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1:特別な日
投稿者:
りょう
この物語の主人公、トオルは32歳、営業職、それなりに尽くしてくれる妻ヤスエと2人の子供のいる、ごく普通のサラリーマンである。これまでの人生もいたって順調で、平凡で、特筆すべき何かがあるわけでも無かった。
そう、あの2016年7月21日までは・・・。 その日はこの夏最初の真夏日とニュースが騒ぐほど急な猛暑に襲われていた。トオルはいつものように、決められた時間通りに出勤をし、朝の雑務を片付け、外回りに出ようとしていた。トオルが勤める会社は本社は東京にあるが、取り扱う商品が特殊な事もあり、地方にいくつかの営業所を構えている。ここ、福岡営業所はその中でも特に小規模で、男性社員は所長の三上とトオルだけで、後は2人の女性事務の計4人で運営しているのである。 「じゃあ、営業に行ってきます。」 いつもの決め台詞になっている言葉ととも席を立ったその時であった。隣の机で書類を整理していた、事務の1人カナが、いきなりこっちを見上げて声をかけできた。 「ちょっといいですか?」 そういうと、トオルの手をひき、営業所の隅にある面談室へと急いで向かうのであった。
2016/12/17 02:14:44(FkFSF3if)
投稿者:
りょう
カナは現在28歳で、ちょうど1年ほど前に結婚した。もともとこの会社に入社した時期が近く、同期として、仕事の上で良い相談相手だった。仕事は非常に丁寧でミスはほとんどなかった。いわゆる美人タイプであるが、その事を全く感じさせない素朴さが彼女の最大の魅力でもあった。
そんなカナが面談室に入って真剣な顔をしているものだから、つい冗談で、 「どうした?旦那が浮気でもしたか?」 と言ってしまった。驚いたような顔で、こっちを見つめるカナ。図星だったようだ。 「なんで分かるん?」 「いや、なんとなく」 「まだね、はっきりした証拠があるわけじゃないんだけどね。最近、怪しい事が何度かあって」 「とりあえず、もう少し様子を見て、確たる証拠をつかんでから悩めば?」 「トオルは浮気したことあるん?」 「ないない・・・」 とりあえずまた動きがあったら相談するようにと伝え、外回りに出発した。
16/12/17 02:38
(FkFSF3if)
投稿者:
変態猿
続きを、続きをお願い致します!!
16/12/17 07:05
(/nTMy7CI)
投稿者:
りょう
営業先は一般家庭が多く、とは言っても新規の顧客を開拓するわけではなく、ユーザーのサポートが主な仕事ととなるため、ある程度顔なじみのキャスが多い。今日はその中でも美人の奥様であるカオリさんの家にへの訪問である。別にこれまでもただの客と担当営業の関係出会ったが、それでも美人の奥さまと2人きりでお話するのは、心ときめくものだ。
ピンポーン。 決して高級住宅という訳ではないが、カオリさんのお宅がある姪浜エリアは、福岡市内でもある程度のステータスをもったご家庭が集まる地域だ。周辺の御宅も綺麗に整った庭とそれなりの高級車が備えられている。そう考えながらふと見渡した近所の一軒に明らかに周囲を気にしながら玄関先に立つ男が目に入った。 (あれ、あの人って・・・) どこかで見たことがある面影に、誰だったか記憶を辿ろうとしたその時だった。 ガチャッ 「トオルさん。待ってましたよ。」 「あ、こんにちは~。」 と、こっちの視線の先が気になったのか、カオリさんも同じ男の姿を確認すると、 「どうしたの?知り合い?」 「いえ、ただどこかで見たことのあるような・・・」 「そうなの?まあ、おあがり下さい。」 「そうですね、お邪魔します!」 そう言っていつものようにリビングへと案内された。
16/12/17 15:34
(FkFSF3if)
「さっきの人なんだけど・・・」
カオリさんはいつものように用意してくれていたコーヒーを運んできながら、意味ありげな表情で話し始めた。 「最近、良くあそこの家で見かけるのよね。あそこの奥さんって確か再婚で、25才くらいの若い人なの。で、ちょっと怪しい噂が。」 さっきの男の様子を見る限り、なんとなく言わんとする事は分かった。 「そうなんですね。でも自宅にあげるのって勇気いりますよね?」 「そんなこと無いわよ、現にトオルさんだって私の家に良く上がってるじゃない。」 「あっ、そうですよね。で、でも僕はそんなんじゃ。」 「こんなおばさんじゃあ、相手しないか・・・。」 「いやいやいや、そういう意味じゃ。」 ふと、見つめたカオリさんの顔が、意外にも真剣に寂しそうに見えて、思わず本音が漏れる。 「カオリさんに会うの本当に楽しみにしてるんですよ。」 「うそー。さすが営業マンは口が上手ね。」 「嘘じゃないですよ。マジで今日は朝から楽しみでしたよ。」 「お世辞でも嬉しい。」 そういうカオリさんの顔が少し柔らいだので安心した。せっかく淹れて頂いたコーヒーを飲もうと口に運びかけた、その時だった。 「じゃあ、私のこと抱いてくれる。」 あまり唐突な一言に、思わずコーヒーをこぼしかける。視線をカオリさんの方に向けると、その顔は冗談を言ってる顔ではなかった。 (これは適当にあしらうとまずいパターンかも) 仕事柄、冗談で誘ってくる奥様は多い。そういう時の対応は断る訳でもなく、乗っかる訳でもなくと心得ているつもりだった。しかし、今日のカオリさんの雰囲気は明らかに違う。少し考える時間が欲しくなり、 「真剣に言ってます?」 と、まずは真意を探るべく、質問を返した。しかし、 「もちろん。」 と即答された。ここは流れに任せておくべきか。 「許される事なら抱きたいですよ。」 この時考えられる最大限の答えだった。当然、許される事ではないという逃げ道が用意された答えだ。 「じゃあこっちに来て。」 予想外の展開に頭が混乱した。
16/12/17 17:16
(FkFSF3if)
カオリさんは真剣な眼差しでこちらの出方を伺っている。
「どうしたんですか、いきなり。」 急に下を向き、悲しそうな表情で何かを考えているカオリさんを見ているとなんだか触れてはいけない部分がある事を感じた。長い沈黙が続く。いや、実際にはそこまで長い時間ではなかったはずだが、短時間にいろいろな事を考えていると、時間の感覚が崩れるらしい、 「本気ですか?」 沈黙に耐えきれず、思わず仕掛けるような発言をしてしまう。涙を浮かべたような潤んだ瞳でこちらを見返すカオリさん。そして小さく頷いた。 (まじかよ…。いや、これは何かの罠なのか?) 思わず周囲を見渡す。いつものように整然と片付けられたリビング。ソファに向かい合うように座る2人以外に気配はない。自分でも信じられないようなスイッチがどこかにあったのだろうか?おもむろに立ち上がると向かいに座るカオリさんの隣に移動し、その肩に触れていた。 カオリさんは硬直したように身体に力が入っている。そしてゆっくりとこちらを見上げた。 (やばい。可愛すぎる。) 年齢的には確か5歳くらい歳上で、いつも優しく温かく接してくれるカオリさんに、多少の恋心を抱いていたことは事実だ、しかし、今こうして目の前で、しかも肩に触れながら目を合わせてしまうと、それは恋ではなく、雄としての本能の部分が働き始める。そのまま、2人掛けのソファーの横に腰を降ろした。 カオリさんもこちらから目を離さず、何か訴えるような表情でじっとしている。 (もう止まらない。) 顔を近づけるとそっと目を閉じて、唇を差し出すように、ほんの少し上を向いた。肩に添えた手を反対の肩に伸ばしながら、唇を重ねる、一回、二回、三回とゆっくりキスを重ねる、次第に少し緩んできたその唇は柔らかく、甘い味がした。カオリさんの左肩に回した左手に少し力を込めて、身体を引き寄せる。軽く舌を差し出すと、んっという、声とも言えないような息遣いでカオリさんも舌を少しだけ出してきた。
16/12/17 22:51
(FkFSF3if)
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