親の知り合いがバレエ教室を開催しているのだが、足を怪我してしまったためバレエ経験のある俺に手伝いをしないかと言ってきた。
俺の親とその知り合いは昔から仲が良く、バレエ教室の生徒だった俺に声をかけたらしい。
少ないがバイト代も出すと言われ、大学が夏休みで暇だったこともあり引き受けることにした。
一番人数の多いキッズコースを手伝って欲しいと言っており、基本的なことが分かれば問題ないらしい。

バイト初日、バレエ教室が開催される３０分ほど前にスタジオに行った。スタジオの壁は鏡張りになっていて、その前に手すりが設置されてあった。手すりは所々塗装が剥がれ、錆びている部分もあった。
スタジオに着くと更衣室に案内された。軋む扉を開けると、狭い部屋にロッカーが２０個ほど並べてあった。物置としても使われているのか、ロッカーの上や部屋の隅っこなどに色の褪せたダンボールが置いてあった。
レッスンが始まる時間になるとスタジオには小学校１～２年生の幼女が１５人くらい集まってきた。皆先生に挨拶をしてから更衣室で着替え、軽くストレッチをしてからレッスンを開始した。
レッスンといっても経験の浅い幼女が対象のコースなので、本格的な指導ではなかった。基本的な動きや姿勢を覚えたり、音楽に合わせて身体を動かす程度だった。
先生は足の怪我で自由に動き回れないので、１５人の幼女を個別に指導するのは確かに大変そうだった。俺も忘れかけていた知識を思い出し幼女達の指導に当たった。
１時間ほどでレッスンが終わり、軽く柔軟をしてから幼女達は更衣室に向かった。幼女達は帰る時、俺にも挨拶をして帰っていった。
幼女達が全員帰ると、俺も着替えて帰って良いと言われた。先生は次のクラスのレッスンがあるようだ。

次のレッスンの日、前回と同じ様に３０分ほど前にスタジオに行き、更衣室で着替えた。そして鞄の中からカメラを取り出し更衣室の隅に置いてあるダンボールに近づいた。
ダンボールを開けると上に溜まっていた埃が宙に舞った。ダンボールの中には千切れたロープやひび割れた三角コーンなどが入っていた。ダンボールの持ち手の穴にレンズが来るようにガムテープで内側から固定した後、ダンボールを元の位置に戻して、更衣室から出ていった。
レッスンの時間が近づくと幼女たちがぞろぞろと集まってきた。前回とは違い、俺にも挨拶をしてくれる。