「…と言う事だよ、栗原桔梗さん」
極秘裏の求人を目にして、密かに応募をしてきた桔梗に面接担当の士官はそ
う告げた。
「無論、タダではない。3年間基地の中に拘束させてもらうが、その後で○
○○○○○○○○円の報酬は支払う。君の人生3回分の額だ。君が腹を決め
てくれたら、こっちも治安維持に大助かりだ。最初に前金として半額を支払
う。残り半分は3年後に支払って、後は君の自由だ。書類上、君は基地の中
で事務の仕事をしていた事にするから、履歴書にも空白期間を作らないで済
む。無論、基地の中であった本当の事は口外しないと誓ってもらうがね」
面接担当の士官―――胸の名札には「MP Officer Major Anderson」の名前が
光っていた。日本語に訳すと、「軍隊警察官 アンダーソン少佐」と言った
ところか―――は息つく暇もなく一気にそう告げた。彼の正面に座った桔梗
は拳をぎゅっと堅く握り締め歯を食い縛り、背中にじんわりとした嫌な汗を
感じながら答えた。
「はい」