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玄関の鍵が回ったのは、夜中の二時だった。
ドアが開く音で、私は目を覚ました。 「……ただいま」 声を聞いた瞬間、ああまた泣いているな、と思った。 リビングの灯りをつけると、金髪の娘が靴も脱がずに立っていた。 妻の連れ子だが、もう十年も一緒に暮らしている。 昔は、私の膝に座って本を読んでほしいと言ったものだ。 「お父さんの言うことなら、何でも聞くよ」 そう言って笑った、小さな女の子だった。 ——今も、その本質は変わっていない。 ただ、教える人間がいなかっただけだ。 私は女子高校生の娘を持つ五十になる男です。妻はパート先の大学生の下宿に入り浸り。娘の綾乃は長い髪を金髪に染めて、それも脱色の上で金髪に染める、不良娘だ。ボーイフレンドというよりセックスフレンドと遊び歩き、勉強どころか家にも寄り付かない。そういう訳で私は一人。 一人もいいものだ。元々私は性欲が強いうえに性癖が人とは違っている。威張るわけではないが所謂変態だ。ゆえに、妻が寝取られるのも、それはそれで楽しんでいるし、娘が不良少年に回されるのもなぜかわくわくしてしまう。 所詮、人間は欲望の塊。この子の欲望が成就するように、そして同時に私の性癖が満足するようにこの子を教育、調教かな、していくことにする。 泣きながら話す義娘の話を要約するとこうだ。 ボーイフレンドの剛に呼ばれていった部屋に猛の友達が5人もいて、せっかく二人きりでイチャイチャできると思ったのに、まず。イチャイチャできなかったことに腹が立つ。次にその五人が酒に酔って綾乃の胸や尻を触って来る。それを剛は笑ってみているだけ。私を晒しものにして何が楽しいのか、というのが二つ目。次におさわりだけでは飽き足らず、下着を脱がそうとしたり、五人がかりで抑え込んだりで怖い思いをした。セックスをするならするでちゃんとしてほしいし、避妊の準備もないのに怒っていた。結局五人と剛の六人に輪姦されたのだけれど、全然気持ちよくなかったのが三点目。 さすがわが子、いや血はつながっていないので妻の子。妻も今浮気で忙しいくらいだから、性的に貪欲な血筋何だと改めて感心した。 「かわいそうに、お父さんがもっといい方法を教えてあげるから、今日は泣き止んでお休みなさい」 「義父さん。わたしやっとセックスがわかりかけたところなのに、こんなんじゃこれからどうしたらいいか分かんない」 そんなことでレッスンははじまった。
2026/03/07 22:02:20(m9a5kg8f)
レッスン1 ファッションはセックスのためにある
スカート丈の理由 「いいか、ファッションってのはな、自己表現なんて綺麗事だけじゃない。もっと原始的な理由がある」 古びた喫茶店の奥の席で、私は向かいに座る娘にそう言った。 娘――といっても、血のつながりがあるわけじゃない。近所でも有名な不良娘で、年は二十歳を少し過ぎたくらいだろう。金髪に染めた髪、短すぎるスカート、だらしなく椅子に腰掛けてガムを噛んでいる。 「また変な講釈? オッサン」 彼女は面倒くさそうに目を細めた。 「変じゃない。性教育だ」 「学校で間に合ってるって」 「学校は“正しいこと”しか教えない。だから現実の役に立たない」 私はコーヒーを一口飲んでから、彼女の脚を指さした。 テーブルの下で組まれた脚。黒いストッキング越しに、太腿がわずかに覗いている。 「そのスカート、なんでそんなに短い」 「別に。動きやすいし」 「嘘だな」 彼女は鼻で笑った。 「男が見るからだ」 その言葉に、彼女のガムが止まった。 「……なにそれ」 「簡単な話だ。人間は動物だ。視線を引くものに惹かれる。脚を出せば見る。見るから、見せる」 彼女は椅子にもたれた。 「じゃあ、あたしが男を誘ってるって?」 「誘ってるさ。無意識でもな」 「そんなつもりないけど」 「だろうな。でもな、ファッションってのはそういう力を持ってる」 私は身を乗り出した。 「例えば、そのストッキング。素足じゃなくて黒だ」 「安かっただけ」 「違う。黒は脚の線を強調する。太腿の境目を想像させる。人間の脳は“見えない部分”を勝手に補うんだ」 彼女は少し黙った。 視線が、ほんのわずかに自分の脚へ落ちる。 「……オッサン、気持ち悪いよ」 「だが本当だ」 私は笑った。 「ファッションは鎧でもあり、武器でもある。そして一番強い武器は――」 「なに」 「想像させることだ」 店の窓の外を、学生らしい若者が通り過ぎる。 そのうちの一人が、ちらりと彼女の脚を見た。 彼女は気づいたらしく、わずかに姿勢を直した。 スカートがさらに上がる。 「ほらな」 「……見てた?」 「見てた」 彼女は舌打ちした。 けれど、その口元はどこか楽しそうだった。 「じゃあさ」 彼女がテーブルに肘をついた。 「オッサンの言う“正しくない性教育”ってやつ、まだ続くの?」 「もちろんだ」 「次は何」 私は静かに言った。 「靴だ」 「靴?」 「ヒールの高さはな、姿勢を変える。腰の角度を変える。そして――」 私は少し声を落とした。 「歩き方まで変える」 彼女はしばらく黙っていたが、やがて小さく笑った。 「……変態だね、あんた」 「教師と言え」 「じゃあ先生」 彼女は脚を組み替えた。 ストッキングの擦れる音が、小さく鳴った。 「続き、聞いてやるよ」 私は頷いた。 正しい教育は、退屈だ。 だが―― 間違った教育のほうが、ずっと人間をよく説明している。 コーヒーはすっかり冷めていた。 「いや、これからは実習だ。綾乃が男たちの人気の的になるファッションをこれから買いに行くぞ」 「それでなくてもこの格好で学校じゃ目を着けられてるんですけど」 「もう、学校を出て、街に出るんだ。少年は荒野を目指す。少女は街に出る。」 「なんかよくわかんないな。」
26/03/08 19:01
(bmuKWTT5)
センスがいい!
タイトルだけで吸い寄せられるように読み始めてしまいました。 実用性(エロ)はさておき、小説としての期待値が高い! 面白い小説をお願い致します。 (実用性が高いとさらにいうことなし!)
26/03/09 00:02
(/VwCfuCG)
レッスン2 実習・銀座の靴
「今日は実習だ」 北浦和の小さな家の玄関で、私はそう言った。 綾乃は壁にもたれてスマートフォンをいじっていた。金髪に近い明るい髪、だらしなく着たパーカー、短いスカート。昨夜と同じ格好だ。 「実習?」 「そうだ。服装が人の視線をどう集めるか、実際に試す」 綾乃は面倒くさそうに顔を上げた。 「どこ行くの」 「銀座」 「え、マジ?」 「まず浦和まで出る。そこから京浜東北線だ」 電車に乗ると、綾乃は窓の外を眺めていた。 休日の昼前、車内には買い物客や学生が混じっている。 「オッサンさ」 「先生だ」 「はいはい先生。なんで銀座なの」 「理由は簡単だ。人が服を“真剣に”見る街だからだ」 上野を過ぎ、東京に近づくにつれて乗客の雰囲気が変わっていく。 服装が少し整い、姿勢がどこか落ち着いている。 有楽町で降りると、冬の光がビルの壁に反射していた。 銀座の街はいつ来ても、どこか舞台のようだ。 「こっちだ」 七丁目の通りを歩く。 ショーウインドウには、まるで彫刻のような靴が並んでいた。 綾乃が足を止めた。 「……ここ?」 赤いロゴの看板。 店内は静かで、床まで光っている。 「そう。ここで靴を買う」 「場違いじゃない?」 「ファッションの勉強に場違いはない」 店員に案内され、綾乃は椅子に座った。 差し出されたのは細いヒールの靴だった。 「これはKATEという型だ」 綾乃は靴を手に取った。 「細っ……」 「履いてみろ」 ストッキング越しの足に、靴が滑り込む。 立ち上がった瞬間、彼女の姿勢が変わった。 背筋が伸び、腰の位置が上がる。 「歩いてみろ」 店内の鏡の前を数歩歩く。 カツ、カツ。 ヒールの音が床に響く。 綾乃は鏡を見て、少し驚いた顔をした。 「……なんか、違う」 「それが靴の力だ」 「姿勢が変わるだろう」 彼女はもう一度歩いた。 歩き方が、さっきよりゆっくりになっている。 「人は歩き方を見る。靴はその歩き方を作る」 店を出たころ、綾乃は箱を抱えていた。 「次だ」 晴海通りを南へ歩く。 銀座ライオンの前を通り過ぎ、東銀座駅の近くまで来る。 「昔、この辺にパンストの専門店があった」 「へえ」 「ピンクティクラブという店だ。イタリア製ばかり置いていた」 綾乃はきょろきょろと辺りを見回した。 「でもないじゃん」 「時代は変わる」 私は肩をすくめた。 「仕方ない。三越へ行こう」 日本橋の三越は、銀座とはまた違う重みがある。 店内は静かで、天井が高い。 ストッキング売り場で店員がパッケージを並べた。 「イビチというブランドだ」 綾乃は包みを開け、布を指で伸ばした。 「薄いね」 「脚の線を綺麗に見せるためだ」 彼女は少し考えてから言った。 「オッサン……じゃなくて先生」 「なんだ」 「ファッションってさ」 「うん」 「結局、見られるためにあるの?」 私は少し考えた。 「半分はそうだ」 「半分?」 「もう半分は、自分が変わるためだ」 綾乃は箱を閉じた。 「さっき靴履いたとき、姿勢変わっただろ」 「……うん」 「服は人間を作る」 三越を出たころには、空は少し曇っていた。 「次は?」 綾乃が聞く。 「秋葉原だ」 「なんで」 「服装の実験だ」 山手線で二駅。 秋葉原の駅前は、銀座とはまるで違う熱気だった。 看板、ネオン、人の波。 「ここだ」 雑居ビルの前で私は立ち止まった。 エムズ。 綾乃は看板を見て笑った。 「怪しい店」 「研究には幅が必要だ」 店内には、さまざまな衣装が並んでいた。 制服、ドレス、奇抜な服。 綾乃は一着を手に取った。 「これ着たら、目立つね」 「だろう」 彼女は少し考えてから言った。 「でもさ」 「うん」 「今日わかった」 「何が」 綾乃は笑った。 「服って、ただ着るだけじゃないんだね」 私は頷いた。 銀座のヒール、薄いストッキング、そして派手な衣装。 全部、同じことを教えている。 人は、見ている。 そして―― 見られることで、少しだけ別の自分になる。 「次の実習は歩き方だな」 「まだ続くの?」 「もちろんだ」 秋葉原の雑踏の中で、綾乃は少し楽しそうに笑った。
26/03/09 19:21
(p.s6fTd4)
ありがとうございます。
やはり、ナンネの中にあって、少し毛色が違って面白いです。
26/03/09 23:24
(/VwCfuCG)
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