｢じゃ‥時にココに集合にしよう。｣
K村さんが気になり,私はK村さんがエスカレーターで上がって行くのを見ていた。
先輩と一緒に店を廻りながら,先輩からはぐれた振りをしてK村さんを探していた。

｢これ,どうかな？｣
ネクタイを選ぶK村さんに
｢こっちの方が似合いますよ。私にプレゼントさせてください。｣
｢美由紀ちゃんに,これプレゼントさせてもらうよ。｣
大好きなK村さんと少しでも話しをしたい‥
大切な人からの何でも良いからプレゼントをもらって宝物にしたい‥
そんな浅はかな妄想をしながらK村さんの姿を探していた。
紳士物のネクタイ売り場,バッグ売り場‥
彼女へのプレゼントかと思い,婦人物のバッグ売り場とかも探したりしていた。
でも,いなかった‥
あまり買い物とか興味ないのかな‥
階上のフードコートでコーヒーでも飲んでるのかとも思い,探しに行った‥
ダメだ‥諦めてエスカレーターで下に降りる時,お店のおばさんと話していたK村さんを見つけた。
急いで上りのエスカレーターに乗って‥
｢お子さんのですか？｣
｢あ,美由紀ちゃん‥これどうかな？可愛いよね。｣
｢良いですね。｣
｢サイズがわからなくてさ‥失敗したよ。｣
手に持った買い物カゴ‥子供さんへのお土産でいっぱいでした。
大好きなK村さん‥
K村さんの事を良く考えればすぐわかりそうな事なのに‥
自分のために動く人じゃないって‥
先ほどまで夢見考えてたバカな私‥
｢美由紀ちゃんは買い物は？｣
手ぶらな私を見て聞きました。
｢姪になにかないかと思って。｣
｢そうなんだ‥｣
ウソつきな私‥

K村さんの事を‥K村さんの性格を‥K村さんの生き方を。
今回の旅行でいやと言うほど教えてもらいました。
私の悩みとか人を好きになる気持ちとか,人を思いやる気持ちとか,すべてが中途半端に思えたのでした。
誰からも好かれるK村さん‥
言葉の通じないタイの人達さえにも,K村さんは好かれるのを一緒にいて感じるのでした。
後ろ指を指されない生き方‥まさにそんな人です。
みんなでホテルのロビーで出発のバスを待っている時でした。
エレベーターで降りてきた女の子がいました。
｢○ムラサン‥｣
みんなが振り返ります。
｢モォカエルデスカ‥ワタシサビシイ‥ナンデアノトキ,ワタシオコラセタデスカ？｣
｢違うよ。楽しかったよ。ごめんね。俺,インポなんだよ。だから‥｣