３大欲求に数えられる性欲が何故こんなにも低俗なものにされているのか。
私はそれが理解できないのだよ。

虚空空子（コクウカラコ）というふざけた名前の女が僕に語る。
まるで見透かしたように。
真っ直ぐ目を見つめながら。
口だけを動かすように唇が艶かしく語る。

誰にでも性欲はある。食欲や睡眠欲と同様にだ。
程度の違い、嗜好の違い、人それぞれに違いはあれど、結局子孫繁栄の目的を為すために。
要するに女性器に中出しを決めて孕ませたいという目的を達成するために！だ。
だけど、どうだろう。
実際にはその目的が行為そのものに置き換わるケースも少なくない。
快楽だよ。明智くん。
快楽を得るためにセックスをする。
子孫繁栄のために、快楽を伴う行為とした子作りが、快楽を得る手段に成り代わってしまう。

嗚呼。

吐息のような、感嘆。
ソファに座る僕に跨り、抱きつくように手を回す。
ふわりと香る香水は、甘いというよりどこか枯れた植物を連想させる。
皮張りのソファがズズッと音を立て形を変える。
股を開いて馬乗りになる際にスカートが邪魔だったのかパンツが見えるほどにたくし上げている。

粘性があるんじゃないかと思われるほど、ねっとりと耳を愛撫するような囁き。

官能的だろう？だからさ。私と交尾の練習をしようじゃないか。何度も。
避妊をして、子供ができない交尾の練習。
マンコとチンポで気持ち良くなるだけの行為。
明智くん。限界だよ。割れ目の辺りを触ってみてくれよ。
濡れているだろう？

右手が誘われた先は、性器の入り口の辺りで、細くて少し冷たい指先が、それなりの強さで自分の股間に僕の指を押し付ける。
確かに濡れている。レースとわずかな布地。
指先が数ミリ沈み込んで、じわりと水分を感じる。

んっ。いいよ。明智くん。そのまま君の指で犯してみてくれないか。限界だよ。

自慰行為ともとれそうな愛撫。
相手の指先を自分の性器に当てて、腰を動かしたり指先を動かして快楽を得る行為。
時折、硬さを感じる小さな小豆大の突起を撫でるたびに腰が跳ね上がり、僕にかかる重みが増す。

…ダメだね。もう…。
交尾がしたいしたいしたいしたいしたいしたいしたい。子供も作りたい！
生のチンポハメて？何度も擦って精液をマンコに飲ませて！

あ、あの空子さん。盛り上がってるところ申し訳ないんですが、今日はそういう気分じゃないんです。

とろんとした表情の空子さんがこちらを見つめる。

じゃあ、明智くんは、どういッ！ッ！

首を絞める。
片腕で細い首に指先がめり込む感覚に全身の血が湧く。

今日は、こういう気分でして。

苦しそうに首を締める手を外そうと抵抗する姿に興奮が止まらない。
既に自慰行為のようなそれは終わっていて両手で抵抗を始めている。
こちも折角両手が自由になったので、手際良くチンポをズボンの中から取り出す。
弾けるように外に飛び出したソレ。

ーハメたい。今すぐ。

首を締め付けていた手を離す。
時間にして十数秒ほどの話だが、少し力を入れすぎたのか、顔色が悪く、咽せている。
息が整う前にと、力強く抱き寄せ、パンツの布地を横にずらす。多少苦しいかもしれないが、我慢できないので間髪入れず、剥き出しになった膣口にチンポをねじ込む。

ッあっ！

苦しみなのか、快楽なのか、嗚咽とも喘ぎ声とも取れる短めの声を上げる空子さん。愛しい。

いっかい、やめっ！ーッ！

服の胸の辺りを掴んで、一度行為を中断することを要求してこようとしていたが、そうはさせない。
今度は両腕で首を絞める。
そのまま、身体を持ち上げてみる、まあ首の骨に良くなさそうだから、持ち上げるというよりは促す感じかな。
マンコのひだを感じながらチンポが擦られる。
快楽が背筋を走る感覚が堪らない。
外に飛び出さないくらい持ち上げたら次は降ろす。
今度は勢いよく。
ぱちゅっという水気の多い音を響かせ、激しい快楽と奥の方に亀頭が擦れる感覚に全身が震える。
そのまま上げておろしてを繰り返す。
既に首かける手は形式だけ、最初は苦しそうにしていたが、次第に自ら上下運動を行う。
でも首にかけた手は外さない。
ーだって。

どうしても、今日は空子さんをオナホみたいな扱いしてみたくて。精子出るまでやめちゃだめだよ？

その視線は快楽に澱んでいるのか、絶望の色を映しているのか、先ほどよりも重い色に見える。
何度も繰り返さず、数分間の行為の後、射精した。出るとかも言わず、上がらないように下に押さえつけて。数回脈打つように射精した。

首から手を離すと、首筋に少し指の痕が残っている。綺麗な白い肌に、赤い痣が綺麗だ。

空子さんは糸が切れた人形のように身体を預けてきた。先ほどよりも重く。
息も絶え絶えな様子で、嗜虐心がくすぐられる。
顎を指先で持ち上げ顔をこちらに向けると、とろけたような顔で、よだれを垂らしている。
だらしのない口に舌を滑り込ませ、唾液を交換しつつ、片手で腰を押さえつけながらゆっくりと膣の中に精液を染み込ませるように擦り付ける。
上の口と下の口にねっとり優しく刺激を与えているうちに空子さんの体が小刻みに震えた。
そのまま10分ほど続けたあと、チンポを抜き去り、ソファに仰向けに寝かせて、使用後のマンコの写メを何枚もスマホで撮影した。

一頻り終わって思考が戻ったのか、空子さんが、中だし汁を太ももに伝わせながら、ソファーから立ち上がった。

明智くん。君の相手は飽きないね。飽きないよ。殺されると思ったけど、このまま終わりたいとも、このままオナホにされたいとも思った。
要するに凄く良かったよ。是非もっと君の性癖を観察させて欲しい。

僕を観察してどうするんですか？ただの変態ですよ。

いやいや、君はただの変態じゃないよ。
君のしてみたいプレイに凄く興味があるんだ。だから是非私の実験に付き合ってくれたまえ。

実験ですか？

そう。現代においても、性欲は３大欲求たり得るのか？その証明だと思ってくれ。

よくわからないですけど、空子さんと欲望の赴くままセックスすればいいんですか？ちなみにセックスしたくない日もあるんですけど。

大丈夫。君は君がしたい行為を教えてくれれば良い。相手は常に私だと嬉しいのだが、他の人の場合もある。
多様化する性に対して悩みを持つ人は多くてね。その中で君の嗜好と合致する人を連れてきて、プレイをしてもらうんだ。当然様子を観察させてももらう。

あまり、意味があるように思えないんですけど。

あるさ。意味はある。現代において、食欲の最終到達点が、腹を満たすこと、エネルギーの摂取だけではなく、味覚も含め満足感を得るための食事になってきているように、性欲の到達点も今では変容しているはずだ。快楽を如何にして満たすか。とかね？
その一端を見せて欲しいんだ。

よくわからないですね。

バイト代はそれなりに出すよ？明智くん。

その話のります！

性欲を満たせて、お金がもらえる。理想的な職場。
これからお話するのは、そんな職場でおきた色んな経験談だ。

あ、ちなみに空子さん。僕の名前は明智ではありません。

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