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命を繋ぐ青春の絆
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:ノンジャンル 官能小説   
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1:命を繋ぐ青春の絆
投稿者: 摩天楼
二十六年前の早朝。大きな地震に遭遇した。経営していた店と共に被災。難を逃れたらしく気付いた時は、病院のベットの上だった。病院中に怒号が飛び交う。地元でスナックを経営していた私だったが、店を任せていたママが客の子供を妊娠。店の評判は悪くなる一方。そんな時期の予期せぬ出来事。
混乱の中。人生に絶望した私は数ヵ月後。手紙と手元に残っていた数百万の現金を田舎の家族に郵送し、店の跡地近くの駅から電車に乗った。行く当てのない電車の中で「ふっ」と、一人の女性の顔が脳裏を横切った。その女性は私の文通相手。知り合った時は互いに高校生。彼女の学年は私より一つ上。私にも姉はいたが、その当時から私の良き相談相手だった。携帯電話やポケベルさえない時代。彼女と知り合ったのは、ある音楽雑誌のペンフレンド募集のページだった。当時の私には好きなミュージシャンがいて、音楽に共感して頂いてくれている方がいればと思い、軽い気持ちで応募先にハガキを出した。雑誌に私の記事が掲載されると、何故か女性の方ばかりから三十通ほどの手紙が届いた。切手代の事もあり、全ての方と続ける事が出来ず数年が経過。文通相手として残ったのは、彼女だけだった。。その彼女と初めて逢うきっかけを作ってくれたのは、社会人となった私が初めて新車を購入した時。知り合って六年が経過していた。私達の待ち合わせ場所は、遠く離れた彼女の自宅近くの湖畔の駐車場。目印は私の車の限定色「お茶っ葉のような緑色」とナンバーの「4944」周囲の人達には、「死ぬ44分前」と笑われていた。自宅から数時間かかる道のり。数回に渡り逢う機会があったが、何故だか彼女とはキスさえする事はなかった。互いに淡い青春の思い出にしたかったのかもしれない。
いまの私は知らない駅に着くたび、路線図を眺め目的の駅に到着したのは二十時を過ぎていた。駅の公衆電話の電話帳を開き右手の人指し指で名字を追い、覚えていた住所から彼女の父親の名前を見つけ、記載されていた番号に電話をした。彼女は結婚したと聞いていたので、連絡先を教えて貰えたら。そんな気持ちだった。電話に出たのは母親。「ちょっと。お待ち下さいね」「えっ」しばらく待っていると「もしもし」彼女の声。当然ながら突然の私からの電話に驚いていたが、それと同時に実家に彼女が居た事に私も驚いた。季節は八月。夏祭りなのだという。そう言われ周囲を見渡すと、数多くの明かりが灯された提灯。そこに屋台が並ぶ風景。絶望していた私には気付く事さえ出来ずにいた。住所だけを頼りにたどり着いた駅だったが「もっと近い駅があるのに」怒られ、それでも彼女は、その駅まで私を迎えに来てくれた。開口一番「いったい何があったの」これまでの事情を話し「バカッ。貴方はっ。いっつもそうっ。思い付きで行動するんだからっ」また怒られた。迎えに来てくれた軽自動車。年子の子供が小さかった事もあり、車内は決して綺麗とは言えない。彼女の自宅へ行くのは初めてだった。突然の訪問に恐縮する私の前で玄関の扉を開ける彼女。「どうぞ」「お邪魔します」母親が出迎えてくれた。「初めまして」居間に上がらせて貰うと、多くの料理が並ぶ座卓の前に座る。「これから。どうするの」彼女の言葉に「今は。何も」父親は何も語る事なく日本酒を呑んでいた。彼女の子供が走り回る。「夜遅くまで。お世話になりました」彼女の自宅を出ようとした時。「知り合いの所に泊めて貰いなさい」彼女と母親で私の宿泊場所を探してくれていた。「いえいえ。そこまでは」そう言う私に「いい加減っ。大人になりなさいっ」彼女に頭を軽く叩かれ、母親と彼女とで宿泊先まで送ってくれた。そこはペンションらしいが、誰も姿を見せる事なく「明日。迎えに来るから」二人は帰った。
翌朝になり、部屋のテーブルに指示された料金を置いた。迎えに来たのは彼女一人「おはよう。眠れたぁ」「いえ」駅まで送られ別れ際「これ。お父さんから」私の左手に数枚の紙幣を握らせ「家に帰りなさい」その言葉に何も答えられないまま頭を下げた。抱きしめてくれた彼女。「絶対に死ぬんじゃないよ」私は電車に乗り、いくつもの駅で求人誌に目を通した。とある駅で観光地の住み込みの求人を見つけ、迷わず電話をした。「これから来て下さい」嬉かったが「遠くに居るので時間が掛かります」「構わない」あの時のオーナーの声は今でも忘れない。「彼女の父親には。お金を返さなければ」その思いで、もう少し生きる事を決意した。最後まで読んでいただき有り難うございました。



2021/03/07 23:06:38(jxA.ZLP4)
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