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弁護士の高木麻由美が京浜東北線本郷台駅から乗車したのは18時になったばかりだった。関内駅で下車し少し歩いて伊勢佐木モール商店街へ足を運んだ。
(女子校以来か。) 40歳になったばかりの麻由美。女子校時代とさほど変わっていない街並みに嬉しく思っている。 (まだ私も若いってこと) と、勝手な思い込みをしながら商店街を歩き、場外馬券売り場に併設されたカフェをみつけると、長居ができる気がして入店した。大船のスーパー、その店長との待ち合わせまでまだまだ時間があったから、カフェラテを注文し席に座ると、カバンからパソコンを出す。 “泥酔”、“女”などと検索してみれば、それらしい写真やアダルトビデオ、掲示板への書き込みをみつけた。 (えぇ…) 麻由美は戸惑いながらも、卑猥なアダルトサイトに書かれた経験談を読んだ。やった、やられた、男も女も経験を書き込んでいる。 実際にあった事件としても何件もニュースになっていた。酒に睡眠薬を飲ませて何人もの女性を犯した会社員、大学生は入学したばかりの女子大生に酒を飲ませ、まわしていた。 奥村の記事もみつけた。新橋の雑居ビルで逮捕されたこと、余罪がほかにもある、と。 麻由美が知っている奥村の余罪はほとんど自宅のある蒲田駅に集中していた。他、新小岩でも被害届が出されている。すべて泥酔した女性を狙っている。 (酔った女性に痴漢や強姦って、こんなに被害が…) 麻由美はショックを受けていた。酒に酔い判断できない女性を狙う。簡単なのであろう。口説く必要も金を払う必要もない。被害女性も酔ってしまった自分が悪いと被害届を出さないケースが多いという。きっと犯人が捕まったケースは氷山の一角であろう。ハイエナはそこら中を歩いている。 と、メールが届いていることに気づいた。 〈お疲れ様です。…警察署の大竹刑事連絡してください。〉 弁護士事務所のアシスタントからだった。麻由美はiPhoneを取り出し、メールに記載された大竹刑事に電話をかけた。 「ああ、高木さん?いやね、あなたが言ってた日、被害にあった人がいてね」 奥村が最初に犯行した日は、本人曰く誕生日だった。その日をもとに、大船の警察署に被害届けが出てないか調べたが、何もなかった。しかし大竹刑事がいうには、横浜市内の別の警察署に被害届けが出され、犯人は捕まっているという。 「え?」 麻由美が驚き、聞けば、横浜の都筑区に住む42歳の女性があの日の夜、都筑区内の公園で犯されたと被害を出したという。捕まったのは彼女を自宅まで乗車させた個人タクシーの運転手だった。車内で痴漢され、公園内の個室トイレで後ろから犯されたという。 「でもねぇ、運転手は一部は認めて一部は知らないって言っててねぇ」 と刑事は言った。 運転手が言うにはどうやら、乗車させた女性が車内で寝込み、その姿があまりにも淫らだったという。 スーツ姿だったが、ベージュのパンストは破れており、酔って車内で寝込み、タイトスカートから下着が見えていたという。 彼女が住む都筑区の公園で、車内で介抱するフリをして身体を弄ったという。 「被服は乱れていて、運転手曰く、ラブホテルの帰り、セックスした後だろうって思っていたと」 実際に運転手は後部座席でアラフォー女の身体を弄り、無理やりキスをして、隣でオナニーしただけだという。起きない女を公園ベンチに置き去り逃げた。 女が訴える、トイレで犯してはいないと言う。 「いやそれがね、運転手は女を本郷台駅前で乗せたって言うんでさ…」 通話を切ったあと、麻由美は奥村が話していたことが本当だったのだと悟った。 あの日奥村は、本郷台駅前の多目的トイレでアラフォー女を犯し、その場に放置した。 泥酔した女は多目的トイレからなんとか出て、帰宅する本能でその場で見つけた個人タクシーに乗車したのであろう。 奥村に犯されたのに、酒のチカラで運転手に犯されたと思い込んでいたのであろう。 運転手は身体を触ったことについては罪を問われたらしい。 アフリカのハイエナという動物は、残り物を狙う。 懇親会、飲み会ではしゃいで飲みすぎた獲物、彼氏に飲まされた獲物、クラブで羽目を外した獲物、…それにハイエナが食べきれなかった獲物。 麻由美が2杯目のカフェラテを飲み干すと、またiPhoneが鳴った。 「ああ、私です。ちょっと早くいけますから」 大船のスーパー、あの店長だった。アルバイトに閉店処理をまかさたらしい。 早く帰宅したかった麻由美には好都合だった。 「烏龍茶を」 麻由美がそう言うと店員がメモをとった。 市営地下鉄伊勢佐木長者町駅に近い、小さな居酒屋で店長と店で待ち合わせたのが、21時だった。 大きなビールジョッキを手にした店長と、烏龍茶が注がれた小さなグラスを麻由美がもちあげると、乾杯もせずに二人とも口をつけた。 「弁護士さんって、はじめてお話するんでねぇ」 50代であろう、M字に剥げた頭を短く剃り上げた男が言った。 「いえ。」 出されたお通しにも手をつけず、背筋を伸ばしたままの麻由美が目をそらしながら反応した。 「いやね、高木さん、綺麗だからびっくりしちゃってさ」 またビールを腹に流し込み、男が言った。 「ほら、フジテレビにいた八木アナウンサーに似てますね。」 酒を飲み進め、話を進める男に麻由美が口を開く。 「あの、奥村さんの話を…」 目を見てそう言う女に男はちょっと驚いた。 ビールジョッキを机に置いたスーパーの店長がいう。 「いやね、アイツが何か言ってますか…」 頼んだポテトフライを箸でつまみながら続ける。 「いやほら、なんだ、自分だけしゃない、とかさ」 笑いながら言う男。麻由美はなんだかわからなかった。 「誰かと一緒にってことですか?」 麻由美が咄嗟に聞いた。 「いや、知らないよ。アイツがそう言う話をしてないかなって」 アルコールで顔を赤らめた50代の男が言う。 麻由美は察した。奥村以外にも共犯がいるってこと?警察さえ知らない話。奥村自身話してはいなかった。 「何か知っていますか?」 麻由美がそう聞くと、スーパーの店長である男は、 「ひとりで飲んで話すのはねぇ、社会人なんだからぁお酒で乾杯しましょうよ」 と言った。 麻由美は仕方なくグラスビールを頼み、ビールジョッキの2杯目を飲む男とグラスをあてて、小さな声で乾杯と言った。 麻由美は酒に弱い。 むろんこのグラスビール一杯で顔は真赤だった。 話ははずんだが、誰が奥村の仲間なのか分からなかった。酔った勢いで、麻由美の未婚話や、スーパー運営の大変さを聞く。 「雇われ弁護士なんて、立場ないですよ…」 男に進められて飲む2杯目のグラスビール。麻由美は酔いながら身の上話を始めた。麻由美の心が酒で緩んでいた。自分のことをこんなに話すのは久しぶりだった。 時刻が23時に近づき、麻由美がトイレへと席を立つ。 居酒屋の小さなトイレ内で便座に座る麻由美は後悔していた。 (少量とはいえ、お酒を飲んでしまった。) 下戸ではないが、お酒に弱く、お酒を飲むと自分の話ばかりしてしまう自分を、まさにさらけ出してしまったと恥ずかしく思った。 店内、自席に麻由美が戻る。火曜日の夜、店は閑散としていた。 「高木さん、酔ってますからねぇ、どうぞこれ」 50代の男はそう言い、烏龍茶が入ったグラスを麻由美に渡す。 (スーパーとはいえ、長になるくらいだから、やっぱり気遣いには備えているのね) と、笑顔で麻由美は烏龍茶を受取りそれを飲む。 ん?何か普段と違う味がした。だけれど、また麻由美はそれを飲み干した。 お会計が終わり店を出たのは23時過ぎだった。 男に一礼すると、麻由美は京浜東北線、関内駅に向けて歩き出す。公園のような広い通りは薄暗く人は閑散としていた。 「真っすぐですよ、ここを真っすぐ」 スーパーの店長である男は笑顔でそう言い、歩き出す麻由美を見送った。 ふらふらと麻由美が歩く。 並木道を併設した通りは週末なればイベントが開かれるほど広い。 トートバックを抱えた麻由美は、関内駅に向かい歩いていた。 脚がうまく動かない。いや麻由美自身はうまく歩けているつもりだが、たまたま横切った犬を散歩させる老人には、明らかにふらつき酔っている麻由美を心配に思い、振り向くくらいだった。 なんとか歩く麻由美。 (あの烏龍茶、なんだろう) むろんあの時トイレから戻った際に渡された烏龍茶には、ウォッカが混ぜられていた。少し酔った麻由美には味が変わった烏龍茶に思えただろう。 彼女はすべて飲み干していた。 犬を散歩させる老人が麻由美を心配そうに見ている。 と、背後から男が向かってきた。 丸坊主の男は何やらスマホで撮影しているかのようだった。 老人は思う。 (きっと旅行中の中国人だろう。) 犬が走り出だし、老人は通りを去った。 関内駅に向かい、フラフラと足取りが進まない麻由美。その背後から50代にみえる男がスマホで動画を撮影しながら後を追っていた。 男のスマホ、その動画に写る麻由美。 春を終えたばかりの街、薄暗い広い通りをふらついて歩く麻由美。 肩まで伸びた髪は上品に染められて、毛先にパーマをかけている。紺色のパンツスーツ、くるぶしからは生脚がみえた。黒いパンプスは少しヒールが高い。紺色のパンツがタイトで、下着の線がうっすら分かるくらいだった。 コツコツとヒールを鳴らせてて、フラフラと歩く女。トートバックをギリギリ握りしめている。 カメラはどんどん彼女に近づいた。 「大丈夫ですか?」 カメラを近づけた男が言った。 麻由美が手で追い払うが、もはやこの動きさえうまくできない。 と、車が歩道に横付けされた。 男はそれを見ると、麻由美の肩を抱きしめて、半ば強引に歩き出す。 「おいで、こっち、こっち」 そう言う男。抵抗するにも麻由美は酒に酔い、焦点さえ収まっていなかった。 関内駅にたどり着く前に、麻由美は男に車に乗せられた。 軽自動車の後部座席。 「お姉さん、大丈夫?」 といやらしい笑顔で男が言った。 後部座席の背もたれに頭を預けた麻由美は、酔っ払い言葉も発せられない。かろうじて自分が車に乗ったことは理解できていた。 「店長、美人じゃないですか!」 アクセサルを踏み、車を動かした男が言った。20代に見える。 「40歳独身だってさ。」 獲物を捕らえたハイエナがヨダレを出しながらそう言う。 麻由美を布団に寝かせた途端に、50代の男が彼女のベージュのブラウスに顔を埋めた。小さな乳房だが膨らみがある。ブラウスの上から頬張るように食らいつき、両手で胸を揉んだ。 「イヤッダメッ」 泥酔した麻由美の声は小さかった。 「えぇ?気持ちいいって?いいよ、もっと気持ち良くしてあげるよ。」 店長と呼ばれる男はそう言い、麻由美の紺色のジャケットを脱がした。 トイレから戻ってきた20代の男がGoProを彼女に向けている。 「うわぁ、エロいっすね、パンツスーツ」 と言い、にやけていた。 ベージュのブラウスのボダンを丁寧に外して、男は女のブラジャーを外した。 「乳首立ってるじゃん!」 そう言い、丸坊主の男が麻由美の乳首にシャブリついた。 男が麻由美の乳首を舐めると、麻由美は小さく「アアァ」喘いだ。 GoProを向けた若い男は、自身のジーンズの中に手を入れ陰経をいじっている。 紺色のパンツスーツ、そのパンツに手を入れる男。 「ハハハッ、ほらほら濡れてる!」 指についた液体を舐めながら男は喜んだ。 「イヤッ」 小さな声で抵抗する麻由美。 陰部は濡れていた。女の反応であろう。自身の大切に何か異物が入り込むならば、必ず身体は粘膜を防御するために液体を出す。 感じているかはわからない。とにかく陰部は濡れていた。 全裸にされた麻由美は、古ぼけたアパートの一階で、汚い布団に寝かされて、50代の男に入れられていた。 グングンと身体に男の陰経が入ってくる。ゴムなんてつけてはいなかった。 「あぁぁぁ!気持ちいい!」 剥げた男は、麻由美に陰部に自分の勃起したソレを入れながら腰を振る。 「弁護士先生!高木先生、気持ちいいよ!」 男が叫ぶ。 GoProを向けた若い男は全裸になり、勃起した陰経とカメラを麻由美に向ける。 「ほら、咥えろ」 麻由美は無表情で口を開けて若い男の勃起したアレを咥える。若い男は腰を振った。 ムゴッムゴッと麻由美が嗚咽し、吐きそうになる。 「オラ、何してんだ!舐めろ!」 若い男が怒鳴った。 「やばいイッちゃいそう」 と言い、剥げた男が陰経を麻由美から抜き出すと、若い男が身体を交代して、麻由美に入れた。 むろん、ハイエナ達の食事は深夜まで繰り返された。 深夜が過ぎ、意識を取り戻しかけた麻由美。 彼女は自分で20代の男の勃起した陰経を咥えていた。 「自分から咥えてんじゃん、コイツ」 麻由美の頭を握った若い男は、麻由美のフェラチオを味わっていた。 「気持ちいい?」 麻由美が若い男に聞いた。 「あぁ、気持ちいいねぇ。」 男がそう言葉を返す。 男はハイボール缶を麻由美の口元につけて、それを飲ませた。 麻由美の名刺を見ながら男が言う。 「おら麻由美、アナル舐めろ、アナル」 若い男は麻由美の頭を掴み、自身のアナルに麻由美の顔を向ける。酔っ払った麻由美が一生懸命にアナルを舐めていた。彼女は自分で自分のクリトリスを指でいじっていた。 麻由美の身体に精液を出したばかりの店長と呼ばれる男は、アパートの隅でタバコを吸いながら、必死フェラチオをする麻由美を、スマホで撮影していた。 麻由美が関内駅前のベンチで目を覚ましたのは、早朝5時過ぎだった。 頭が痛く、何も覚えていない。 紺色のパンツスーツ、ベージュのブラウスは一番上までボタンが止められていた。傍らにはトートバック、もう傍らにペットボトルの水。 始発の車両が到着する前にと、麻由美はよろめきながら立ち上がる。歩き出した彼女の後ろ姿、そのパンツスーツのお尻には、べっとりと白い液体がついていた。
2023/12/13 21:02:15(.ES.YJj/)
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