「敬ちゃん　智ちゃん（赤ちゃん）触る時手を洗ってね。」母の言いつけを
守って啓太は手を洗った。手だけでは無く顔も洗った。頬刷りするからであ
る。智ちゃんも頬刷りが嫌じゃ無い様で笑ってくれる。啓太は其れが嬉しく
頬ずりをした。次第に啓太の中に目覚めるものがあるのに気付くことが無い
まま月日が過ぎた。小さな手が啓太の指を掴み見詰める智ちゃんが可愛く　
すごせる時間は全て注ぎ込んだ。
　一番好きなのは入浴である。身体中をガーゼで撫で回し抱き寄せると熱い
ほどの体温が伝わるからである。股間は多少の抵抗を感じながらも丁寧に洗
った。重点的にと言うほうが正しかもしれない。
　「お母さ～ん　智ちゃん出ます。」「ハイハイ」受け渡すとホットする反
面寂しさが残った。其れが何であるか分からなかった。
　半年程して母と入浴する事があった。啓太は不思議に思った。母のお腹に
智ちゃんが生まれた傷跡が無かったのである。しげしげと眺めた。が傷など
有ろうはずが無いのである。銭湯でお腹に大きな傷跡のあるお母さんらしい
人を見たことがイメージの刷り込みが生じたのだろう。「智ちゃん　何処か
ら生まれたの？」素直に言葉にしていた。「どうして？」「うん　銭湯で見
た他所のお母さんはお腹に傷があったよ。お母さんて大変だなぁ　痛かった
だろうなぁ　て見てたんだよ」「そうなんだ！」母は疑問が解けた顔をして
言葉を継いだ。「そう言う人も居るけど　女の人は赤ちゃんの産まれる所が
あるのよ。」「ふ～ん　」怪訝な表情の啓太を見て母は口を開いた。「啓太
　まだ小さいから分からないかも知れないけどチャンと聞いてね。お父さん
とお母さんが仲良くして啓太や智嘉が出来たのよ。分かる？」首を傾げる啓
太を見て「そうね　分からないよね　お父さんは啓太と同じ男でしょ？！
お母さんは智嘉と同じ女の子なのよね　大きくなって男の子と女の子が仲良
くするとおチンチンが大きくなって来るの　女の子には大きくなったおチン
チンの入るところがあるの　其処におチンチンが入ると最好き好きに成って
啓太が欲しい智嘉が欲しいてなるの　勿論　お父さんも同じなのよ」分かっ
た　目で訴えた母に言った。「ふん　何処から出るの？」「啓太　お風呂入
るとき何処から入るの？出るときは？　赤ちゃんも同じよ！」啓太は智ちゃ
んの股間を洗うときのドキドキ感が何故か分かった気がした。「ここ？」指
差した啓太に母は頷いた。「分かった！」啓太は考えていた。あんなに大き
な智嘉が出てくるなんてすごいなぁ　何時か見てみたいとも思った。その時
は六年後に訪れた。