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1:セフレ以上、恋人未満
投稿者:
のら
◆GY/vwIQA/6
プロローグ
初めての彼女は大学2年生のとき。当時の俺は愛くるしく華奢な彼女を守ってあげたい、そんな純粋な恋愛感情があった。だから俺からセックスを強要することもなかったし、キスも数えるほどしかしなかった。彼女を傷つけたくないと思っていたのだ。 そして彼女と別れるとき、あなたといてもドキドキしないと言われた。 俺はどこで間違ってしまったのか。できるだけ彼女を傷つけないようにしていたのに。 それから5年間、俺は彼女がいない期間が続いた。
2020/06/30 19:02:16(0pgJnJfg)
投稿者:
(無名)
◆GY/vwIQA/6
【藤原みゆき①】
藤原みゆきは小中学校が同じで、クラスも一緒になったことがある。中学生の頃、みゆきは男子生徒から結構人気があった。ショートヘアで目鼻立ちが良く運動もできる。可愛らしい笑顔に何人もの男子が告白し、その度に撃沈していた。あるとき学年でも上位カーストの男子と付き合いだしたという噂が流れると、告白する男子はいなくなり告白による撃沈報告もなくなっていた。中学卒業以来、俺はみゆきに連絡する間柄でもなかったが、同窓会で俺は久しぶりにみゆきと再開した。 大学を卒業した俺は社会人3年目となり、社会の荒波にもまれつつ、仕事に私生活・趣味と充実した生活を送っていた。彼女はおらず出会いを求めてアプリを使うも、これといって成果はなかった。そんなときにSNSで同窓会の話が回ってきた。なんでも小学校の同窓会らしく、担任だった先生もくるらしい。久しぶりに会いたい友人もいた俺は、すぐに出席の連絡をした。 同窓会当日。集まった面々は大人になっていたもののすぐに打ち解け、10数年ぶりの再開に盛り上がりを見せた。興奮が少し冷めた頃、俺はふと長髪の女性と目があった。向こうもこちらと目が合うとお互い誰だっけと、少し思い出す素振りをした。思い出すのが早かったのは俺の方だった。 「あっ、藤原さん??」 喧騒の中、小声で言った一言をみゆきは笑顔で頭を縦にふった。どうやら伝わったらしい。俺は席をたち彼女の真向かいの席へと座った。 「藤原さんだよね?髪伸びて雰囲気変わったから気づかなかったよ。」 「私も。一色くんさ、中学の頃太ってたから、その時のイメージで誰だかわからなかった(笑)」 「あー、良く言われる(笑)」 俺は中学生の頃、良く食べ、良く寝ていた。そのせいで背は伸びたもののブクブク太り、恋愛とは縁遠かった。 「仲が良い奴らだとすぐわかってもらえるんだけど、久しぶりに会うとめっちゃ驚かれるよ。」 「うん、私もちょっと驚いた。でもさ、藤原さんって、なんでさん付け?小学校の頃はみゆきって読んでたじゃん。」 「あー、なんかさ中学から俺、太り始めたじゃん。それで中学校が同じだった女子にだけは、いまだに臆病になるんだよね。みゆきは微妙なラインだけど」 「なにそれ(笑)」 9年間学校が一緒だった女性とは思えないほど、みゆきは美人になっていた。当時は可愛いかったが、今は美人という言葉が良く似合う。ショートヘアからロングヘアに代わり、幼顔は大人っぽいキリッとした表情になっている。大人美人となった彼女に内心ドキッとしながら、でも昔懐かしい話で盛り上がった。 「へぇー、今は看護師なんだ。みゆきのことだからOLとかしてると思ってた。」 「なんで笑」 「中学の頃さ、結構テキパキと委員会の活動とかしてたじゃん。そういう感じからOLかと。」 「確かにしてたけど、内申のためだったし、親がPTA役員だからやらないとうるさかったの。」 「そういやそうだったな。」 「そう。だから仕方なく、、、。ゆうたはなんでゲーム会社なの?」 雄大(ゆうた)は俺の下の名前。みゆきの下の名前で呼ぶクセが、幾人もの中学男子を撃沈へと向かわせた理由の一つである。幸い、みゆきと小学校から一緒だった俺は、それを免れた。 「まぁ、理工系だったし、プログラミングとかパソコンいじるの好きだったからかな。」 「そうなんだ。ゲームするのは好きだけど、そういうのはムズかしそう。」 「ゲームはやるのが一番だよ。深く考えたら負け。」 「ふふっ笑。そういうところ、変わってない。」 そんな感じで、俺とみゆきは少し長く話していた。そして店の時間がくると二次会に移すという話がでた。友人たちも乗り気だったが、次の日に仕事があった俺はそこで帰ることにした。
20/06/30 19:12
(0pgJnJfg)
投稿者:
のら
◆GY/vwIQA/6
【藤原みゆき②】
同窓会から1週間後。SNSでメッセージが届いた。差出人は同級生の有永良美。同窓会いたメンツだ。 「一色くん久しぶり、有永です。今度飲み会するんだけど、一色君も参加しない?少人数でやるつもりで、今のところメンバーは私とみゆき、原口くん。来週の土曜日なんだけど、予定どうかな?」 有永とみゆきは小学校から仲良しで、今でも二人で会って話したり飲んだりしてるらしい。原口とは昔もあまり話したことなかったけど、まぁ大人になったらまた話すことはあるだろう。何より女子から誘われるのは、何歳になっても男としては嬉しいものだ。俺は予定を確認し、行けることが分かるとすぐに参加する旨を連絡した。 飲み会当日。原口が地元の居酒屋に予約を取ってくれていた。夕方だが人は結構入っている。4人席に座るとすぐさま店員が飲み物の注文を聞いてきた。皆ビールを注文し、お通しがでてくると、食べ物の注文をする。冷えきった生ビールがテーブルに置かれると、俺は早速ジョッキに手をかける。しかし誰も何も言わない。何かのタイミングがあるのか、そんな感じで黙ってる。ふと原口のほうを見ると、何か言い出しそうだが、そこで止まってる。 「ちょっと幹事!しっかりして!」 状況を観かねた有永が、原口に向かって言い放つ。どうやらこの企画をしたのは原口らしい。有永から回ってきたから、てっきり有永が企画したものだとばかり思っていた。俺とみゆきは目を合わせて、何が何だかという感じでいたが、さすがに30秒近くも黙られちゃこちらが不安になる。なんとなく察した俺は、幹事に手をさしのべた。 「では幹事、乾杯のコール、お願いします!」 俺はジョッキを持ち中央に出す。有永とみゆきも同じようにすると、原口はちょっと重たそうな空気で 「か、乾杯、、」 と言った。すかさず有永がツッコむ。 「それじゃお通夜。一色くん。仕切り直してっ」 「えっ、、じゃあ、、かんぱぁい!」 飲むときぐらい楽しくと思い一気にかんっかんっかんっ!とジョッキを当て、そこからゴクッ、ゴクッと生ビールを半分飲みほす。 「っかぁぁぁ!このために生きてんなぁ!」 「そうそう!折角の飲み会なんだから、楽しくいこうねっ!」 有永が続いて生ビールを飲み、みゆきも同様に飲む。最後に原口が一口ビールを飲むと、ようやく笑顔が戻る。 「こういう幹事とか初めてで、ごめん。」 「謝ることないだろ。幹事が乾杯の音頭とらないといけないなんて暗黙のルールでもあるのか?」 フォローぎみに言うと有永が噛みつく。 「そうじゃないでしょ、飲み会の一発目だよ?盛り上がらなきゃ、沈むだけだし、めっちゃ考えたのに。」 「考えた?乾杯の音頭を?」 「そう。同窓会の次の日に、原口くんから飲み会しないって連絡があったの。で、私が誰がくるの?って聞いたら、まだ決まってないって。さすがに二人だけじゃ盛り上がらないから、他にも誘おうよって言ったら、頼むって言われちゃって。まぁ、お店探しはすぐしてくれて、助かったけど」 「悪かったって。誰誘っていいか分からなかったんだ。でもここのお店さ、すごく評判いいんだよ。」 そういうと原口は食事アプリのサイトを見せてくれた。確かに星4.6は好評価だ。それからクーポンを使えばかなり金額が抑えられるらしい。幹事として店選びは重要な要素だから、これは参加する側も嬉しい。 「なんだ、ちゃんと幹事の仕事してんじゃん。」 「うん。細かいところちゃんと詰めてくれてありがとね、原口くん。」 俺とみゆきは原口のフォローをした。それを聞いた有永は残りの生ビールを飲みほした。 「てことは、やっぱり有永の人選か。」 「何が?」 「残りのメンバー。有永とみゆきは仲良かったから分かるんだけど、なぜ俺?」 「それは、、私の後ろだったから。」 「ん?」 「一色くんは出席番号2番でしょ。後ろの席に座ってたのが一色くんだから。」 「テキトーだな、おい。」 「もぉ、いいの、この話しは。」 ちょうど良いタイミングで食事がきてくれた。乾杯の音頭以降、原口もペースをとり戻した。大人数でする同窓会とは違い、4人だと少し濃い話もできた。酒が回るとそれは更にヒートアップした。偶然にも4人とも中学が同じだったからか、恋愛事情の話もした。 原口は最初とは打って変わって、滑らかに話していた。 「そういえばぁ、俺どうしても藤原さんに聞きたいことあった!」 「ん?何?」 「藤原さんって中学時代モテたじゃん。結局宇野くんと付き合ったんでしょ。」 「うん。まぁ、すぐ分かれちゃったんだけどね。ホント、3ヶ月くらいかな」 「あー、宇野くんって取っ替え引っ替えだったよね。」 「そうなの?俺、中学の頃の恋愛事情よく知らないんだよな。有永とかは結構カースト的に上位だったから、そこら辺よく知ってそう。」 「そう言えば、一色くんって中学生の頃太ってたよね。同窓会で会ったとき、びっくりしちゃった。」 「もうその話しはいいから。」 「そう?まぁ、宇野くんはね、、」 「ん?」 有永はあまり良い表情をしていなかった。そしてそれは、みゆきも同じだ。俺が太っていたことを触れてほしくないのとは違う、良くない話題だ。 「まぁ、こうして4人で集まって飲めるのも、何かの縁かもな。俺なんかさ、大学で、、」 そう話題を変えようとしたとき、原口が割って入った。 「知ってるぜっ、宇野の話。結構ドロッドロだよなぁ。つか、有永も良く一緒に居たんだからよ。」 「何のこと?」 「決まってんじゃん、孕ませ事件のことだよ。」 「あんた、、」 「それでさぁ、藤原さんはどうだったの?付き合ってるとき、宇野とヤッ、、」 バシャン!と机の上にビールがこぼれた。ほとんど飲みかけだったから、さほどの量はない。 「ごめんっ、酔ってつい手元狂ったわ。」 「もおっ、すみませんー!」 俺は苦笑いで言うと、みゆきは店員さんを呼んでくれた。そこからは有永が世話焼き女房っぽく、俺の服に少し引っ掻けたビールを拭いてくれたり、原口を黙らせるために水を飲ませたりしてた。そんなこんなで席の時間がくると、そこで解散となった。
20/06/30 20:45
(0pgJnJfg)
投稿者:
のら
◆GY/vwIQA/6
【藤原みゆき③】
飲み会の翌日。原口からSNSで連絡がきた。内容は飲み会のときの謝罪だった。原口自身も酔った勢いとはいえ、反省していたらしい。女性陣にも連絡をしたらしく、特に気にしていないと連絡がきたそうだ。まぁ、そんなことはなさそうだろうけど。 後味が微妙な終わり方だったが、また飲む機会もあるだろうからと、原口に返信を送ったところで、電話が鳴った。相手は有永だった。 「もしもし、一色くん?」 「うん。有永から電話なんて初めてだよ。」 「私も初めて電話した。あのね、昨日のことなんだけど、ごめんね。」 「なんで有永が謝るの?」 「実は昨日の飲み会、原口くんがみゆきと繋がるきっかけを作るために企画したの。言い出しっぺは私。」 「そうだったの?」 「うん。実は、私と原口くんって、仕事関係でちょくちょく会ってたんだ。それで同窓会の日に久しぶりに会ったみゆきに、原口くん一目惚れしちゃって。原口くん、同窓会の後にその事話してきて、きっと私も昔の友達に会って舞い上がってたんだと思う。じゃあ、適当に少人数で飲み会しようよって言ったの。みゆき呼んで、そこで話せばいいねって。二人でみゆきのこと笑わせるためにどうすれば良いかとか、色々考えたんだけどね。」 「けど、酒飲んでたら、原口が暴走したと。」 「そう。まさかお酒飲んであんな風になるなんて思わなかった。」 「そっか。さっき原口から連絡きたよ。あいつも結構反省してたな。」 「私にもきた。はぁ、、ホントにごめんね。」 「俺は別に大丈夫だよ。」 「あの時お酒こぼしたの、わざとでしょ?」 「ん?あぁ、咄嗟だったから(笑)それに洋服は、洗えば汚れは落ちるし。」 「ごめんね。それで、もう一つ話したいことあって、、」 「何?みゆきのこと?」 「うん、、」 昨日の原口の言葉を思い出していた。(それでさぁ、藤原さんはどうだったの?付き合ってるとき、宇野とヤッ、、) みゆきが居ないところで、その話をするのはなんだか後ろめたかった。 「俺、飲み会のときも言ったけど、中学の頃の恋愛事情って、ホントに知らないんだよ。それに知ったところで、今さら感あるし。」 「そう、、だよね。じゃあ、これだけ言わせて。私、見てみぬふりしてたの。だけど、みゆきは、、ぐすっ、、」 電話越しに有永が泣いているのは分かった。俺は黙って聞くことにした。 「わたし、、ぐすっ、何もできなかったから、、怖くて、、ぐすっ、みゆきはわたしなんかより強くて、、優しいの、、」 そこで一度音が聞こえなくなった。数秒して、息を吹き掛けたからか、音が割れて聞こえ、呼吸を整える音がした。 「ごめんね。はぁ、、」 「有永とみゆきは、今でも仲良しなんだな。」 俺がそう聞くと、震えた声でしかししっかりと答えた。 「うんっ、、これからも。」 「なら良かった。」 「うんっ、、ありがと。急に電話してごめんね。今度は楽しく飲み会しようね。」 「おー。また誘ってくれ。」 そう言って電話は切れた。 中学時代の彼女たちに何があったかはわからない。ただ事ではないとはわかっていながらも、考えるのはやめにしようと思った。その矢先、また電話が鳴った。そこには、【みゆき】の文字があった。 「もしもし。」 「もしもし、ゆうた?元気?」 「おー、元気だよ。電話とか初めてじゃん」 「うん。昨日のこと、ありがとう。気、利かせてくれたんでしょ。」 「わざわざ電話で伝えなくてもいいのに。」 「最初はメッセージだけでもいいかなって思ったけど、なんかちゃんと声に出していいたくて。」 みゆきの声は、少しだけ掠れていた。同窓会で会ったときの柔らかい声とは違う、沈んだ掠れ声。 「そっか。みゆきがいいならそれでいいんじゃない。」 「ふふっ笑 変わらないね、ゆうたは。」 「そうか?じゃあ、貸し1ってことで。」 「うん。いいよ。」 「おっけー。じゃあ、早速貸しを返してもらおっかな。来週の土曜日、空いてる?」 「え?ちょっと待って、、うん。空いてるよ。」 「オッケー。そしたら、午後から開けといて。」 「いいけど、どこ行くの?」 「秘密。当日のお楽しみってことで。場所は新宿駅の南口に13時集合で。あ、動きやすい格好で来てな。」 「わかった。なんか学生みたい」 「ふっふっふっ。楽しみにしてな。」 そう言って電話を切った。俺は早速ノートパソコンの電源をつけ、検索を始めた。 翌週の土曜日。時間より少し早めに到着した俺は予定を確認しつつ、みゆきを待った。 「遅れてごめんー」 そう言って改札からでてきたみゆきは、ストレッチジーンズに無地のシャツという簡素なファッションだが、スタイルの良いみゆきが着ると、こうもおしゃれに見えるのかと驚いた。対して俺も、デニムにシャツの上から薄手のジャケットと同じようなもんだ。 「来たなぁ。そんじゃ行くか。」 「どこに?」 「ここ。」 そういうとスマホの画面を見せた。なんでも謎解きと運動が一緒にできるところらしく、一度行ってみたかったレジャー施設だった。 「へぇー、こんなの新宿にあるんだ。」 「そうなんだよ。一度行ってみたかったんだけど、一人じゃね。てことで、付き合ってもらうぜー。」 「はーい。」 俺とみゆきはレジャー施設へ向かった。
20/06/30 22:50
(A2Z6J9hZ)
投稿者:
のら
◆xubzse9Gfs
【藤原みゆき④】
「ふぅー、結構大変だったなぁ、、」 「こんなに、しんどいとか、、聞いてない、、」 俺とみゆきはレジャー施設を満喫した。かなり疲れたが、それなりの充実感はあった。 「明日が休みでよかった、、」 みゆきがそういうと、喉をならしながらペットボトルの水を飲みほした。 「はぁ、、もう夕方なんだ。」 「だな。少しカフェでもいく?」 「うん。どこ行く?私あんまりここら辺開拓してないから、わからないかも。」 「このビルの二つ先にカフェあるから、そこ行こ。」 「そうなんだ。なーんだ、ちゃんと調べてる。」 「まぁ、俺が行きたかったところだけど。」 カフェに行くと落ち着いた雰囲気で体を休めた。レジャー施設の感想を言いあい、ひとしきり話した後、みゆきはポツリポツリと話し始めた。 「宇野くんと付き合い始めた頃は、とってもハンサムでカッコいいって印象しかなかったの。だから、何も悪いことが起きるなんて、想像してなかったの。」 俯いたまま、みゆきは話を続ける。 「付き合って1カ月くらいかな。キスして、そのままセックスしたの。ファーストキスに初体験、とにかく初めて尽くしだったけど、私とっても興奮してた。けど、そこからが悪夢だったの。宇野くん、毎日放課後になると私の身体を求めにきたの。初めは宇野くんのお家。共働きで一人っ子だったから、俺の家がいいって。でもそれから私のお家でもするようになったの。」 コーヒーカップに注がれたカフェラテを飲み、また話す。 「付き合い始めて2ヶ月経つ頃には、コンドームもつけないでしようとして私はピル飲んでしてた。中に出すようにもなって、ホントに怖かった。ピル飲んでも避妊出来るかわからないし、シャワーでできるだけ洗い流して、、」 そこで、声が止まった。俺は口を開いた。 「辛かったこと、思い出させて、ごめんな。」 「ううん、、私も、もう、誰かに話したかった。私のことビッチだと思ってた人も多かったし、原口くんが言ってた孕ませ事件も事実。危険日に無理やりされたの。」 「それって、、もう犯罪じゃないか。」 「さんざん遊ばれて別れたあと、宇野くん、今度は良美に目をつけたの。それで良美は宇野くんと良く一緒にいたから、彼のセックスのことも知ってて、逆らったらレイプされるって分かってたの。私、これ以上女の子が男に傷つけられるのみたくなくて、、宇野くんに言ったの、、、ヤるなら、私にしてって。」 この前電話で有永が言ってたのは、このときのことだったのか。それであんなに泣いていたのか。ようやく俺の中で話が繋がる。 「妊娠させろって言われて、危険日にしたの。案の定、一週間後に妊娠がわかった。私はその事を両親に話したの。そしたら二人とも激怒。けれど、良美のことだったり、宇野くんのことも全部話したら、泣きながら慰めてくれて。そこからは、早かったかな。宇野くんとその両親、私と私の両親、学校側の三者で話して、一応和解って形になったの。宇野くんのお父さんはその事がきっかけで、地方に転勤になって、それからは知らない。」 とても緊張したのか、ぷつっとヒモが切れたようにみゆきは肩を落として脱力した。 「誰にでも話せることじゃないけど、なんかゆうたになら話せる気がしたの。こんな話ししちゃって迷惑だった?」 「ううん。みゆきが楽になれるならそれで良かったんじゃないかな。俺が理解できない部分もあるけど、迷惑ではないよ。」 「優しいね、ゆうたは。」 「そうか?理解できてないだけだよ。」 そう言うとみゆきは優しく微笑み、どこかすっきりした表情だった。その後場所を移しイタリアン料理店に入った。ピザやパスタをシェアし、ワインなんかも飲んだ。みゆきは肉体的な部分と精神的な部分で疲労し、そこに酒が入ったことでかなり酔っていた。 「んんー、、次のお店はぁ?」 「次はないの。ほら、帰るぞ。」 「ええー、まだ居たいー。」 「駄々こねるなよ。ほら、水飲んで。」 コップ一杯の水を飲ませると、身体を支えるように店からでて駅まで行った。途中までは一緒だが、そこから先は別れる。どうにかしようと思ったが、みゆきは未だに支えないと歩けない。仕方なく家まで運ぶことにした。 「ほーら、みゆき。家に着いたぞ。ここで良かったんだのな?」 「、、んっ。」 返事か分からない相槌を聞き、鍵で開ければ家だとわかった。ベッドまでみゆきを連れていくと、玄関を締め、鍵を掛ける。 「さて、やっと着いた。どれ?身体の調子でもみるか。」 ベッドに仰向けになったみゆきは、息を少し荒くして、身体をくねらしていた。まるで何かのクスリを飲まされ、身体が火照っているかのように。 「おー、順調順調。まさかまたコイツに会える日がくるなんてな。この前は堕ろさせたらしいけど、今度はちゃんと孕ませるからな。」 そう言うと、ベッドへと向かった。
20/06/30 23:59
(A2Z6J9hZ)
投稿者:
のら
◆GY/vwIQA/6
【宇野一也と一色雄大】
宇野春彦と一色花は双子の兄弟を授かった。兄は宇野一也、弟は宇野雄大。二人は物心着く頃には、父、春彦のギャンブル癖と母、花に対する暴力を目の当たりにしていた。 転機が訪れたのは双子が小学校に入学した頃だった。弟の雄大は健康に育ったが、兄の一也は重度の喘息を煩い、小学校に行くことが出来なかった。一也を可哀想と思った母は、できるだけそばにいてあげようとした。ギャンブル癖で家に帰っては暴力を振るう父の下でも、なんとか愛情を施そうと努力していたのだ。その努力は遂に実り、一也が最高学年になる歳に喘息の症状が軽くなったのだ。それから母は一生懸命になって、一也に勉強を教え、一年間で小学生が習う教科を網羅させた。 そして、二回目の転機が訪れた。ついに母、花は離婚を決心したのだ。これまでDVに苦しめられ、子供にもこれ以上悪影響を与えないようにするためには、これ以外の方法はなかった。夫にその話をしたとき、以外にも素直に受け入れた。だが、一つだけ条件を出してきた。それは、兄、一也の親権を父、春彦のものとすることだった。花は当然反対したが、一也はそれでいいと言ったのだ。 結果的に、一也の親権は父が、雄大の親権は母が持つこととなり、双子は宇野一也、一色雄大となった。 父、春彦が一也の親権をなぜ欲しがったのか。それは一也の隠れた才能に気づいていたからだ。一也には、春彦の遺伝子が強く遺伝していた。そして、一度学んだものをすぐ理解する力は母譲りだった。こいつを使わない手はないと感じた春彦は、花の目を盗んでは一也に洗脳を施した。つい最近まで重度の喘息で動けなかった子供。その子供が信じるものといえば父や母の言葉だ。発育の遅れた一也は、学校の勉強と父の洗脳のみを受け入れ成長していったのだ。 中学になった一也と雄大は同じ学校にいるものの、名字が違い、さらにこれまで一也に付きっきりだった母は雄大を甘やかした。その結果、雄大は母が出す食事を沢山食べ、みるみるうちに肥満児となった。離婚した母からすれば、一也と雄大を仲良くさせたいが、必要以上の触れ合いは子供たちが再婚を願うかもしれない。そう考えた母、花は一也には必要以上に近づかないよう、雄大に言い聞かせた。 同級生を妊娠させた一也は、学校側が混乱を避けるために、表向きは父の転勤とした事由で処理した。だが実際のところ、父、春彦の思い描いた通りの成長を遂げた一也に満足したため、県外の学校へと移させ、そこで同じことを繰り返させた。より狡猾に、より欲望に従順にさせるためである。 そして、遂に3回目の転機が訪れた。一也が高校卒業間近、父が死んだのだ。朝まで酒を飲み、泥酔したまま道路に飛び出し車に轢かれた。保険に入っていなかった父だが、相手側も運転不注意ということで、一也にもいくらかお金が入った。だが、春彦に多額の借金があることが判明し、事故で支払われたお金は、全て借金返済へと使われた。残ったお金はほんの少し。高校さえ卒業出来るかどうかだったが、一也の才能はすでに開花していた。自分の容姿や頭のキレを最大限活かし、金をかき集め卒業までこぎ着けたのだ。 父が居なくなった一也は、父の姿をみていたため、ギャンブルには手を出さなかった。変わりに、性欲を抑えることが出来なかった。そこで、お金を支払わせて性行為することを考えたのだった。狙い目は自分に自信がなく、あまり男女交際したことのない女性。初めはお金がかからないナンパから始めたが、すぐに成果がでた。多いときで一度に数万円を手に入れられた。そして、住所をもたず転々としながら、その土地で満足したら次の土地に移る。そんなことを繰り返し二年が経った頃、ある女性と出会った。 大学に通うその女性とは、大学構内で見つけた。それっぽく振る舞えば、IDが必要な場所以外なら講義さえ受けられたからだ。大学生だと、お金を払ってでも処女を卒業したい、バレずにしたいと思う女性がいるため、そこに目をつけた。その女性は彼氏がいるからと、初めは躊躇っていたが、次第に流され、遂にはお金を払わせて処女を奪った。そこでセックスの快感に目覚めた彼女は、彼氏と別れセックスにのめり込んでいった。 俺は中々折れなかった原因である彼氏は、一体どんな顔なのか見てみたくなり、最後にその女性に彼氏の容姿を聞いた。そしてその男を見に行くと、そこには長い間忘れていた、一色雄大の姿があった。 一也は腹を抱えて笑った。何の巡り合わせか、弟だった奴の女の処女を奪ったのだから。そして、恐ろしい計画を建てた。一也が雄大に成り代わる計画だ。 しかし、すぐには計画を実行できなかった。整形のための資金や、雄大を追い詰める精神的な攻撃をどうするか。また時期も肝心だと考え、就職と同時に成り代わる計画を進めた。 結果として、計画は成功した。宇野一也は人知れずこの世から消えた。また、元の一色雄大も人知れず行方不明となり、その変わりに一也が雄大となったのだ。 そこからは、一色雄大として仕事をし、母の愛情を受け、一人の社会人として、生活を営んだ。そして、あの女と再び出会った。今度は一色雄大として。
20/07/01 01:40
(IAFoV6k7)
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