伊集院と白鳥と私で男の隠れ家を借りようと思いついたのは三ヶ月前だ。　50才　同い年の俺たちは大学の時からの友人だ。
中学とか高校の時に好きだったモノでこの6畳のワンルームを埋め尽くして　ストレスが溜まったらここに来て過ごそう。
泊まれるように　シングルベッドが一つ　後は壁に五段の棚が4つ並ぶ　伊集院は最初は初心に帰るとか言ってブルーバックスという科学の本を集め始めた懐かしい　その当時の本をブックオフのオンラインでオーダーしてかなりの冊数に　白鳥はタミヤの戦車の昔のを全部揃えるんだと意気込んでいるが　老眼で細かいパーツが見えないと泣き言を言っている。　私といえば　エレキギターを八本並べて　酒を飲みながら生音で　残念だが　アンプで鳴らすには防音室が必要だ。
それからだ　伊集院がフランス書院でぬいてたんだよなんて　バーボンを飲みながらニヤニヤしている。　良家の綺麗な嫁さんに子供が三人いるが　生理が無くなったらさ　中出しし放題じゃんってさ　若い頃に変な妄想してさあ　ほらとうとうその年代にさ　でもなあ　今さらなあ。
まあ　そう言うなって　俺らがおっさんのようにだ　彼女たちもな。
そうだ　この前　死ぬほど腹立つCMがさ　あれってネットだけかな　ほら健康食品のさ。
俺もあれは嫌いだなあ　あれだろ実は70だかのババアがさ　若く見えるって　気持ち悪い。
いや　そっちはさ　女だからさ　少しでも若く見られたいってのはさ　本能だからな
なんだ違うのか。
ジジイだよジジイ　笑えるぜ　ほらこれだ　まあ2人とも見てくれよ　こいつ頭おかしいんだよ。
おーマジかよ～　60過ぎなのに　40代にしか見えないって　いやあ　見るからに50越えてるしさ　喋り方がさ70だな　入れ歯あってないのか
そうだなあ　引っかかりあるなあ　あれじゃないか　一回脳梗塞でもやって　そこから健康志向　若々しいって　この歳でメリットあんのか？
もう引退してんだろ　歌手とかならさ理解るよ　森進一とかな　人前でて金もらってるからさ　
60も過ぎたらさ　社会のこと考えて欲しいものだよな　あれかあ　学生運動よりは若いのか？
そりゃそうだよ　60年に安保だろ　全共闘が69とかさ　ほら映画になっただろう。
違うな　あれは村上龍の青春映画だって　俺覚えるよ小説のほうだけど　ちょっと待てよ　マイ・バック・ページだろ新聞記者の。
ああ　そっちだ　ほら妻夫木くんだからさ　俺さ好きなんだよ彼　ホモだったら金積んでもやらしてもらうな。
今からそっちかあ　止めとけよ　モテないって(笑)　俺の家の近くのプールがさ　毎年さゲイでいっぱいなんだけどさ　面白いぞ　全く同じ体格でさ　髪型も髭も同じなのがさ　三人くらいでオネエ言葉でイチャイチャしてんだよ　俺は思ったね　個性的になりたくてゲイになるんじゃなくてさ　まあ性癖だな　まだパンクのほうがましかな　違うかあれもさモヒカンだってさ　そればかり集まったらさ　なあ。

もう老害になっている私達は　どうにもいけない　20代後半なんて　バブル崩壊させて沈んだ日本を変えてやるくらいの勢いで酒飲んでたが

それよりもよう　早乙女　これからどうすんだよ　離婚して全部あげたんだろう　気前のいいこった。
ああ　それで　悪いが少しここに住ませてもらおうと思ってな。
かまわんよ　再出発にはちょうどいいだろう　家賃は今まで通りでいいからさ。
そうだな　それくらいは助けてやるよ　でもさあまあ仕方ないかあ　彼女の親父の会社じゃあなあ　離婚して勤め続ける選択肢は無いな。
まあ　いいのさ　それよりもさ　どうだ三人で女やっちゃうのは　まあ見た目はなそこそこだけど　まだ30才でさ　俺がさ親友2人いるって
おじさん三人にやられたら　狂っちゃいそうって。
ほう　いいねえ　ただこっちが元気になるかな　すっかり使ってないからな。
ああ　俺もだ　あれか離婚すると　こう性欲が戻るもんか？
戻るぞー　人生の緊急事態だからな　野生がさ　安定がさ　男をダメにすんだよ。じゃあ今度その女ここに連れ込むからさ　その時に。

出会い

2人にはカッコつけた　家と家族と仕事が同時に無くなる　それも　50才でだ　途方にくれた　まだ1ヶ月前の話だ。
それでもまだ　手元にはまあいくらかの金が　義理の親父が内緒でこれで頑張れと渡してくれた金　なんか盛大に遣いたい気分だったのはあるが
車だな　そう思った　買いたくても高くて無理だった車　中古車サイトで探すと　あのベンツも価格が1割に　一千万もしたのに　まあそうだろう
2005年式だ　CLS500 異質なそのデザイン　とても女性的なライン　それにまあ理由は他にもある。5000ccのエンジン。

手に入れて　すぐだった　路駐した車を写真撮ったりして　まあ変なおっさんに見えているだろうが　そういう事も気にすることはやめた。
女が声をかけてきた。　
「この車って　珍しいですよね　いきなりすみません　あの私の好きな漫画家さんが　ドイツ人のデザインの真骨頂って。」
ああ　こうゆうことがあるのか。　思わずの出来事に　さすがに少し驚いた　
「ポルシェ砲塔は採用を見送られたけど　もう50個も作ってしまっていたから　それをってやつかな。」
「え　嘘でしょう　お好きなんですか？」
「困るなあ　あの雑誌が出来た時に　僕は中学生だったんだよ　それから少しして　連載がはじまってさ　エルガイムのデザインした人の漫画だって　友達とね　随分盛り上がったよ　まさか　まだ終わらないとは思ってもみなかったけど。」
「そうですよねー　ガラスの仮面も終わってないですけどね(笑)」
「なんだ　あれまだ続いてるんだ　子供頃にさ　女の子の家に行くとさ　キャンディキャンディとガラスの仮面　パタリロね」
「どれも面白いですよね。」

こんな出会いがあってもいいか　ドライブに誘うと　素直に乗り込んできた　人妻だった　漫画の話しするのは浮気になるのかと聞くと
ならないですと笑った。　色んな話しをした　海まで走って　波を眺めながら　コーヒーを飲んだ　離婚したばかりと　旦那とレスで喧嘩ばかり
　お互いが必要なことが一致したし　入り口としてはマニアックな漫画を好きで充分だった。
旦那のセックスは普通でつまらない　ＡＶだと色んな事するのに　してみたいんです。
それから　毎日抱いた　あの部屋で　昼間に2人が来ることは無い。
輪姦って　めちゃエロいですよね　したいですよ　早乙女さんのお友達だったら　私頑張っちゃう。
豊満な体で　そんな事をしらっと言うから　こっちが本当にしたいのと確認する。

そして
おーいいのかよ　若いねえいくつ？29才かあ　結婚してるって　大丈夫なのかあ。
いやあ　おっぱい大きいねえ　若いからロケットみたいだね　かあ　こりゃあたまらんねえ。
3人を受け止めると　満足そうにしてる。
2人は　男を取り戻せたと喜んでくれた　彼女が帰ると　2人は真顔になった。
なあ　早乙女　どうすんだあ　そのうち旦那にバレるぞ。
あー　大丈夫　旦那も浮気してるってさ。
それでもさ　あれ　お前に惚れてるぞ　つうかさ　お前いいぞ　ギンギンにオーラ出てる。
ああ　俺もそう思ったよ　若い頃のさ　目かなあ　変わったなあ　ちょっと怖いくらいだ。
自分じゃわからんなあ　
いや羨ましいんだよ　なんだか俺も離婚したくなるよ(笑)
おいー　お前まで　俺だってそう思うさ　そうかあ　うん　いいぞお前　カッコいいぞ。
悪いな　実はもう　昼間はここでさ。
わかってるって　若い女に狂うのもいいさ　もし別れるってなったらさ　面倒みるならさ　あれだな愛人だな。
なんだ　考えてること一緒かあ　あの子いいな　愛人にしたいな。
そんな　簡単に離婚しないだろうよ　ほらセックスの不満は解消してんだからさ。
そう言うなって　お前がさ　もっといい女に育てろよ　とりあえずこれでさ　うまいもん食わせて　あれだな私服ださいな　服選んでやれよ。
ああ　そうか　まあタダってのもな　じゃあ俺がこれ　派手な服がいいな　いやあれは育つよ　自分のポテンシャルに気がついてない
そうかあ　じゃあこれは彼女に投資だな　次会う時は　綺麗になってるぞ。
2人は頑張れよと帰っていった。

タバコに火を付けて　コーヒー。
電話が着信した　知らない番号からだ。
「あーもしもし　はい私です　そうなんです奥さんからですね　浮気の調査を頼まれまして　いや　旦那と別れろってことじゃあないんです、そのですね　全員幸せになる方法をですね　そうなんです　そうそう　はい　お待ちしています。」
さてと　旦那の浮気相手とここで会うのはいいが　奥さんと違って　細身の綺麗な女だからなあ　奥さんにバラしたらって言ったらやれっかも。

終わり

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