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1:春色の誘惑
桜の花も終わりを告げて、
初夏のように暖かかった週の後半、とある一日の夕刻。 新○駅4番線ホーム。 18時を過ぎて最初に出る通勤快速電車。 久しぶりに訪れたホームは、いつものように通勤客でごった返していた。 幾度かの物語で書いた、一人の女性を見かける。 いつも乗るときはこの時間、そして先頭を少し外したドア。 チラリと横目で僕を確認したか? メールも、愛称も知ってはいるけれど・・・。 言葉を交わし、二人きりで遊んだ時もあるけれど、 駅では声を掛けずに、隣に並ぶのがルール。 彼女は、それなりに場所を考えているからか、 激しく常連痴漢たちが殺到するという事はない。 けれど、その存在を知っている、何人かがいることも事実だ。 今日も、、、3人いた。 争うのは好きじゃない。 さりげなく、誰にも気付かれず、でも、深く・・・それが僕の理想だ。 そうでなくても最近は、 直前に湘○新○ラインを入れるというJRの戦略で、余り混まない車内。 ずっと彼女に触れられない日が続いていた。 今日も、無理だな・・・。 今日も、ゴメンね・・・。 でもそのまま、場所を移動せずに、 僕はその場所に並んで電車を待った。 通勤快速が入線してくる。 ドアガ開く。 車内の人ごみの中に、気になる女性が見えた。 少しくすんだ、趣味のいいピンク柄の膝上丈のスカート。 二十歳前後か?少し水気を含んだような瑞々しい身体。 春が、女性の姿を纏って車内にいるような、そんな雰囲気。 その娘のほうに向かって車内に乗り込む。 いつもの彼女は、3人ほどに押し込まれて、 反対のドア際へ詰め寄られていくのが、横目に見える。 僕はその娘の正面へ。 さらに人が乗り込んでくる。 いつもより、少し混雑が激しいのは。 湘○ラインの人身事故のせいだった。 発車間際、最後の一押しがなだれ込んでくる。 ちょうどドアスペースと座席エリアの境い目辺り。 僕はバランスを崩し、その娘に倒れ掛かりそうになる。 不安定な姿勢のまま押し込まれ・・・何故か・・・。 彼女の右腕と、僕の左腕が、 腕を組んだように絡まりあってしまった。 「ゴメン!大丈夫?」 普通に声を掛けただけ・・・。 本当に、普通に、優しく気遣っただけのつもりだった。 でも・・・、 不思議な気配に包まれた。 僕の左腕を抱え込むようにした彼女の右腕。 離れるまでに、少し間があったのだ。 その「間」の間に、 伝わってしまった・・・。 彼女の体温、鼓動、胸の膨らみの柔らかさ、 春に誘われた、少しだけ官能的な気配・・・。 腕が解かれて、僕は手を下ろす。 拳が、彼女の正面から、ちょうど「あの」部分に・・・。 混んだ車内、自然と押し付けられる。 一番柔らかな部分の感触・・・。 更に・・・、 押し付けられてしまう。 ちょっと、、、不自然かも・・・。 そんなに混んでる? 彼女の後方を確認する。 つり革に掴まっている女性が一人、 その前はもう座席だ。 彼女の後方から押されるような要因は無いし、 身動きできないほどの混雑でもなかった。 なのに・・・。 なんだろう?押されてきている。 彼女の側から、僕の拳に、 「そこ」が押し付けられてきている・・・。 そうなのか・・・? 拳の指の1本だけ、少し形を変えて、 彼女の中心に当ててみる。 「そこ」に当てるように、探りながら押し付けてくる気配・・・。 そうなのか・・・? 彼女が当ててきた場所を、 刺激するように、少しだけ、、、 指を動かしてみる。 俯く彼女・・・顔が赤い。 彼女の後方には余裕が出来ていた。 自分から・・・そのポジションを保とうとしている彼女。 柔らかなスカートの生地越しに、 彼女の疼きと興奮が、緩やかに伝わり始める。 そんなささやかな駆け引きをしたまま、 電車は池○に到着した。 少し人の入れ替わりがある。 躊躇するような、微妙な動きの彼女。 「降りない・・・よね?」 聞こえるように耳元で囁くと、 彼女は少し奥に進んで、座席の前のつり革を掴んだ。 人が乗り込んでくる。 通路の中央で、ちょうど彼女の後方に押し込まれて止まる。 今度は後ろから・・・。 明らかに、「触っているよ」と伝えるように指を這わす。 再び・・・、彼女の立ち位置が微妙に僕に近づく。 座席との間に余裕があるはずなのに・・・。 向こうのドア際では、例の彼女が、 3人ほどに囲まれて、じっと目を閉じている。 そして・・・こちらでは、 そ知らぬ顔で中吊り広告を読んでいる僕。 俯いたままつり革を掴む春色の妖精・・・。 当たり前の日常に紛れ込んだ、 秘めやかな官能の儀式・・・。 ゆっくりと・・・、 スカートをたくし上げていく。 柔らかい生地、滑らかな裏地。 それを器用に指で纏って、素足にたどり着く。 少し上へ・・・。 彼女のお尻が、キュっと緊張するのが伝わる。 少しだけ、本能的に爪先立つように・・・、 そしてまた、思い返したように押し付けてくる。 素朴な感触の綿の下着。 何かが・・・熱くこもっている。 クニクニと、少しいやらしく指を動かしてみる。 そのたびに、キュっと閉じて指を挟み込む彼女。 下着の横から圧力を加えるように、ゆっくりと押していくと、 下着のクロッチ部分が横にずれていく。 直に・・・触れる。 その瞬間、ビックリしたようにキュンと弾ける彼女。 ダメだ、ダメなんだね。 直接は、とても耐えられないんだね。 本当に、かすめる程度にしか触れていないのに、 おびただしい証しが指に移ってまとわりついている。 ちょうど電車は板○駅に着き、また人が入れ替わる。 通路に空間ができる。 身体をずらし、彼女の斜め後方に隙間を作ってあげる。 通路の状況を窺う彼女。 「嫌だったら、避けていいよ。」 隙間をを示すように身体を開き、彼女に囁く。 頷く彼女。 ・・・でも、彼女はそこを動かない。 そのまま電車は駅を出る。 もうスカートはそのままにして、再び生地の上から優しく触っていく。 安心したように、再び股間を押し付けてくる彼女。 柔らかな生地が、彼女の感触を充分に伝えてくれるから、 もうそれ以上は求めずに、 僕は指先に神経を集中させていく。 人の動かない十○駅を発車して、 赤○駅手前の高架に差し掛かった頃、 彼女のお尻がリズミカルに、何度か収縮するのがわかった・・・。 ホームの明かりが車窓に流れる。 電車が減速していく。 たくさんの乗換客が、開くドアに注意を向け始める頃、 鞄を持った彼女の手に、 そっと僕の手を重ねてみた。 柔らかな春の風を思わせる秘め事の終わりにふさわしく、 彼女は小指だけを、そっと、一瞬だけ絡ませてくれた。 ドアが開く。 僕は指を解き、ホームに出ていく。 彼女は車内に残り、空いた前の座席に腰を下ろす。 お互い、顔を見ないように、そのままで・・・。 春風を乗せたまま、下っていく電車を、 僕は少し切ない気持ちで見送っていた・・・。
2005/04/19 00:35:06(.naPo6P/)
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