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契約彼女1
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:SM・調教 官能小説   
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1:契約彼女1
投稿者:
契約彼女1‐1

夏休みに入ってすぐ、二人の新人が採用された。
一人は真田美佳(サナダミカ)。
どこか抜けてる印象を受ける彼女は、恐らく少し天然が入っている。
もう一人は河村友恵(カワムラトモエ)。
パッチリした瞳がとても可愛い。
夏休み直前にフラれた俺には色んな意味で期待の新人達だが、美佳ちゃんの左手の薬指には忌々しいシルバーリングが輝いていた。
もちろん、バイト中は外しているのだが。
なんせファミレスという飲食店と接客業の代表的な職場なだけに、その辺は気をつけなければならない。
それなのに、ギャルのような外見のこの二人が採用されたこは、俺の中の予想を裏切っていた。
まぁ、嬉しい誤算ではあるけれど。
それから2週間後に新人歓迎会なるものを催し、飯食って飲んだくれたわけだ。
そこで友恵ちゃんはトモと呼ばれることに決定した。
ちなみに二人とも1回生で、美佳ちゃんに至っては同じ大学だという。
トモよりは美佳ちゃんの方がタイプなのでいいのが、彼氏の存在がちらつく分複雑な心境である。

「俺、カノジョ募集中ッス!」

と酔いの勢いを借りてアピールしてみたが、たぶん、全くもって無意味だろう。
帰り道、トモと同じ方向だったらしく、とりとめもない会話をしながら彼女の自転車を引いて歩いていた。
夜の10時を回って車数が少なくなってきた大通りに面した歩道を、空回り気味のテンションを頼りに歩いていた。
当然、彼女の方は素面だ。

「っていうか、彼女いないとか意外です」

トモが避けて通って欲しい話題をふってきた。
彼女に悪気がないのは理解しているが、かさぶたを少し剥がしてしまったような痛みがチクリと胸を締め付ける。

「いや~ちょっと前までいたんだけどねぇ……」

笑みを浮かべるも、きっと苦笑いになってしまってるだろうな。

「じゃあ……私と一緒ですね」

そう言ってトモは笑った。
不思議な程に無垢な笑顔を。
それを見てしまった俺としては、その裏で必死に堪えている悲しみを嫌でも想像してしまう。

「あー……」

何かを訊こうとしたのだが、俺の下宿するアパートに着いてしまった現実がそれを遮った。
2010/09/18 09:42:20(wndIvKVi)
2
投稿者: アイスマン
『後輩は性奴隷』の悠さんですよね?

今回も期待しています!!
10/09/18 23:09 (H9vuF4te)
3
投稿者: 悠
アイスマンさん

はい、その悠です。
更新頻度はかなり落ちそうですが、これからもよろしくお願いします。
10/09/19 14:05 (jQJQCnkP)
4
投稿者: 悠
契約彼女1‐2

「俺、ここなんだ」

立ち止まった俺に続いてトモもその場に佇んだ。
4階建てのアパートで、各フロアには5部屋ある。
10畳でセパレート、1階部分は駐車場になっているが、家賃は5万ちょいと良心的だ。

「じゃ「もうちょっと」

去り際の挨拶に割り込んできた、トモの小さな声。

「もうちょっとだけ、話しませんか?」

つまり、部屋へ上げろってことか?
このまま会話を続けても、互いの傷を舐め合うだけになる気がする。
確かに、同じ境遇を嘆き合うことで前へ進む切っ掛けを得るかもしれない。
しかし、悲しみの淵を覗いてその奥底へ堕ちていく可能性も孕んでいる。
ただ明瞭にわかっていることは、トモが帰るのを拒んでいること。
助けを求めていること……?
それなら、何を迷うことがあるだろうか。

「……寄ってく?」

救いを求めて伸ばされた手を払い除けるほど、今の俺は行き急いではいない。
同じ痛みを抱く相手となれば、余計に躊躇いは薄れていく。
俺の呼び掛けに、トモは

「はぃ……」

と小さく答えた。



座るように促すと、布団のない炬燵机に向かってトモは腰を落ち着けた。
俺はパソコンデスクとセットの椅子に、背もたれを前にして跨ぐように座る。

「で? 何話す?」

少し明るい声色にして訊いてみる。
トモは少し俯き加減のまま、

「遠距離って……難しいんですね」

と何かを悟ったように言った。
曰く、卒業式に告白して付き合うことになった彼は、新幹線で2時間ほどかかる大学に行ってしまったらしい。
結果、夏休みの直前に関係は終わった。

「そうかな?」

同じ状況の俺は2年続いた。

「ま、ふられた俺が言っても説得力ないか……」

苦笑を浮かべる俺を見ていた視線が、壁にかかった時計に向いた。
それにつられて俺も目を遣る。
もう11時を回っていた。

「……仁さん」

俺の名を口にしたトモは、また顔を俯けていた。

「抱いてもらえませんか?」

「は?」

俺は耳を疑った。
何の脈絡もなく突然そんなことを求められたら、大概の人は当惑するだろう。
少なくとも、今の俺はそんな状態だ。
寂しさを埋めることが目的で体を重ねても、その後には虚しさしかまってないのではなかろうか。

「あのさ……」

「……お願いします」

小さな声にははっきりとした意思が感じられる。
ふっと上げられた彼女の顔は、とても思い詰めていた。
10/09/19 14:23 (jQJQCnkP)
5
投稿者: カカ
久しぶりの悠さんの作品に期待してます!
10/09/19 20:45 (.Cvr8XhH)
6
投稿者: 悠
カカさん

お久し振りです。
前作では貴重な意見を沢山いただき、有り難うございました。
今作も最後までお付き合いいただけると嬉しいです。

10/09/20 14:00 (nYYSKu6p)
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