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曼珠沙華 5
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:ノンジャンル 官能小説   
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1:曼珠沙華 5
投稿者: 喜久江
夫を偽っての、思いがけない休日の初デートとなりました。
「なんでなの? なんで私なのかな?」
彼より年上と言う事もあり、回りくどい言い方より、ストレートに聞いても
良いのではないかと思いました。
「どう思ってもいいですよ。ただ気がついたら喜久江さんを好きになってい
た。それじゃいけないのかな?」
運転をしながら、彼は私の問い掛けに応えました。
「好きになったって如何にもならないでしょう・・? 私には夫がいるの
よ。」
「判ってますよ。そんな事は百も承知です。だから何なのですか?」
「だから何だって・・、それでもいい訳?」
私は彼の言う事の意味が判らない訳ではないのですが、そんなにまで思われ
た経験がないだけに戸惑っておりました。
「僕の気持ちが判ってくれさえすれば、それでもいいんです。こうして逢え
ているんだから・・。」
彼が突然私の手を握って来ました。
私の心臓が、その行為を受け、激しく鼓動し始めておりました。
こんな気持ちになるのはいつ以来かと思わず考えてしまうほどに、トキメキ
から遠ざかっておりました。
しばらく走ると、車は山頂にある駐車場に着きました。
「嘘みたいだな、私がこんなことしてるなんて。」
車内で並んで座ったまま、私はポッリと呟きました。
「夫も子供もいるのに・・。」
「僕から見れば・・一人の女性ですよ、そんな事僕には関係ない。」
彼の握る手に力が込められ、
「僕の事嫌いですか・・?」
彼がついに訊ねてきました。
「嫌いだったら、ここに来ていないわ。」
それは間違いなく、今の正直な私の気持ちでした。
「信じます、喜久江さんのその言葉・・だったら・・。」
彼はそこで言葉を一瞬止めました。
少しためらっている様で、それが私にも伝わってきます。
「だったら・・今日だけ、僕のものになってくれませんか?」
それは、あまりにも衝撃的な申し出でした。



 
2008/06/25 23:35:06(vVxs57bm)
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