まぁ、人一倍、性欲が強い程度の好奇心と少しデカイもので、ＡＶ男優に気軽に応募したら、受かった。
オーディションもなかった。
書類審査だけで受かってしまった。

仕事の説明会を兼ねて専属医での感染症検査が、丸２日かかった。

意外と俺以外、２３人も来ていた。
拘束予定日は５日間の研修兼、最終審査といわれていた。

説明会では、意外な事をいわれた。
「常に女を口説き、常に女を抱くための努力をせよ。ナンパ・風俗・女優、誰でもいい。とにかく、毎日、女を口説き、抱け」

あとの３日は、おおまかな撮影時のレクチャーと演技指導で修了し、２３人、全員受かった。

多分、間引かれるのだろうと思った。

ギャラは、一本あたり、作品にもよるが、前金で、０.１～３０万円くらい。
ベテランや人気男優になると一本で100とか200なんてＶもあるんだそうだが、それは雲の上の話し。
だいたい、こうしたオーディションもない一般応募だと、汁男優位がコンスタントな仕事となる。
よくて企画Ｖの脇役程度。
監督やメーカーの目に止まれば、そこで初めて女性と交わる仕事が入ってくるのだ。


俺は、運よくメーカーに拾ってもらい、メーカーの広報宣伝をさせてもらいながら、たまに男優の仕事をいれてもらっていた。
入る時には、同期と思わしき人が２３人もいたのが、その時には俺ともう一人、Ｋと言う富山出身の奴と二人しか生き残っていなかった。

そう。
ＡＶ男優になりたがる男なんて、掃いて棄てるほど応募してくる。

しかし、メジャータイトルに出られる男優はウン万分の１なんだそうだ。
例えば、俺みたいな掃いて棄てるほど応募してくる一般応募上がりの男優なんて事務所から、出演依頼があったとして、病欠なんかしたら、恐らく、次はない。
給料でゲームなんか買ったのが見つかれば、そいつも恐らく次はない。
ふたつき、美容院にいかなかった奴がいたが、事務所に呼び出しを受けた所までは見たが、いらい見なかった。
給料の大半は、衣装と美容代に消えた。
ジムに通い、身体をつくり風俗やキャバに通い女を口説き、とっかえひっかえ女を抱いて、自炊で白飯と切り身の焼き魚と自分で漬けた浅漬けで日々を過ごし、事務所で一通り新聞読んでワイドショー見て夜の町に繰り出す毎日だった。

結局の所、俺は２年で身体を壊して男優を辞めた。
人妻モノ3本、地方ナンパモノ一本、企画モノ２本、汁男優多数。

撮影で気持ちがいいセックスは一度もできなかった。
写る女優の美しい部位を自然に被写させ、自分の角度を決めながら、腰を振る。
女優の吐息音源を邪魔しないように声をだし、何度も立たなくなって男優を交換された。

相性が悪い女優だと、わざとチンチンをかまれたり、耳元でボソッと「下手」「キモい」を連呼される。

悔しい思いまでして、ギャラはなし。なんて日なんかザラだった。


まぁ、おかげで今は、性欲はだいぶ衰えたが。
トラウマなのか…?

ドＭをおもいっきりイジメ抜いて犯したい。
女を泣かせたり、怯えさせてｽﾙsexが、興奮する。
だけど、いつも途中までなんだ。
いつも、いきそうになると…
萎えてしまい。

不完全燃焼でションボリ。


これが、ＡＶ男優っていう奇特な生き物だ。