｢ただ,今夜だけでも良いんです。｣
｢美由紀ちゃん｣
｢K村さん｣
夢にまで見たK村さん‥
キスをしてくれました。もう死んでも良い‥
でもK村さんが唇を離し,私の肩を押さえたのでした。
｢K村さん‥｣
｢俺‥｣
｢私,構わないです。どうなっても。｣
優しいK村さん‥
｢ごめん,やっぱりダメだ。｣
｢どうして？｣
｢美由紀ちゃんの事ばかり今日考えてた。俺なりの結論だから。ごめん。｣
｢お願いです。｣
｢ごめん。｣
｢K村さん‥｣
受け入れてもらえず,知らずに涙が出ていました。
｢ごめんな。あやふやな曖昧な態度とるから余計,傷つけるんだよね。｣
｢そんな事‥｣
｢私,好きなんです。好きな人の為なら。｣
｢俺もだよ。俺も。ただ色んな事を考えてしまって。｣
｢どうしてですか？私も。この国の子達と同じように‥K村さんに‥｣
｢俺,そんな風には思えないよ。きっと美由紀ちゃんと‥でも,ムリなんだよ。｣
｢どうしてですか？｣
｢ごめん。俺,43だよ。自分の気持ちだけじゃ決められない事がたくさんある。美由紀ちゃんと‥傷つける人もいる。だから‥｣
｢私だって。私K村さんが考えてる様な清らかな女ではないですよ。バツイチだし,今も付き合ってる人がいるのにK村さんに想いを寄せてる。｣
｢｣
｢でも自分の人生だから悔いが残らない様にって考えて。人を傷つけるかも知れないけど後悔するのは嫌なんです。｣
｢そうか‥羨ましいよ‥でも俺はできない。付き合っている女がいて,好きなのか？って聞かれても自分でもわからない。でも付き合っている以上悲しい思いをさせたり‥できない。｣
｢じゃあ一生一緒にいてって言われたらK村さんなら？｣
｢結婚する気はないよ。でもいちもそばにいてあげたい。｣
｢好きかどうかも自分でわからない人でもですか？｣
｢うん。俺と関わり合ってくれた人だから。｣
優しいK村さん‥
包み込む様な優しさを持っている人‥
自分の事しか考えられない私と言う人間が哀しくなってしまいました。
｢私‥だからK村さんの事が好きになったんだと思います。勝手な‥生意気な事ばかり言ってすみませんでした。｣
｢俺の方こそ。美由紀ちゃんが羨ましいよ。若さかな‥｣
｢若くないですよ。もう30も後半です。K村さんといくつも変わらないと思いますよ。｣
｢そうなのかな？｣
｢K村さん‥｣
｢何？｣
｢キスしてくれましたよね？｣
｢あぁした。｣
｢ありがとうございます。｣