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青い、あいつ 3
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:ノンジャンル 官能小説   
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1:青い、あいつ 3
投稿者: 菊乃 ◆NAWph9Zy3c
小学校何年生のときだったろうか… 多分、五年生くらいだったと思う。

あの日のあたしには二度、悪魔がやってきた。



一度目。


そこまで子供ではなかった。自分で、善悪の判断はついた。


何が善で、何が悪か。

世間一般の意見を贅沢に取り入れた、当たり前の判断くらいは出来た。


しかし、目の前にあるこのゲーム。

普段はそんなにゲームなんてしないけど、これはね。

品切れ続出の人気商品。この店も、残りはあとこの一点だけ。…買っとかないと。
明日になったら売れちゃう。…買っとかないと。

でも、お金が足りない。5800えん?どう考えても足りない。昨日、ジャンプを買わなかったとしても足りないんだから。


でも欲しい。…あー!欲しいつってるだろ!


床からフツフツ湧いてきて、それはニューバランスの靴底を華麗に通り抜け、足の裏から素早く全身を駆け巡る、甘い誘惑。甘い毒。



…サッと、その手提げに入れて…持って帰っちゃえば?…


…大丈夫、誰も見てないじゃない?…



欲望という悪魔、こんにちは。


だめ、だめ…! いや…平気かな?




体中を巡る血液が、温度が上がった上に、さらに炭酸になったというような具合。そのアツアツな炭酸血液が頭にグングン上って…
キョロキョロと辺りを伺う。店内にはいろんな色が溢れかえっていた。

客はあたしを含めて二人だけだった。奥の方で何か物色中の、同い年くらいの不健康そうな青い顔をした、青い子供。店主のハゲ頭は金色に輝き、玩具やゲーム、ぬいぐるみも赤、黄色、ピンク、緑、オレンジ、とカラフルであった。

しかし、あたしの視界はが真っ白に。肺に空気が入らない感じがした。

手がブルブル震えた。黄色い手提げが揺れる。分かっている、だって小心者なんだから。


落ち着けって。このポジションなら、店主からは見えない。何て言うんだ…そう…死角?



サッと。光の速さで右手を動かした。…そう、あたし的に。ゴッドハンド…そう、あたし的に。


取るものは取った。血液は沸点に達し、胸を突き破らんばかりの鼓動。目眩がした。

あとは、あとは、ずらがるだけだ。


店を出れば、この苦痛から逃れられる。自動仕掛の扉まであと五メートル、四メートル…

あと少しだけ…あと少しで自由になれる… 犯罪者の心理であろう。


そのとき、背後から肩を叩かれた。 …どきん。

「…君?レジはそっちじゃないよ。手提げにゲーム、入ってるね?」…嗚呼、万事休す。


ぬるぬる。手と額がぬるぬるする。

財布の中には800えん弱しかない。終わった。買うつもりだったとかいう言い訳は通用しないのだ。終わった。目の前が真っ暗になった。終わった。…目眩がした。

店主はあたしの黄色い手提げを乱暴に引ったくった。
彼の頭は相変わらず光っていて、眩しくて、目眩がした。

ハゲ頭の彼は、手提げから動かぬ証拠である、ゲームとさらにあたしの小銭入れを出した。

中身を確かめずとも、金が入っていないことは明らかであった。

なのにわざわざご丁寧に、中身をひっくり返し、わざわざご丁寧に、金額を明らかにしてくれた。あたしがあのゲームを購入することが如何に出来ないかを、わざわざご丁寧に証明してみせた。

そうして、何もかも分かっているくせにあたしに問うのだ「盗む気だったんだね?」

…知っているくせに、その告白を強いる。何という陰険な刑罰であろう…


小銭入れの中には、700えんしかなかった。…あ…昨日、チョコスナックを買ったんだった。すっかり忘れていた。まぁどのみち足りないことに変わりはない。

あぁ…警察とは、どんなところだろう。万引きって牢屋に入れられるのだろうか。

そんなことを考えていた、ちょうどその時。


「あの、それ、自分が払うつもりだったんです…。その子、誕生日なんで、欲しいもの何でもプレゼントするって約束で。」


その奇妙なダミ声の元へ、首を動かした。首及び全身が硬直していたようで、動かすとギギギ…と機械の軋む音が響く感じであった。

ダミ声を発したのは、店内のもう一人の客であった。


そう、あの不健康そうな…青い、子供。逆さにしたって金を持っているようには見えない。

しかし、青い子供は首から提げているヘンテコなポシェットから小さくて薄いプラスチックの板をスッと取り出した。…ジャーン!なんて効果音が似つかわしい感じ。


「…これで支払いたいんですけど?」

青い子供は言った。





そう、クレジットカードだった。何でも叶える、魔法のカード。目がチカチカした。


これが、二度目。


あの日、悪魔がやってきた。





青い、あいつとの出会いであった。


2008/12/31 00:24:20(xSh7pWEW)
2
投稿者: ヒロキ ◆KnFHojOWaA
菊乃さん 続きをありがとうございます いよいよ青いあいつが出てきてこれから盛り上がる所ですね また続き楽しみにしてます
08/12/31 06:39 (KTKZLotw)
3
投稿者: M
前のシリーズのファンでした!前作が完結して以来もう書かないのかと思ってました、まさかアナタの新作を読めるなんて純粋に嬉しいです。
それにしてもこのサイトをブックマークから外さなくて良かったw
08/12/31 12:43 (mX7sHAVJ)
4
投稿者: るぃ☆壁∥ョ_・*) ◆yCyBoyFw5Q
菊乃た-ン゜+.(・∀・)゜+.
あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします♪♪*。

風邪引かないよぉに気を付けてくださぃね-☆
今年のインフルエンザはひどぃらしぃので予防接種忘れずにですよ!笑〃

お話盛り上がってきましたねぇぇ!
やばぃです………笑〃
これからもがんばってくださぃ!
続き楽しみにしてま-す!
09/01/02 17:32 (2n5aYrj7)
5
投稿者: 菊乃 ◆NAWph9Zy3c
皆様、あけましておめでとう御座います。

ヒロキさん、Mさん、るぃさん、書き込みありがとうございます。それとお返事遅くなってしまってごめんなさい。


前回同様、いろいろ決めるより先に、とにかく書き出してしまったので、さっそく行き詰まりました(苦笑)
でもなんとか続けられそうです。
暖かく見守っていただけたら嬉しいです。


ありがとうございました。
09/01/03 18:50 (9Iz6Bu24)
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