ここは、ＳＭ学園高等部３年Ａ組の教室の放課後である。

「はい、掃除。男子もサボらない！」
掃き掃除をやらされる男子を見張っているのは、このクラスの委員長、小川
愛美。
彼女は、成績優秀、おまけに運動神経も抜群であったが、決してクラスのマ
ドンナではない。
その原因は、完璧主義の性格である。
彼女は曲がった事が大嫌いで、そして男子への敵意は凄まじいものがあっ
た。
そのため、男子からは嫌われている。
今日も掃除をサボろうとした男子を見つけ、先生に報告した上で、激怒して
いた。
「さっさと掃除しなさい！まだ廊下もあるんだから！」
愛美は、男子を良いようにこき使っていた。
クラスの女子は、「女子代表としての男子に対する最終兵器」という信頼を
寄せているものの、日々、男子の怒りのボルテージは上がっていた。

ある日の休み時間。
教室内では男子が、はしゃぎ回っていた。愛美がそれをうるさく思わないわ
けがなく、怒り心頭に発し、厳しく注意した。
「ちょっと男子、うるさいわよ！もう少し静かにできないの！？」
男子も言い返す。
「良いだろ別に。楽しいんだからよ」
だが愛美は、そんな男子の言い分をあっさりと否定した。
「教室内を走り回って、バカ騒ぎするののどこが楽しいの？本当に男子はバ
カばっかね」
男子はさすがにキレかかったが、ちょうど先生がやってきたのでなんとか怒
りを押えた。だが、男子は納得がいかない。
散々苦汁を飲まされ、愛美のせいで楽しいものも楽しくなくなる。
男子はいつか仕返してやる。そう誓った。

次の日の放課後、男子はまたも掃除をサボっていた。
下校しようとしていた愛美は、助けを求めてきた女子の為に駆けつけ、サボ
っていた男子を睨みつけた。
「アンタ達、また！？もういい。女子は帰っていいわ。掃除は男子だけでや
りなさい！！」
そう言って女子を帰らせた愛美は、男子とにらみ合った。それが愛美の最後
の元気な姿であったことなど、知る由もない。

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