それは去年の冬、故郷へ向かう特急列車での事。超満員の車内で、僕はなんとか乗車口のステップに立っていた。ある途中駅に着いて、一組の母娘が半ば強引に乗り込んで来た。母親は五十才位で、太った体に着物を着て僕の前に巨尻を押し込んで来た。娘は中学生位で、トックリセーターにミニスカートのトランジスタグラマーそのものだった。ステップにその二人が加わり、うれしい(?)ことにギュウギュウ詰めになった。上の乗客たちは乗ったままの状態で、みんな背中を向けていた。僕を真ん中に前に母親、後ろに娘が同じ方向を向いて密着していた。そして僕の右手と左手は、もうすでにその母娘を捉えていた。