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1:歪んだ世界6
投稿者:
番・ホーテン
◆tDl5aAYBjQ
その日の朝は複雑な気分だった。
この歪んだ世界に移行して以来、久々に晴れ晴れとした気分で起きることがで きたのだ。 しかし、それも、昨日の内森さんへの非行から来るものなのか?と思うたびに 下方向へと沈んでしまう。 とりあえずは警察を呼ばれなくて良かったと思い込んでおこう…。 ともあれ、俺はいつものように学校へ向かおうと家を出たのであった。 学校までの道のりでは、というか日のあたる屋外では、無秩序な行為が横行す ることはない。 せめてこの通学時間だけでもゆっくりしようじゃないか。 最寄の駅の1番線に立ち、他校の学生やサラリーマンに混じりながら電車に乗 り込んだ。 残念ながら座るところはすべて埋まっている。 仕方ないので入り口前に立ち、外の景色でも眺めていいることにした。 こちら側のドアはかなり長い間、開くことはない。 しばらくぼーっとしていられる。 流れていく民家の中では、布団を干している主婦や、ドアから元気良く飛び出 していく小学生の姿が垣間見える。 なんでもない光景っていうのは何よりにも変えがたい素晴らしいものなのかも しれない。 ベタな言い方だと「失ってはじめて気づく…」というやつだ。 なんだか、急に老け込んでしまった自分に嫌気がさして首を軽く振る。 途中駅に停車し、新たに乗客が乗り込んでくる。 朝のこれくらいの時間だと、大きな駅につくまでは基本的に乗ってくる人ばか りだ。 ますます周りとの間は狭められ、隣の人と袖が触れ合うほどになった。 ふと、薄く香ってくる香水に気づき横を見ると20半ば程のOLが立っていた。 ブラウンに染めた、胸元まで届く髪にゆるくパーマをかけている。 きっと伸ばせばもっと長いのだろう。 OLはサラリーマンに比べて多少服装が自由だ。 薄い緑のミント色の柔らかそうな上着に、少し青の入った黒いタイトスカート をはいている。 特に胸が大きいとかの特徴的なスタイルではないが、全体的にバランスがよ く、年相応の色気がある。 …今は女性に用はなない。 視界に入るだけで、ざわざわと騒ぎつつある腹の中に喝をいれて沈めた。 今くらいは普通の男子学生でいたいじゃないか。 ガタン、ゴトンと定期的にゆれながら電車が進む。 多少の景色の違いはあっても、単調な通学時間だ。 それについてはこっちの世界でも同じのはずだった。 しかし…いや、あるいは、「やっぱり」…。 そんな俺の僅かな休息の時間さえも、思い違いになりそうだ。 「……ん……ぅ……」 先ほどのOLが小さく息を漏らしている。 原因は彼女の下半身に伸びる男性の右手のせいだ。 OLの後ろにはスーツ姿の30過ぎくらいの男がたっている。 中肉中背の背丈に清潔感のある髪型、薄いフレームのメガネ。 これまた絵に描いたような普通のサラリーマンだ。 しかしこの輩は不埒にも、自分の体を前方のOLに密着させ、スカートの中に手 を差し込もうとしていた。 OLはそれを拒むように、バックを持っていないほうの手で、払っている。 けれども強引に入り込んでくる男の力には敵わず、手首を握り締めて、相手の 進行を遅らせ位が関の山のようだった。 やがて、足の付け根へと唐突したのか、OLが両足をきゅっと寄せるのが見えた。 サラリーマン風の男は鼻をズッと鳴らし、眉毛を少し上へ上げる。 完全に進入されてもまだ、手首から手を離さないOLの姿は、言うことを聞かな い自分の尻尾を押さえ込んでいるように見える。 ブツブツッと何かが切れる音がした。 そういえばOLはストッキングをはいている。 それを破いているのだろうか。 だとすれば彼女の中にまで指が届くのは時間の問題だろう。 案の定、それからOLの顔色はみるみる赤くなり、指から逃れるように、ヒール をはいた足でさらに爪先立ちを始めた。 ここまできたら俺以外の乗客も二人の異変に気づいているだろう。 しかし騒ぐ声はない。 それどころか数人の男性客は情事を楽しむようにな目つきでにやにやと見物し ている。 そのとき、また新たな手がOLに伸びた。 今度もスーツを着ている男で、今までの男よりいくらか年を重ねてそうな奴だ。 そいつはOLの上着を捲り上げると、ピンクのレースのついた黒いブラを周囲に 露出させた。 痩せ型のOLだが、胸囲はぱっと見、Cくらいはあるだろうか? その行為に釣られて、OLのまわりに下衆な目つきの野次馬が集まりだす。 その一帯は男たちの囲いが出来上がり、簡易的に周りから遮断された空間に なった。 「やっやめてください…、離してください…」 彼女は困り果てたように呟くが、その願いは聞き入れられそうに見えない。 だんだんと熱が上がり始める男たちの中、始めに手を出した男性が口を開いた。 「嫌がる振りなんかしなくていいんだぞ、そんなパツパツのスカートで尻を振 りながら歩くなんて、誘ってるのがバレバレだぜ」 「違います、違いますっ…誘ってなんかいません…」 首を振って否定する。 「嘘ついてんなよ、いっやらしいブラだなぁ」 前方の男まで会話に加わり始めた。 言うだけ言ってブラを下ろすと、形のいい乳房がふるんと揺れ、野次馬どもが 小さく声を上げた。 後ろの男もそれに乗じて、スカートをめくりあげる。 無残に破られたストッキングの下には黒いパンティがはかれている。 「さぁさぁ、始めた者として一番槍になって下さいよ」 後から来た年上の男は、OLを最初の男のほうへと向けさせ羽交い絞めにした。 「へ……それでは僭越ながら」 言われたほうはOLの片足を持ち上げてパンティの股布をずらし、赤黒く肥大し た男根を押し込んだ。 「あっ……!」 その瞬間、女は一声あげて唇をかむ。 おお~、と周りの人が歓声をあげる。 不幸にもそのOLは自分の強姦姿を周囲に公開されることになってしまった。 「最近の女性は変に色っぽい姿の人が多すぎますよねぇ」 「ええ、本当です。見せ付けられる側の苦労を理解してないんでしょうな」 「これくらいやってあげたほうが本人のためですよ。良いお灸です」 「いっそのこと着床でもして、忘れられないようにしてやったほうがいいん じゃないですか?」 俺の後ろに立っている男たちがコソコソと話をしている。 実に品のない会話だ。 その間も、スーツの男は、速いペースで小刻みに腰を動かしていた。 電車のゆれで連結が外れないよう、奥まで挿入して攻め続けているようだ。 男の表情は緩みきっていて、女を楽しませる気など毛頭なく、ただ自分の快楽 のためだけに動いているのが見て取れる。 カッカッとたたらを踏むヒールの音と電車の騒音だけが聞こえている。 周囲の奴らは中に出すかどうかをたまに言い合いながら見入っていた。 やがて快楽が頂点に達したのか男がう~っと唸りだした。 「いけっ!」 「だしちまえっ!」 「孕ませろ!」 とたん、熱気が爆発したように野次馬が騒ぎだす。 「やめてっやめてっ!」 OLの声は虚しくかき消されるだけだ。 「っあ~~~…」 結局周囲の期待にこたえて、そいつは中で射精を開始した。 「おおお~」 その光景に拍手をする奴までいる。 「……ぁ…あ…」 ひとり、やられた本人だけが青ざめていた。 始めの男は満足そうにベルトを締めると、ぺこぺことお辞儀をしながら野次馬 の中にまぎれていった。 その場には未だ羽交い絞めにしている男と、中出しレイプを見世物にされたOL だけが残っている。 「次、加わって来いよ」 突然、俺は背中をドンと押された。 思わずよろけて二、三歩進む。 「あ…」 周りの目が俺に傾けられる。 そういえば初めからこの行為を見物し、一番近くでたむろしていたのは俺だっ たのだ。 まるで順番がきたかのように俺にスポットライトがあたるのは当然かもしれない。 「いや、俺は…」 OLはうつむいて呆然とし、後ろの男は見定めるように俺を見ている。 俺はこんなのに加わるつもりはない。 昨日のは何かの間違いで、俺自身は普通の、この世界の奴らとは違う人間なんだ。 そのとき、電車が駅に止まり、ドアが開いた。 (逃げなくちゃ…!) 俺は一目散に外へと向かい、その場を離れた。 駅のホームに戻ると、そこはいつもの静けさを保っている。 耳に響くものといったら人々の足音くらいだ。 俺はいつのまにか流れていた汗をぬぐい、息を落ち着かせた。 もうさっきの電車は発車してしまっている。 気安く見続けていたことがダメだった。 反省しなくては。 今更だが、駅の名前を見ると、俺の目的駅よりかなりさきの駅名であった。 これから学校に向かって遅刻しなければいいのだが。 しばらく呆けた後、反対側のホームへと急いだ。
2007/04/21 00:18:05(YOcujhFj)
投稿者:
もげ
続きありがとうございます。
できれば、学校の話が読みたいので御願いします。
07/04/21 10:21
(5e4FF1Vm)
投稿者:
(無名)
毎回、レベルの高い投稿をどうもです。
普通に読み物としても楽しめました!!
07/04/25 15:23
(0tvP5/Hx)
投稿者:
番・ホーテン
◆tDl5aAYBjQ
コメントありがとうございます。
次話は学園の話です。 学園話になるとどうも長すぎてしまう感があります・・・。 よろしければ読んでください。
07/04/30 13:20
(aNrDFolo)
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