったおなごぞ。何とか逃げようとか」 「それは」 「第一に、そなたは屋根裏部屋とは言え、牡丹屋と言う遊郭の中で行われたのであろう。客がいない昼間ならともかく、いろいろな客が押し寄せる夜間ならば大声をあげるなどして助けを求めるなど思案もあろう」 「そそれは・・・・・」 由香は意外とも言える猪市の追求に戸惑いの表情になった。確かにそう言われて見ればそのように助けを求めることも可能であったかも知れないが、その当時の由香にはそのような考えが思い浮く余裕すら無かったというのが実情であった。しかし、当事者でもなく、まして男であるこの猪市にそれをどのように説明すれば良いのか判らないのである。 「まあ良い、つまり、由香よ。そなたはその鬼八とか申す男とおひるとか申す女郎から散々意嬲りものになっていたと言うわけじゃな」 「はい、その通りです」 由香は今にも消え入りそうな小声で返事を返すのである。 「フウウウウウウウウ」と猪市は大きくため息をつきながら更に言葉を続けた。 「由香よ。つまり、そなたは武家のおなごとして死にも勝るそのような恥辱を受けていながらもさも何事も無かったような顔をしてわたしのもとに嫁いで来たと言う訳じゃな」 そのように言う猪市の口調はいかにも苦々しいものであった。 その猪市の言葉に由香は顔を上げて思わず叫ぶように言った。 「そそんなあんまりです。そのようなおっしゃり方は」 「しかし、そう言われても仕方があるまい」 その猪市の冷たい言葉に由香は唇を噛んで押し黙った。 そのような由香に向かって猪市は更に冷たい口調で言い渡すように言った。 「由香よ。その長襦袢を脱ぐのだ」 「ええ」 「何をしておる。聞いておらんのか。その赤い襦袢を脱いで裸になるのじゃ。言っておくがそなたが裸になったのかどうかぐらいは側でみればわたしの目でもわかるから、ごまかしは聞かんぞ」 「そそんな無体な」 由香はそう言って唇を噛んだ。 この時代の良家のそれも武家の女に取って、いかに夫の前といえどもその素肌をさらすなど考えも及ばぬことである。 「何を愚図愚図しておるのじゃ。そなた、はあの女衒や遊郭の鬼八とか申すいかがわしい男どもの前で散々にその姿を晒しておるではないか」 「ウウウウウウウウウウ、そそれは」 今の由香に取って、それを言われるのが一番つらいのである。 「それなのに、夫たるべき、わたしの前に素肌を晒す訳にはいかんのか。わたしにはそなたがどのような甚振りをあの遊郭の連中に受けたのか、夫として確かめる必要があるのじゃ」 「そそんな、何のために」 「煩い。これ以上、つべこべ言うと無理やりにでもその襦袢を脱がすぞ」 「そそんな」 「ヘヘヘヘヘ、その時に大声を出したけれは出せば良い。ここはやや離れていると言ってもそなたの実家である柴田家の屋敷の一部じゃ。騒ぎが起こって恥をかくのはわたしではなく。そなたの方だぞ」 猪市は背背笑いながらそのようなことを呟くのである。 由香はその夫の嘲りの言葉を唇を噛んで聞いていたがやがて意を決したようにやや強張った表情を夫に向けて呟くように言った。 「わわかりました」 由香はよろよろと立つと猪市に背中を見せながらためらい勝ちながらも身に着けている緋色の長襦袢の伊達巻に手を着けたのである。 「シュルシュル」 そのような衣擦れの音とともに由香が身に着けている長襦袢の伊達巻を解き、長襦袢をおずおずと脱ぎ始めた。 由香の背中から長襦袢が滑り落ちるように脱がされた。それから由香はその下の肌襦袢も脱いで行ったのである。その間に猪市は余り見えない目を精一杯にこらして見つめるのである。 そうこうするうちに肌襦袢も由香の背中から滑り落ち、由香の上半身の白いす肌が露になったのである。 その由香に猪市は粘りつくような視線を注いだが由香はそれに耐えられないように思わずその場に露になった左右の乳房を両手で庇うような姿勢で蹲ったのである。 しかし、猪市はそのような由香に冷たい口調でこう言った。 「由香よ。何をしておる。わたしは全裸になれと言った筈だが。下半身はまだのようじゃが」 「そそんなこれでご勘弁を」 「駄目だな。その赤い腰巻も剥がすのじゃ」 「ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ、おお許し下さいいいいいいいいいいいい」 由香は依然として自分の左右の乳房を両手で庇いながら猪市に背中を見せてその場に蹲っているのである。 「フムフム、仕方がない。残念であるが少々、手荒い真似をさせて貰うぞ」 武井猪市はそのようなことを呟きながら枕元のすぐ側に置いてある黒い小箱に手をかけてそれを開けるとその箱の中からあるものを取り出したのである。 由香はそっと恐る恐る背後を振り返り夫の様子を見ていたが猪市が黒い小箱から取り出したものを見てはっと身を強張らすのである。 「そそれは旦那様、ななぜ、そそのようなものを」 由香は思わず引きつったような声を出した。その由香の視線の先には猪市が手に持ったどす黒い縄が握られていたのである。 猪市はその縄をほぐしながらつめたい口調で由香に言い渡すのである。 「由香よ。両手を背後に回すのだ」 「ヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ」 思わず、由香の口から引きつった叫び声が聞こえて気たのである。 「何で、何でですううう、何故わたしを縛るのですうううううう」 「フフフフフフ、由香よ。何をうろたえておる。そなた、既に何度もその素肌に縄を打たれているではないか」 猪市はそのようなことを呟きながらどす黒い縄を手にしながら由香に近づいてゆくのである。 「ヒエエエエエエ、旦那様あああ、おお許しおおおおおお」 猪市はそのように叫んで後ずさりする由香の背中をぐいと掴んで引き起こした。 それから強引に由香の両手を背後にねじ上げて一つに組合すのである。 そうやっておいて、口に銜えた縄で日とくくりにした由香の両手を縛り始めるのである。 「ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ、おお許しおおおおおお」 そのような由香の喘ぎ声にも構わず猪市は縛った手首を更に上に上げると更にその縄を前に回すのである。 どす黒い縄は由香のふっくらした左右の乳房の上下に激しく食い込み締め上げてゆくのである。 「ああああああく苦しいいいいい」 由香は荒い息をしながら身を前につんのめらしたが、猪市はその由香の身を再び引き起こすと更に余った縄を前に回して首縄としてそれを再び由香の左右の乳房を締め上げた縄に繋ぐのである。そしてその縄尻を更に背後の手首を縛っている縄に繋いでようやく由香に対する縄がけが終わったのである。 こうして由香はその上半身を裸に剥かれた上に雁字搦めに縄で縛られたのである。 「フフフフフフフフ、由香よ。どうだ。久しぶりにおのれの素肌に縄を打たれた気持ちは」 「ウウウウウウウウウウウ、ききついいいいいい、おお許しをおおおおお、だ旦那様あああああ」 「フフフフフフ、まああそう言うな。へへへ、わたしの縄の掛け方はあの遊郭の男らと比べてどうだ。まんざらでもなかろう」 猪市はそのようなことを背後から由香の耳元で囁いた。そして更に言葉を継いで言った。 「フフフフフ、これでもなあ。そなたの父の柴田殿の配下の目明しから捕縄術を教わったのじゃ。フフフフフフフ、目が見えない者にしては上手いじゃろう」 武井猪市はそのようなことを嘯きながら背後からそっと縄でくくられた由香の左右の両乳房を持ち上げるような格好で触るのである。 「フフフフフフフ、そなたの乳房は柔らかいのおお」 猪市はそのようなことを由香の耳元で呟きながらその乳房を揉み上げはじめるのである。 「フフフフ、やはり、そなたの乳房は柔らかいのお。わたしが思った通りだ」 猪市はそのようなことを嘯きながら由香の左右の乳房を背後からゆらゆらと揉み上げる一方で由香の首筋から項にかけて口を這わせ始めた。 「ウウウウウウウウウウウウ、おお許し尾おおおお」 由香はたちまちに、そのような呻き声を上げて身悶えたが、猪市はそれに構わず、由香の首筋をねっとりと舐め上げるのである。 そうしてまずは由香の項から右の首筋を舐めると今度は一転して左側の首筋を舐めて、更に再び右側の耳に舌を差し入れて愛撫するのである。 「ウウウウウウアアアアアアアアアアアアア」 由香は喘ぎながらやや身を仰け反らしたが、猪市はその由香の反応に気づくととっさにおのれの右手を由香の顎の下にいれてやや自分の方に振り向かせると由香と唇を合わせたのである。 「ピシャピシャピシャアアアアあ」 猪市は由香をやや背後に顔を振り向かせると言うやや不恰好な姿勢をとらせてその口に接吻して、由香の舌を存分に味わうのである。 「ピシャピシャピシャアアアアアアアア」 猪市はそう言った格好で由香とかなり長い間に渡って由香と接吻を続けたあとでようやく口を離すのである。 「フウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ」 そのようなため息とともに由香はガックリとうな垂れるのである。 「フフフフフフ、由香よ。そんな格好での口吸いも満更でもなかろうて」 猪市はそのようなことを由香の左の耳元でささやくとその左耳に舌を差し入れたのである。 「うう、おお許しおおお」 猪市は今度は左側から由香を自分の方に振り向かせると再び由香の唇を奪うのであった。 「ピシャアアアアアアン、ピシャアアアンン、ピシャアアアアアアアアア」 こうしてまたかなり長い間に渡って猪市は由香と唇を合わすのである。 こうして猪市は由香の唇を散々に弄んだあとで再び由香の耳元でこう囁くのである。 「フフフフフフフ、それでは由香よ。そなたの下の観音様をじっくりと拝見させていただこうかな」 その猪市のいかにも思わせぶりな言葉の意味を察したのか、由香は一段と身を強張らせるのである。 「ヘヘヘヘ、由香よ。何をそんなに身を硬くしておる。いまさらうろたえてどうする」 猪市はそのようなことを嘯きながら由香の下半身を覆っていた緋色の腰巻に手をかけてそれを引っ剥がすのである。 「アアアアアアアアアアヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ」 たちまち、由香の鋭い悲鳴が聞こえてきたのは言うまでもない。 由香の下半身を覆っていた緋色の腰巻が剥がされてついに由香の股間の女の秘所が露になったが、猪市はさも無造作におのれの指をその秘部に差し入れるのである。 「ウウウグウウウウウウウ」 猪市は指でその秘所を弄るとニヤリと微笑してから、それを抜き去ると由香の耳元で囁いた。 「フフフフフフ、由香よ。そなたの観音様はほれほれ既にこんなに濡れ手おるぞ」 由香はその猪市のからかいの言葉に顔を朱に染めてイヤイヤするように顔を左右に振るのであった。 それから猪市は右手で由香の乳房を、左手で由香の股間の秘所をそれぞれ弄りつつ、口と下で由香の首筋から項にかけてねっとりと愛撫を続けるのである。 「アアアアウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ」 「アヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ」 「イヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ」 「イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」 猪市によるそのような手・指及び口・下による執拗な愛撫により、由香は喘ぎ声、呻き声を出しながら身悶えて縛られた身をのた打ち回らせたのは言うまでもない。猪市によるそのような由香に対する愛撫が約四半時[30分]程続いたが、その間に悶え、のた打ち回る由香の口から喘ぎ声・呻き声が漏れたのは言うまでもないが、猪市の執拗な愛撫が続くうちに由香が口からほとばしる喘ぎ声・呻き声の調子が次第に甘い声音に代わっていったのである。 「ウウウーン、イヤイヤアア」 「だめだめええええ、そそこはあああ」 そのような由香の口から出る喘ぎ声の調子が変わったことを敏感に察した猪市は薄笑いを浮かべてから由香の耳元でわざと甘い声音で囁くのである。 「フフフフフ、由香よ。気持ちがいいのかい」 そのような言葉を囁きながら猪市が由香の右の耳を軽く噛むと由香は顔をますます朱に染めながらいやいやするようにするのである。 それから猪市は由香を仰向けに布団の上に寝かせると改めて由香の緊縛された全裸の体に覆いかぶさった。そして今度は正面から由香の縄で縊られた左右の乳房をおのれの両手で揉み上げ始めるのである。 「アアアウウウウウウウウウウイイイイイイイイイイイイイイイイイ」 「アグウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ」 「フフフフフ、由香よ。そなたの乳房は誠に柔らかいのお、まるで餅をこねている様じゃ」 猪市は由香の左右の乳房を揉みながらそのようなことを嘯きながら、更に今度は右側の乳房を口に含むのである。 「あああぐううううううううううう」 そのように猪市はそれからしばらくの間はまた執拗に手と口で由香の左右の乳房への愛撫を続けたのである。 それが一通り、済むと猪市は顔をやや上げてから再び喘ぎ声・呻き声を出したために開きっぱなしになっている由香の唇とおのれの唇を合わして舌を絡ませるのであった。 「ピチュウウウピチュウウウウウ」 「ピシャアアピシャアア」 またまた、かなり長い間、猪市と由香は接吻を続けてから猪市はまたまた執拗に由香の左右の首筋を舐め上げるのであった。 「アアアアウウウウウウウウウウウウウウウ」 「いやアアアアあんんいやああん」 由香は猪市による首筋への愛撫のために顔を左右に振り続けるのである。 そのような由香の上半身への長い責めが続いた後に、ようやく猪市はまた再び由香の下半身への責めを始めたのである。 猪市は自分の顔を由香の下半身へ移したあとでまずは由香の股間近くの左右の太腿に舌を這わせて接吻したのである。 「ピチュウピチュウウ」 そのような音を立てながら猪市は由香の太腿に対してかなり長い間、口吻を続けた挙句に頃合を見計らって再びおのれの指を由香の股間の秘部に差し入れるのである。 「ウウウグウウウウウウウウウウウウウウウウウウ」 「アウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ」 そのような由香の喘ぎ声を聞きながらこれまた猪市は執拗に由香の股間への指による責めを続けるのである。 猪市はただただ指を由香の股間の秘所に差し入れするだけでなく、やがて上下、左右に指を巧みに動かし始めた。 「ヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ」 そのような猪市の指技に由香はたちまち呻き声をあげて更に一層、身を仰け反らすのである。 それから更に四半時[30分]ほどの時間をかけて由香の股間への指による愛撫は続けられ、その間、由香は布団の上でのたうちまわされて、ぐったりとなった。 そのような由香の様子を敏感に察した猪市はニヤリと薄笑いを浮かべてから言った。 「フフフフフフフ、それではいよいよ。そなたと情を通じることにするかな」 それから猪市は改めて由香の体を抱き起こし、同時に自らは胡坐を組んだ。そして由香に頬刷りしながらさも甘い声音で囁くのである。 「ささあ、由香よ。わたしの膝の上にそなたのあ そ こ を跨るように乗せ上げるのじゃ」 猪市はつまり、由香に相対座位の姿勢を取る様に求めたのである。 その猪市の真意を察した由香は弾かれたように顔を上げたその顔はますます朱に染めて恥ずかしがるように呟くのである。 「そそんな恥ずかしいいいいい」 「フフフフフフフ、その格好でおなごと致すのがわたしの好みでな。ままあ駄々をこねずに膝の上に跨るのじゃ」 猪市はそのようなことを嘯きながらやや強引に由香をおのれの膝の、つまり胡坐を組んだおのれの股間の上に跨らせるのである。 そうしておいておのれの一物を由香の股間の秘部に差し入れるのであった。 「ウウウグウウウウウウウウウウウウウウウ」 初めて猪市の男根を受け入れて床は思わず声を上げて呻いた。 「フフフフフフ、由香よ。ようやく、そなたと繋がることができたのお」 そのように猪市は由香の耳元で囁いた。猪市の右手は由香の腰を掴み、右手あは後手に括られた由香の両手首を押さえて由香の体全体を支えていた。それから猪市はやおら、おのれの腰を動かし始めるのである。 「アヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ」 「アグウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ」 「あううううううううううううううん」 前の夫である関口隼人が逐電して依頼、久しぶりに味わう他の男の一物を受け入れたのである。床はただただ身悶えて身を仰け反らすのみである。 「由香よ。ほれほれ、久しぶりの男の味はどうじゃ。ここちよいか」 「ほれほれ黙っていては判らん。前のご亭主、関口殿と比べてどうじゃ。ほれほれ」 猪市はおのれの男根を下から突き上げながらそのようなことを由香の耳元で囁くのである。 「そそんなことは言わないでええええええ」 「せ関口のことを言わないでエエエエ」 由香はそのようなことぉ眉根を寄せながら身をのけぞらしながら叫ぶように言うのである。 「ほれほれ、どうじゃ、言うのじゃ。わたしの方がいいと、ほれほれどうじゃ」 猪市は更にそのようなことぉ由香の耳元で囁きながら更におのれの男根を突き上げるのである。 「ウウウウウウウウウウウウウウウウウ、だ旦那さ様あのおお方がいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」 猪市と由香はそのようなことを言いながら逢相対座位の姿勢で男女の交わりを続けていた。やがて、由香も猪市も段々と気が高まっていくのである。 そして由香がひときわ高い叫び声にも似た声をあげて身を仰け反らした。その由香の様子を察した猪市はは身悶えて息も絶え絶えの由香の耳元に口を寄せて囁いた。 「由香よ。一緒に極楽に参ろう」 その猪市の言葉に由香は頷くとついに己の方から腰を大きく動かし始めるのである。それと対応して猪市も更に腰を動かしておのれの一物を下から突き上げるのである。 そのような状況の中でついに由香は痙攣したように体をのた打ち回らせると「うううううううううううううういいいちゃあああううううううううううううううううう」と絶叫に近い声をだしたのである。それと同時に猪市も「わわたしもおおおおおおおお」と叫んだ。そして由香はそれからすぐにぐったりとなったのである。 それから由香はおのれの顔を猪市の胸に預けた格好となり、目を閉じてそのままの状態になった。 「由香よ。良かったよ」 猪市はそのように由香の耳元で囁くとやがて由香の顔を上げさせるとお互いに猪市と由香は顔を見つめあったがやがてどちらともなくお互いの口を合わせたのである。 「ピシャピシャピシャアア」 猪市は由香との長い口吻のあとでようやく由香を縛っていた縄を解いたのである。 縄を解かれた由香はまた再び緋色の長襦袢と腰巻を身につけてから枕元においてある枕紙でおのれと夫の股間の愛液を拭って清めたのである。 それから猪市は再び由香を抱きしめるとその耳元で囁いた。 「これでわたしとそなたは本当の夫婦になった。これから長い間、宜しく頼むぞ」 その声音は優しく、愛情に満ちたものであった。由香も顔を朱に染めながら「わたくしの方こそ、宜しくお願い致します。これからも末永く」 その由香の返事に猪市は満足したように由香に頬刷りしながらやや恐縮したように由香の耳元で囁くのである。 「それで由香よ。そなたにまた一つ、頼みがあるのじゃが」 「それは何でございましょう。旦那様」 「うむ、嫌ならいいのだが」 「ご遠慮せずに、言ってください。旦那様」 「うむ、誠にすまないがそそなたのその愛らしい口でわわたしのあのい一物を慰めて貰いたいのじゃ」 その猪市の言葉に由香は一瞬、顔を強張らせたが「はい、判りました」と言うのであった。 それからやおら猪市は由香の前に立つとまた纏ったばかりの浴衣の裾を肌蹴たのである。由香は目の前に現れた猪市の男根を躊躇うことなく自由になったおのれの両手で優しく掴むとそれをおのれの口で銜えるのであった。たちまち、猪市が喜悦の声を上げたのは言うまでもない。 由香は新しい夫の一物を口で愛撫しながらの権兵衛と言われる公事師が来てからの色々な出来事を反芻していた。あの牡丹屋とよばれる岡場所の遊郭に騙されておびき寄せられたこと。その牡丹屋で礼の鬼八などから言語に絶する仕込みと呼ばれる陵辱を受けたことや、女郎に落とされる寸前にこの目の前にいる猪市に救われたこと。そしてその猪市からの求婚を受け入れて、今日の初夜を迎えたこと等、そして次のようなことを感じていた。 「全ては、この新しい夫の企てたことではないか」 しかしである。由香は考え直した。 「結局はわたしはこの盲人の妻になるべき運命だったのだ」 そのようなことを考えながら由香はただただひたすらに新しい夫の一物をおのれの口で慰めていったのである。 作者 あとがき
2017/08/08 05:27:15(uyS7Jx2o)
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