父と母が離婚すると、僕たちはお母さについて行った。４人で暮していた世田谷の家は売った。父は、学生が働きたいと思う会社のベスト１０に毎回入る会社で働いていたからお金は稼いでいた。って言っても年収１０００万位だよ。母がよく自分の親しい友人に言っていた。年収１０００万じゃたりないって。母は結構見栄っ張りな方なんじゃないのかな、よくわからないけど。まあ、とにかく離婚して、僕たち三人はマンションに引っ越した。慰謝料なんかはちゃんともらっていたよ、そう言うところは父はきちんとしていた。離婚すると、母は働き始めた。昼間、僕たちが学校に行ってる間、どこかで事務の仕事をして働いているみたいなことを言っていた。一度、僕が何かで学校っから早く帰ってきた時、仕事に行く母とマンションの玄関でばったりあった。１２時くらだったかな。その時は、ちょっと母の恰好がキラキラしていたから、子供ながらに不思議に感じた。

３時半頃に、学校から帰ってきたお姉ちゃんに、お母さんと昼間にマンションの玄関で会ったことを話した。キラキラしていたことを話した。お姉ちゃんは、はあ、疲れたぁ、って言って、自分の机の上に顔を埋めながら聞いてるのか聞いてないのか、興味がないふりをしていた。

僕が小学生三年の頃、お母さんは結婚相談所に登録をした。そこで2番目に紹介してもらた男性と結婚した。1番最初に紹介された男性の人は、箱根で運転手をしいる人で、母よりも年上だった。30後半の母にたいし、その人は50代だった。おとなしいロマンスグレー。まだ結婚をしたことがないと言っていた。子供がいる女性でもかまいませんって。何度かお姉ちゃんと僕も食事をした。優しい人だったよ。けど、母は収入がある男性を選んだ。建設会社社長。年収が1000万以上あった。

結婚式は４人で、小さな教会でした。ウェディングドレスを着ている母は綺麗だった。写真を撮った。新しいお父さんのところだけ切り取りたかった。この頃から、お姉ちゃんの身体が変わり始めた。胸が大きくなった。パンティーに血がついたりしていた。お母さんが新しいお父さんに話していた。京香に生理が来たけど、お祝いとかしないで、そっとしておきましょうって。お姉ちゃんがまだ新しいお父さんを男性としか見れないからじゃないかな、たぶん気を使ってたんだ。小学生３年の僕は、そう言うこともわかっていた。大人の事情っていうやつ。
僕が知らないとでも思っていたのか、お母さんが、僕の前でお姉ちゃんにナップキンの使い方を説明していた。お姉ちゃんは、黙って聞いていた。

新しいお父さんの家に、僕たちは引っ越しをした。二階建ての一軒家兼会社だった。二階には、部屋が並ぶように3つ。真ん中の部屋を僕が使った。トイレと風呂は一階。トイレだけは会社の従業員の方たちも使っていた。そこに、母が可愛いらしい汚物入れを買ってきて置いた。誰でも開けようと思えば開けられた。僕がたまに開けると、母や姉が使った血のついた使用済みナプキンが入っていることがあった。まあでも誰も見ないか？
結婚祝いを従業員の方たちがフグ屋でしてくれた。みんなが、社長がうらやましい。とか、どこで知り合ったんですか？なんて言っていた。小学６年のお姉ちゃんにフグの白子がどこか教えて喜んでる奴らもいた。それを見て、コイツらは、絶対にトイレの汚物入れを開けて見るだろうなあ、と僕は思った。