兄は話を引き取り、「夕食の時、言おうと思っていたが、食べることに夢中になって言い忘れてた。おれこの人と結婚するから」と話し始めた。お母さんは「良かったじゃない。実は私も再婚するからよろしくね」と話し始めました。結局、私だけが話しの輪に入ることができませんでした。
もやもやした気持ちでいたところ、職場の先輩冬太さんに「春風はこの頃元気ないな。どうした」と声をかけられ、食事に誘われました。
仕事帰りに何度か食事に誘われていましたが、ある時、食事が終わってとりとめもない話をしながら歩いていると、突然抱きすくめられ、キスをされました。兄の次に好きな人、と思っていたので素直に受け入れ、誘われるままにホテルに行きました。久しぶりに楽しみ、ベッドでボーっと余韻を楽しんでいると、冬太さんから、「俺、前から春風が気になっていた。結婚してくれないか」と告白されました。突然のことだったので返事に困っていると、「返事は今でなくてもいい。ゆっくり考えて」と言われました。
家に帰ってお母さんに結婚を申し込まれたと話すと、私の手をとってよかったねと喜んでくれました。
数日後、冬太さんに食事に誘われ、帰り道にこの前の返事はと聞かれたので、はいと言ったところありがとうと言って強く抱きしめてくれました。
その夜はホテルで何度となく喜びを感じながら、これで新しい生活に踏み出せると強く感じました。（完）