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1:Purple Panic
投稿者:
たんたんタヌキの○○
「…何コレ?」
その日は妙な息苦しさに目覚めた朝…。軽い目眩のする気怠い身体を無理矢理にベッドから引きずり起こして着替える事にした。 時刻は朝7時10分前、まだ学校に充分に間に合う時間だ。 プチ…プチ…プニュ… 「ぅう…肩が重い…」 まだ半分閉じたままの瞼を擦りながらパジャマのボタンを一ツずつ外していく。 (アレ?こんなに袖余ってたっけ…) そういえば途中で変な擬音が入ったような…? プニュ…プニュプニュ… 手首に伝わる妙に温かく柔らかな感覚。その正体を確かめるべく落とした視線の先に有った物。あえて例えるならそれは山、深い渓谷を成す二ツの肉の山。 バッ! 鏡の前で勢いよくパジャマを開くと……そして今に至る。 な…何でこんな所に……ま、まさかッ!? ・・・・ タタタタ… 「アハハ…アハハハ…」 ゆ…夢だ、きっとこれは夢なんだ。さも無ければ無いはずの物が有って、有るはずの物が無いなんて…事が。 ピピピ…ピピピ… 「…ッ!?」 逃避から現実に引き戻すアラーム。午前7時…アイツが…アイツが来る。こんなのアイツに見られたら…。 バタンッ! 「オッス!ちゃんと起きてっか?」 ・・・ 蹴り飛ばす様に勢いよく開けられたドア、無言で固まるアイツ、変わり果てた半裸の僕…。 ……終わった、僕の人生。 「フム…フムフム、我ながら上手くいったみたいだな」 「……ハイ?」 コイツの名前は麻津度 彩依(まつど さいえ)、鼻に引っ掛ける小さな眼鏡とダブダブの白衣がトレードマークの一応"女"…のはず。僕と同じ歳の筈なのに5年前から全く成長していないツルペタのスットン。生まれてこのかたずっと幼馴染みの筈の僕ですら最近は自信が無い。 いや、それより何で驚かないんだ?僕がこんな姿になっているというのに…。まてよ?確か彩依の親父さんは何処かの研究所の元所長で現在は行方不明。何でも突き抜け過ぎたのが原因だとか…。 「流石は"オレの嫁"、可愛いじゃん」 「…ハイ?」 「ドンドンおかわりしてね~」 「フム、お義母様のご飯はやはり美味いな」 「・・・」 何この団欒な食事風景。彩依も一緒にご飯食べてるのはいつも事だけど…。 「ねぇ母さん、何か疑問に思わないの?」 「…?」 いや、頭の上に?マーク出して首を傾げられても…。見た目どころか性別まで変わってるんですよ、貴女の息子は。 「紫織ちゃん。実はママね、ずっと女の子が欲しいなって思ってたのよ。その願いが叶うなんてママ感激!」 ぶっちゃけた!このタイミングでカミングアウトされたよ。 「でも本当に凄いわね~」 「任せてくれ。こうなったからには必ずや紫織の"初めて"を奪い、幸せにしてみせる」 「彩依ちゃん…」 ねぇ…手を握り合って盛り上がってるけど、何かおかしいとは思わないの? 「あ…でも、まだ二人共学生なんだからクレグレも節度は守ってね」 ちょ…母さん、今渡したリング状に盛り上がった銀色の四角いギザギザは何?公認なの?っていうか、渡すべき相手が違うでしょ! 「……ご馳走さま」 もう駄目だ。昔から何処かズレた感覚の人だとは思ってたけど、まさかここまでとは…。 流石に付き合いきれ無くなってご飯もそこそこに自分の部屋に向かった。 「紫織どうした、遅刻するぞ?」 「行ける訳無いじゃないか。大体制服だって合わないし」 「フフフ…こんな事も有ろうかとぉ。ジャ~ン!」 バッと眼前に拡げられた真新しい制服(女子用)。どうやったらこんな事も有ろうかと思えるんだろう…。 「紫~織~ちゃ~ん、フフフ…」 「う…う…冗談…だよ…ね」 ・・・ まさかのピッタリサイズ。鼻唄を唄う程にご機嫌な彩依に腕を掴まれ学校へと連行される。 「な…なぁ彩依、ヤッパリ行かなきゃ駄目?」 「当然だ。これ程に愛らしいオレの嫁を見せずしてどうする」 一応もう一回言うけど彩依が女で僕が男だからね(今は女の子になっちゃったけど…)。 しかし何だか落ち着かない。周りの視線もそうだけどこのスカートって妙にスースーして心許ない。一応短めのレギンスを穿いてるけど、実は…。 ―20分程前の自宅― 「無理ッ!絶対に無理だって!」 「ホラ、可愛いでしょ?絶対紫織ちゃんに似合うから」 「オレ的にはコッチがお勧めだぞ紫織」 もうここまで用意されていたら予定調和としか思えない。専門店のディスプレイそのままに上下セットの布が迫って来る。 「ぼ…僕は"男"だよ!そんなの着けられる訳無い…それじゃまるで変態だよ」 「アラ?今は女の子なんだから逆に男の子の下着着けてる方が…」 ジリジリと壁際に追い詰められていく。 ダッ! 一瞬の隙を突いて自分の部屋へと走り出す。 プルン 「……ッ!?」 胸の先から全身に疾る未知の甘い痺れにガクッと力が抜けてしまう。 「だから言ったじゃない。紫織ちゃんのそれだけ大きいんだからちゃんと女の子用のを着けないと擦れて痛いわよ~」 「で…でも…」 流石に下着まで着けてしまうと全てが終わる気がする。 「紫織…流石にNBNPはどうかと思うぞ…」 歩くだけでも揺れて擦れる先っぽが布地越しでも判る程に自己主張を始めてしまうと動けなくなってしまった。 「紫織~」 「紫織ちゃ~ん」 「い…い…イヤァーーッ!!」 無理矢理パジャマを引ん剥かれ、抵抗虚しく美少女が出来上がってしまった…お陰でこの通り遅刻寸前である。 「急ぐぞ、紫織!」 「ちょ…ちょっと待ってよ」 急ごうにもスカートがヒラヒラするし、胸が上下に揺れて動き辛いんだよ~。 キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン 「ハァ…ハァ…ハァ…やっと着いた…」 「お早う、我が級友共」 「あ、お早う彩依さん」 「ウッス、麻津…度…」 シン…と静まり返る教室、クラス全員の視線が僕に集まる。 「お早う、みん…な…」 「エッ?紫織…君?」 あ"ーーッ!忘れてたー。今の僕は女の子だった。皆に何て説明すれば良いんだ? 怒涛の如く押し寄せて来るクラスメイトに気圧される。 「か…可愛いー!」 「遂に、遂にやったのか麻津度?」 「チクチョー!実は俺、紫織狙ってたのに~」 一部不謹慎な握り拳や理解したくない発言が有ったがこの際スルーだ。 「フフフ…さぁ存分に愛でるがいい、オレの嫁を!」 ガラッ 「お前等いつまで騒いでいる、さっさと席につけ!」 「…アルェ?」 順に出席をとる担任が僕を一瞥しただけで普通に名前を呼び続けた。そういえば母さんが変な事を言ってたよな? 《大丈夫、世の中には紫織ちゃんが理解したくない"力"が色々あるから》 そういえば彩依の家は色んな国に表立っては言えないコネが有るとか…。 ゾクッ… その悪寒の正体を知るのは僕には早過ぎるに違いない。 「ネェネェ、本当に女の子になっちゃたの?」 「良いなぁ…胸大きい…」 昼休み、僕はあっという間に女子に囲まれ質問責めにあってしまい、出遅れた男子達は遠巻きに見詰めるしか無かった。 「あ…あの…ちょっとトイレに…」 まだ自分自身でも理解出来てないのに説明出来る筈も無く、逃げる様に立ち上がる。 ピラ… 「チェ…レギンスかぁ…」 「ちょ…ちょっと…」 ムニムニ… 「うわぁ…本物だぁ…」 「待っ…やぁ…」 突然始まる軽いレズビアンショーに男子達の顔はかなりだらし無い事になっていた。 「そこまでだ!紫織に触れて良いのはオレだけだ。それ以上の不埒は許さん」 諄いようだけど彩依は女子だ。なのに何だろう、この男前っぷりは…。
2011/11/01 18:46:45(aOaycoNd)
投稿者:
たんたんタヌキの○○
「アハハ…ゴメンね。ちょっと調子に乗り過ぎた」
「で…彩依の方はどうなの?」 ここで初めて彩依が困ったような顔をした。 「ウム…色々試してはいるのだが…肝心なモノがな…」 ・・・? ここでやっと何か引っ掛かっていたモノが少しだけ解けた気がした。 「ちょ…まさか、コレって彩依の所為なのか!?」 「エ…、紫織君知らなかったの?」 「てっきり合意のもとかと…」 パニクっていたとはいえ、何で今まで気付かなかったんだろう…。彩依のトレードマークは白衣で、父親は"アレ"な生物化学者…。疑いようが無いじゃないか! 「ずっと紫織君の事を"オレの嫁"って公言してたしねぇ」 比喩じゃなくて本気だったのか…。ああ…何かお腹が痛いし、クラクラしてきた。 「せめて陰茎だけでも生成出来れば良いのだが、周期の問題があって上手くいかぬ。急がねば紫織の"初めて"を奪えぬからな」 「彩依!いい加減に……ッ!?」 ドサッ… 立ち上がった瞬間、目の前が真っ暗になり僕はそのまま倒れて意識を失ってしまった。 「紫織…紫織ッ!!」 ・・・・ 意識を取り戻した僕が最初に目にした物は白い布に囲まれたアイボリーの天井。微かな独特の匂いとベッド…そうか僕、倒れたんだ。 「気付いたか紫織…心配したぞ」 覗き込んできた彩依の目は赤く、下瞼に隈が出来ている。 「ン…、気が付いたか?出血による軽い貧血…といっても心配するな。女なら誰でも通る途だ」 貧血で倒れる程に出血してどう心配無いのかすぐには理解できなかった。 「良かった…本当に良かった…。紫織には細心の注意を払い、安全性を確かめてはいたのだが、よもや予想外のトラブルが起きたのでは無いかと…」 「紫織…お前にも見せてやりたかたよ。普段冷徹な彩依の慌てっぷりを…」 「な…ッ?!」 トマトの様に真っ赤になった彩依は結構レアかもしれない。 僕を検査をする為と彩依は追い出された。まだ"彼氏"でも無いなら見せる訳にはいかないとの事だが彩依はかなり不満そうだった。 「まぁ此処じゃあ細かいトコまでは診れないし、私から言えるのは一ツだけ。彩依には気を許すな…特に二人きりの時は…な」 確かに僕を"嫁"にしたいというだけで性別まで変えようと考える奴だ。父親にも良くない噂があるのだから。 「いざという時はコレを使え」 カサ… 辺りを警戒しながらそっと握らされた物。軽い…手触りからして薬のようだけど…睡眠薬?まさか毒薬とか…!? ユックリ手を開いてみる。 「いいか…信じ難いが初潮も来てしまった以上、お前はもう女の子なんだ。どうせお前の性格なら拒みきれないだろうからな」 ビシッ 「アンタもかいッ!?」 何が悲しくて日に二回も避妊具渡されなきゃいけないんだ。思わず床に叩き付けてしまった。 「まぁそう言うな。男子は女子生徒より性教育の時間が圧倒的に少ないのだから」 保健医に言われるまで自分に月経が訪れた事に思い至らなかった時点で否定できないけど。 「ああ、そうだ。お前の事だからどうせ持ってないだろ?使うといい」 そう言って手渡されたのは生理用ショーツとナプキン。 「ちゃんとショーツに貼れよ」 説明書を読むまで何の事かさえ解らず、こんな事でやっていけるのか不安になった。 「いきなりなんて大変だったね」 「伝染るから来ないで…」 「???」 その時の僕には何故すんなり受け入れられているのかを理解するだけ余裕が無かった。 「オイ、女子。次は体育だから早く出てけよ」 「わかってるわよ、さ…行こ」 この学校はいまだに男子は教室で着替えていたりする。小学校じゃないんだからと最初は皆ツッコミ入れてたけど最早馴れた物だ。サッサとカーテンを閉めて目隠しをした。 ザワ… ザワ…ザワ… 「んしょ…と」 騒がしいのはいつもの事だけど今日はちょっと違うような? 「お…オイ…」 「ちょ…おま…」 ドドドドド… 丁度3ツ目のボタンに手を掛けた時、突然教室のドアが開いた。 「紫織ィーーーッ!!」 「ウワッ!!ちょ…着替え中だぞ」 「馬鹿か!お前はコッチだ」 裸の男子を物ともせず堂々と入って来るあたり流石は彩依だ。 「ちょ…」 連れて来られたのは女子更衣室。いや、それは無いって。いくら何でも許される筈が…。 「アハハ、駄目じゃん紫織ン」 「駄目だよ、簡単に肌なんか見せちゃ」 受け入れられてる…。しかも皆下着姿のまま平気で話し掛けてくる。ひょっとして最初から男子扱いされて無かったの? 「あ…今日は見学で良いからね」 首を傾げる僕に彩依がそっと耳打ちをしてきた。 「アノ日だろ…だから大人しくしておけ」 ポツ………ン 本日、女子の体育教科はバスケットボール。ダムンダムンとボールが弾み、走り続けるゴムの靴底が床と擦れてキュッキュッと悲鳴を上げている。 「イイなぁ…」 症状が軽い娘は動いても良いらしいけど、僕は貧血で倒れてしまい、今もズ~ンとお腹が重く痛い。皆、見学している娘の理由は察してくれているけど、女子の間ではさして特別でも無い。馴れて無い僕が晒し物になってる気がするだけ。 「ハァ…憂鬱…」 キュキュキュ…ダム…カシャーン 「凄いね、彩依ちゃん。どう?お嫁さんとしては…」 「ウ…ウン…」 確かに彩依は凄い。力任せな男子と違い、流れるように動き、舞うように跳ぶ。でもそれは女子としては…だ。男子のチャージにあえば軽く飛ばされてしまうだろうし、ジャンプ力でも身長差はきっと埋められない。 「オーイ紫織、見たかオレのシュートを。惚れたか?キュンとしたかー?」 「ウン、格好良かったよ」 初めて女子の体育を見る訳だけど、改めて発育の違いはあるんだな。揺れる娘、揺れ無い娘、特に胸の大きな娘は走り難そうだ。ボールを投げる時も腰、肩、腕がバラバラだし…。男子と女子ってこんなにも違うんだな…。 「紫織ン、何それ?」 授業が終わって更衣室の端っこで小さくコソコソと着替えてる僕にクラスの女子が話し掛けてきた。 「あ…コレ?男子はいつも外だから結構汗や砂で汚れるんでデオドラントのウェットタオルと制汗スプレーだよ」 いつものクセで鞄に入れていたけど結局今日は使う必要なかった。 「ああ、それで紫織ンいつも汗臭く無かったんだ」 「流石は彩依の嫁、他の男子とは違うね~。アイツ等体育の後最悪だもん」 そういえば殆どの男子はそのまま着替えるだけだったな。っていうか、言わないだけで結構女子って細かい所見てるんだ。 「私達もスプレー位なら持ってるけどね。あ、ソレこの間発売された新商品じゃん、ちょっと貸して」 気付けは結構周りでスプレーしてる。だから女子は石鹸や柑橘系の匂いがするのか。 「紫織、何をジッと見てる。お前はオレだけ見てれば良いんだよ」 両頬を押さえて自分に向くように顔を固定さる。怒りとも嫉妬とも恥じらいとも取れる赤く染まった頬。こういう所は可愛いんだよな。 彩依の下着は色気とかオシャレとは程遠いシンプルな上下のコットン素材。分類するならスポーツウェアのインナーだ。トランクスや褌じゃないだけましか。 「チェ…どうせ薬で強化してるくせに」 ふと聴こえた誰かの呟き、あれは負けた相手側チームの娘だ。 「アンタ達ねぇ…」 同じクラスの娘が反論しようとするのを彩依が止める。確かにそう思うのは仕方が無い。でも…。 「て…訂正してください」 「紫…織…?」 突然叫んだ僕に更衣室がシンとなる。 「な…何言ってんのよ。アンタだって勝手に性別変えられたんじゃ…」 「だからです。彩依はずっと昔から僕を"嫁"にすると言い続けて努力してきたんです。その夢の為に自分の性別を変えるとしても、貴女達に勝つ為みたいな小さな事には有り得ません」
11/11/01 18:50
(aOaycoNd)
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たんたんタヌキの○○
オォ!と驚嘆の声が上がる。
「な…何よ、アンタも被害者でしょ?なのに何故彩依の肩持つの?"嫁"だから?それとも本当はアンタが女子になりたかったの?」 まさか僕が抗議するとは思っていなかったのだろう。たじろぎながらも反論してきた。 「まさか、今すぐにでも男子に戻りたいですよ。彩依のお陰でこんな格好しなきゃいけないし、肩は凝るし、胸は重いし、お腹も痛い…。だから…少しなら女の子の気持ち解ります。貴女だって本気で彩依がそんな事すると思ってない、ちょっと悔しかっただけでしょ?」 「ぅ…ふ…フンだ」 悪態をついてるけど照れ隠しなのは何と無く理解できた。面倒臭いなぁ女の子って…。 「紫…紫織△(さんかっけぇ)!」 「ヘェ~、彩依に振り回されてるだけかと思ったけど、意外だったね」 「ウ~ン、でも…もう女の子なんだよね~」 「流石は"嫁"」 結果的に自分で"嫁"と認める事になってしまった…。 全く朝から散々な一日だ…。明日は土曜日、ゆっくり寝よう。 …と思ったのに"魔の二日目"…。体が重い…こ…こんなにキツイとは思わなかった。こんなのが毎月3日~1週間ずっと続くのか…。 「あら、陣痛や出産の痛みに比べたら軽いものよ~」 ニコリと笑う母さんの笑顔を見て血の気が引いた。 ―女体化して1ヶ月が過ぎ、大分馴れて精神にも馴染みはじめたある朝。 ドダダダダーーーッ! 「ぅう……な…何?何の音ぉ~」 地響きのような轟音に眠りを妨げられた僕は寝ぼけ眼を擦りながら起き上がった。 バタンッ!! 「ヤッタぞ!紫織ッ。見てくれ、コレを見てくれッ!!」 「な…何~?、朝からイキナ……ヒッ!!」 部屋に押し入って来たかと思うと僕の前に仁王立ちになり、突然自分のズボンを引き下げた。 「ヒ…ヒィ…」 「どうだ!?遂に成功したんだ。見ろよ、オレのこの雄々しい様を!この力強い屹立をッ!これでやっと紫織のヴァージンを…」 「イヤァァーーーッ!!!!!」 バキッ!! 「…ったく、酷いじゃないか。まるでオレが変質者みたいに…」 「突然押し入って眼前に曝した上、大声で強姦宣言する奴が変質者以外の何だっていうんだッ!?」 反射的に繰り出した右拳が綺麗に彩依の腹部に減り込んだ。お腹を抱え込んで蹲る彩依の横でブツブツ文句を言いながら着替え始める。 「だって、やっと成功したんだぞ。長年のオレの夢が叶ったんだ、一番に紫織に知らせたいに決まってるじゃないか」 「あのね…ものには順序があって…って、いつまで出しっ放しにしてんの!」 この1ヶ月で僕の部屋はかなり模様替えされた。素っ気ない家具が淡いピンク色に変わり、窓にはレースのカーテンが架かっていて、衣装ケースやベッドの上にはヌイグルミが座っている。最近は油断すると自分がどっちかを忘れている時がある程だ。そんな僕に…。 「だ…だってオレはこんなの見たの初めてなんだから仕方ないじゃないか!……アレ、萎んでる?何だ、何かミスがあったのかぁ?」 ショックを受け、狼狽する彩依にまずは説明しなきゃいけないのか…。 「落ち着きなよ。さっきのは"朝勃ち"っていって、男の子なら朝は誰でもなるの。むしろ健康な証なの」 「そ…そうなのか…」 つまり萎んでる状態が普通で所謂格納形態。おっきするのは性的刺激を受けて臨戦体勢になった時だけだとも付け加えた。 パサ… 「だから彩依も早く着替えて……?」 パジャマのボタンを外し、ズボンを腰まで下ろしたあたりで彩依の視線に気が付いた。 「……何ジッと見ておっきさせてんの!?向こう向けーッ!!」 そうだった…昨日まで女の子だったつもりで"男の子"になった彩依の前でストリップショーをしてしまっていた。 「紫織ッ!」 「ウワァッ!?」 自分の失態に気付いた羞恥の硬直と背中を向けて脚にパジャマが絡まった不安定な体勢では簡単にベッドに押し倒されてしまった。 「ちょ…彩依…」 「だったら紫織が検証してくれ。オレでは知識が乏し過ぎる」 「そ…それって…」 トタタタ… 「二人共ぉ、早くしないとご飯冷めちゃ……」 ・・・・・ ベッドで胸は開け、パジャマが脱げかけた半裸状態で両手を押さえ付けられ、下半身裸の裸の彩依にのし掛かられている僕。そしてその場面を目撃した母親…。 「あら…、ごゆっくり~」 パタン… 「助けてよ、母さんッ!!」 バシィッ!! 「お早う、紫織ン。一人?」 「お早うございます」 「アレ、紫織っちてばご機嫌ナナメ?」 無意識に女子らしからぬドスドスと歩いていたようで気付かれたようだ。ビシッと親指を突き立てた拳で後ろを指す。 「オ…オッス…」 そこには男子用の制服を着た彩依が仏頂面で立っていた。その左頬には見事なまでに真っ赤な紅葉が。 「ああ…ナルホド…」 「遂に成功したんだね、麻津度"くん"」 「エッ!?紫織ちゃんと麻津度が性交……ブッ!?」 「誰がするかぁーーッ!!」 無神経な言葉を発した男子の顔面に固くて重い学生鞄が突き立った。 「紫織ン、落ち着いて…」 「ハァ…ハァ…ったく、どいつもこいつもぉ…」 キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン… 午前中の授業は二人の険悪なムードで、微妙な空気の中気不味い雰囲気が続いた。 「どうしたの、紫織ン?この前更衣室で大見え切った度胸はどうしたの」 「やっぱりいざとなると怖い?」 クラスの目がある場所で聞く話じゃないと判断した二人が校庭の端っこのベンチでと昼食を誘ってきた。二人ともずっと僕と同じ学校で彩依との事情も知っている。ある意味こんな異常な状況でも普通に学生生活が送れているのはこの二人のお陰だ。 「だって朝からいきなり目の前で脱いで〔検証してくれ〕なんて言うんだよ。殴られて当然!」 イライラを八つ当たる様にソフトフランスパンを食いちぎる。 「でも、紫織っちだってちょっと前までその…付いてた訳でしょ?」 「それにもう紫織の方は"検査"して貰ったんでしょ?お互い様じゃないの?嫁なんだし…」 「あ…あの時はパニッてたし、まだ彩依も女の子だったから…。先にアイツが男になってたら…その…」 「あ…ああ…成る程ね…」 「恥ずかしかったんだ…」 別に彩依が嫌いになった訳じゃ無い。そうなる事も覚悟していた。でも…そうじゃ無いんだ。 「だったら私が"検証"してあげようか?彼氏のも知ってるし」 「そ…それは駄目…」 僕がこだわってるのはそこじゃ無い。 「じゃあ何?」 「だって…・・・だから…」 「まさか、キスもまだとか?」 本当はこんな事言いたくない。けど言わずにはいられなかった。 「…だって、まだ"好き"だって言われてないモンッ!!」 ・・・・ 「…エッ?」 元男子としては恥ずかしくて言いたくない理由、あまりにも乙女すぎる。 「アッチャ~」 「ずっと〔嫁にする〕って言ってたからてっきり…」 キス以前の問題だった。彩依は僕を嫁にする為に自分が男にならねばと努力し続けていた為、女の子としての部分が欠如していた。あのツルンでペタンな少年の様な体型が証拠だ。初潮が来た時の落ち込みは半端では無く、月経が訪れる度に辛そうだった。 「でも、だったら余計に紫織ンが頑張んないと」 「…な…何で?」 「だって彩依はきっと"男の子"どころか"女の子"としての扱い方も知らない筈だから」 朝勃ちも知らなかった男子初心者の彩依。ずっと女の子である事を否定し続けていたのだから自分でシテる筈が無い。 「だ…だからって、何で僕が…」 体が小刻みに震え、冷汗が背中を伝う。な…何だろう、この嫌な感じ。まるで全てを見透かされているような…。
11/11/01 18:53
(aOaycoNd)
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たんたんタヌキの○○
「意に添わぬとはいえ、異性に興味津々なお年頃の多感な男子が偶然手に入れた女の子の身体。しかも何をしようと誰にも文句言われない自分自身、よもや何もしてないとは言わせないよ~」
ビクッ! 「特にお風呂とか…体を洗う時のシャワーとか…」 ビクッビクッ… 「そうですね~鏡なんて…使ったりしてないよね?」 ビクッビクッビクッ… 「な…な…」 答えるまでも無い。湯気が出そうな程に耳まで真っ赤になって狼狽えている時点で肯定したようなものだ。 「両方知ってるのは紫織っちだけだよ。ちゃんとリードしてあげなきゃ」 「そ…そんな…まるで僕が淫乱みたいじゃないか…」 「違うよ、女の子はデリケートなの。今の紫織ンなら解るでしょ?自分の身体を守る事にもなるんだよ…」 言葉を継げられ無かった。二人は面白半分でからかっている訳じゃない。本当に僕を気遣ってくれている。 「ゥ…ウン…」 「とは言え、ムードは大切だよねぇ。ましてや肝心の言葉が無いんじゃ…」 「彩依はそういう点では本当の男子以下だもんね…」 幼い頃から父親は行方不明、親しい異性といえば紫織ただ一人。有るのは父親が残した膨大な研究資料だけ。性別を変えれば済むという結論を前提に事が進んでしまっていた為、一番大事な互いの気持ちが置いてけぼりになってしまったのがネックだった。 「あれだけ"オレの嫁"宣言し続けているし、私達から見ても紫織ンに好意を持ってるのは確かなんだよね」 「で…当の紫織っちはどう思ってる訳?」 「エッ?」 いくら幼馴染みとはいえ、あんなトンデモナイ事を平然と口にし、やってのけた端から見れば○○○○な奴の傍にずっと居るんだ。嫌いな訳無い。でも良く考えたら僕もその言葉を口にしていない。 「ウン」 たった一言の笑顔での即答、これで二人は解ってくれた。 「だとしたら、皆の協力も必要だね…」 「…という訳なんだ。みんな協力してよ」 学園祭も近付いたある日、一人の女生徒が教壇に立ち、クラスの同意を求めた。黒板にはチョークで演目のタイトルと配役が書かれている。名目上は出し物の劇だが実際は彩依に告らせる為だ。 ストーリーはこうだ。 ―とある国の王子に一目惚れした魔女が自分に振り向かせる為に呪いをかけた。 しかし、呪いは城の魔法遣いに阻まれ上手くいかなかった。だが王子は女性になり姫君としての生活を余儀なくされた。 姫となった王子はあまたの求婚を断り続け、魔物が棲む深い森にある祠に閉じ籠もってしまう。困り果てた国王は一ツのお触れを出した。 【姫を祠より出せし者に婚儀を認め、この国の全てを与えよう】 と…。 「で、衣装はどうすんだ?」 「メインは大丈夫。何故かその類いは山程有ったりするから」 「背景や小道具は任せてくれ」 結構みんなノリノリだった。衣装はコスプレイヤーの女子、台本は売れ線創作系同人誌サークルメンバー、背景と特殊効果はコンピューター動画作成が趣味の男子が担当するという個性派揃い。後は演者だけだった。 「何でオレが魔女役なんだよ?」 男子となった彩依はかなり不服そうだった。 「駄目かな?仕方が無い…私が魔女をするかぁ…他の男子に紫織ンとキスさせる訳にはいかないもんねぇ」 「な…今何て?」 「だからお姫様役は紫織ンなんだよ。結構ラブシーンも濃厚だからもしかしたら…」 慌てて台本に目を通す彩依の目が皿のように見開かれる。 「な…な…何だコレは?オレの嫁に何を…」 「ヒロインだからねぇ。さっき衣装合わせ見て来たんだけど、王子姿の格好良さもさる事ながらお姫様の色っぽさといったら…」 「だ…誰がやらないと言った!?紫織に触れて良いのはオレだけだ」 何かを揉むようにワキワキと指を動かしながら妄想する女子の脇をすり抜けようとする。 「アレェ…何処行くの?まさか女子更衣室を覗くつもりかな、麻津度"君"」 わざと男子となった事を強調し、抑制をかける。 「…クッ」 結局、紫織の衣装姿は当日までお預けになった。 ―学園祭当日― 「イラッシャイマセ、わたあめ如何ですか?」 「メイド喫茶です、ご主人様」 校舎内では様々な模擬店や展示が催され、校庭の一角では軽音部が響かせる音が観客と重なり合っている。 体育館では紫織のクラスの劇が演じられていた。 「…ここに国王の名の下に宣ずるものなり」 見晴台の上で伝令が高らかに国王からのお触れを読み上げている。そのお触れは伝書鳩や早馬によって各地に伝えられ、野心を抱く者が集まって行った。 「何ぃ!王子が姫君に…おお、何という事だ。我が呪いが原因で…」 魔の森から連れ出せたとしても女同士では婚儀を結べない。ましてや事の発端である自分では…。魔女は自身に呪いをかけ、一人の青年となった。ただ愛する者を救いたいが為に…。 鋭い荊の檻や凶暴な魔物達がまるで姫君の鎖された心の様に来訪者を阻み、次々と倒されていった。ただ一人を除いて…。 (結構ヤルじゃん、彩依…) (シィ…、静かに…) 「麗しき姫よ、いや王子よ。我はそなたに心奪われ愚行に走りし哀れなる者…。聴いて欲しい、我はそなたを…」 ここで言葉が止まる。 (ちょ…彩依…) ある意味この劇の山場と言ってもいい。その場面で演技が止まった。ザワザワとざわめく会場…、ここに来て失敗したのか? スポットライトを外して暗転させ、緞帳を降ろそうとしたその時…。 ポタ……ポタ…… ステージに光る滴が一滴、また一滴と落ちる。 (……彩…依?) 「わ…我は…何と愚かだろう…。そなたと一緒に居たい…そなたが欲しい、その想いだけで呪いをかけてしまった。先に伝えるべき言葉があったのに…」 (アレ?台詞違うよ…) (イイから…照明、ゆっくりとピンスポ!) 「オレを受け入れてくれなどと厚かましい事は言わ無い。ただ聞いて欲しい…」 静まりかえる場内、衣擦れの音すらしない。ただ魔女だった青年の言葉を待っていた。 「…好きだ…愛している……紫織」 (……ッ!?) それは魔女だった青年の言葉では無く、彩依の心からの想いだった。 ズ…ズズ… ゆっくりと開かれていく祠にスポットライトが集まり、一人の美しい姫を浮かび上がらせる。 「……私はある方に心惹かれ、ずっとお待ちしておりました」 彩依との身長差をうめる為、平らに造られた岩場(少し高めに積んだマット)に座る。 「今の言葉、誠ですか?言葉はとても移ろい易い…、何を以って証とされますか?」 「我が一生をかけて…」 ゆっくりと倒れ込み、見詰め合うと目を閉じて顔を近付けていく。徐々に暗くなっていく照明、その唇が重なる寸前、ステージは暗転した。 「キャアーー!」 「ウオオーー!」 大きな拍手と喚声が上がり、BGMと共にエピローグが読み上げられる。 ―二人は無事城へと帰り、青年は姫を"妻"に迎えた。何故"妃"では無いのか…、それは国を継がなかったから。小さな家と少し大きな畑、それだけ有れば二人で暮らすには充分なのだから…。 「お疲れ様、紫…織…?」 ちゃんと告白されたというのに何故か不機嫌な様子で肩紐のズレを直している。 「ああ…そういう事…ね」 カーテンコールで次々と演者が列ぶ中、彩依の左頬だけが赤い。終幕の暗闇の中、マイクからスピーカーへの回線は切っていたがスタッフにはしっかり伝わっていた。打撃音と「調子にのるな!」という紫織の言葉を…。 「なぁ…本当にオレでいいのか?」 学園祭が日曜日に催された為、今日はその代休日。彩依は紫織の膝枕で耳かきをされていた。 「もう動かないでったら…駄目ならすぐに抱き着いたり、触ろうとするエッチで危険な人を部屋に入れないよ。ハイ、反対」
11/11/01 18:56
(aOaycoNd)
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たんたんタヌキの○○
「…ン」
普通に寝返れば良いのにワザワザ下を向いてから紫織と向かい合う。お陰でミニスカが若干捲くれ上がる。 「コラ、何考えてるかバレバレだよ」 スカートの裾を脚で挟み込んで隠す。 「アハハ…流石オレの嫁。ンン、イイ匂い…」 腰に廻した腕で引き寄せ、顔を埋める。 「ちょ…コラ、何処に顔突っ込んでクンカクンカしてんの!?」 ポカポカポカ… パタン… 「ハァ…」 一人の女性が駅の改札口で溜め息を吐いている。 「どうしたの、美しいお嬢さん」 「アラ~、お帰りなさい」 少しイイ感じのラウンジで大人な二人が向かい合う。 「旦那様の帰還に…」 「二人の結婚記念日に…乾杯」 ティン… 互いのグラスが透明な音を奏でる。 「本当に久し振りね…パパ」 「ああ…この所飛び回ってたからな」 一見この優男、実は大手貿易商の重役だったりする。 「で、どうしてそんな淋しそうな顔をしてたの?」 「今からエッチするかもしれないから帰ってくるな…ですって。邪魔者にされちゃったのぉ」 「ハハ、アイツも年頃だからな…って、紫織は今、女の子だろ!?」 慌てて立ち上がる男のジャケットを掴む。 「もう遅いわ。今頃はイチャイチャラブラブしてるわよ」 「…ったく、何でそんなに落ち着いてられるんだ?」 母親だから…かな?と微笑まれると何も言えなくなったのか咳ばらい一ツして席に就く。 「今日は私とラブラブしましょ」 若干納得しては無いものの、紫織の相手は予想が着いた。 「オレの嫁…かぁ、約束したもんな…出来たらくれてやるって」 「そういう事」 そう言って再びグラスを傾けあった。 ・・・・・ 「ちょ…まずはキスからだってば…。もう、何か言う事無いの?」 「紫織はオレの嫁だ」 この稀にみる特異なカップルに普通の恋愛はやはり難しいのかもしれない…。 「彩依のバカーーーッ!!」 ―end―
11/11/01 18:57
(aOaycoNd)
投稿者:
たんたんタヌキの○○
【Side Story-1】
○月×日 ここに来れたなら僕と彩依の説明は要らないよね?そう、ちょっとだけ訳ありなんだ。 で、僕が何も知らない彩依に"男の子"の事を教えなきゃならなくなったんだけど…。 シャー… 「ン…ンン…」 今、二人は家のバスルームでシャワーしてます。彩依がちゃんと男の子になったかの検査なんだけど、例によってイキナリ僕の前に出すんだもん。ビックリして思わず殴っちゃったよ…。ホントにデリカシーが無いんだから…。 「ハァ…ハァ…もう、こんなにしてぇ…」 「紫織が触るからだろ」 「触らなきゃ洗えないでしょ」 まさか"男のコ"の洗い方も知らないなんて思わなかったからレクチャー中。 「ホラ、ちゃんと剥いてここも綺麗にしなきゃ。一番汚れが溜まるんだからね」 男の子になりたてだから仕方が無いけど、僕が他の男のコを洗う羽目になるなんて…。 裸で仁王立ちの彩依の前に跪き、大きくなった彩依のを泡をタップリ付けた手で優しく洗っているんだ。仕方が無いだろ、だってスポンジだと痛がるんだもん。 「ホラ、もう…動かないで」 「んな事言ったって…大体なんで紫織だけバスタオル巻いてるんだよ」 いくら幼馴染みで公認の仲といえど簡単に見せられますか。 指を動かす度に腰が跳ねるからどうしても力が入ってしまい、結果扱いてるようになってしまう。 「ホントにそう洗うのか?遊んでるんじゃ無いだろうな…あっ…」 「じゃあ自分で洗ってよ。やり方解ったでしょ?」 本当はもう綺麗になってるんだけど彩依の反応が可愛くてツイツイ指がエッチに動いてしまう。だって元は男子だからポイントは手に取るように判るし。 「そ…それはヤダ…ゥ…ァア…」 「だったら大人しく…って、キャアッ!?」 ビュクッビュクッ… 彩依から白くて熱いモノが噴き出し、僕の顔や胸に降り注いだけど何が起きたか解らず固まってしまった。 「ちょ…ヤダ。出るなら言ってよ、もう…」 疲れたのか彩依は壁に寄り掛かって肩で息をしている。 「で…出るって?」 「今のが"射精"、赤ちゃんの素の精液が出たって事。これ位授業で習ったでしょ?もう、ベトベトだよ…」 「ハァ…ハァ…そうか、今のが射精か…なら一応はクリアだな」 「何がクリアよ、採取出来なきゃちゃんと能力があるか調べられ無いじゃないか…」 温度を確認したシャワーで泡と精液で汚れた彩依のを洗い流し、自分も流してから巻いたバスタオルで拭う。 「精液を浴びた紫織って凄くエッチだな…っていうか、水着まで着てたのか?」 「当たり前でしょ?今日はそういう事する為じゃ無いし」 あくまで彩依が男の子として生きていく為の知識とちゃんと男性になっているかの検査が目的なんだから。 ……ホントだからね。 「何を今更…。紫織の裸はこの前隅から隅までチェック…」 バシッ 「もう、それがデリカシーが無いって言ってるの。あの時彩依はまだ女の子だったでしょ!男の子に見られるのとは違うの!」 あの時は本当に大変だった。朝起きたら突然女の子の身体になっていて、無理矢理制服どころか下着まで女の子用のを着せられて…。しかもその当日に初潮まで迎えてしまった。 後日、生理が終わった2週間後に排卵された卵子を確認して完全に女の子になっている事を思い知った。その時大きな病院で分娩台みたいなのに座らされて大きく脚を開かされるわ、触診されるわ、MRIで全身診られるわと恥ずかしいやら疲れるわと散々だった。 両親の情報は残しつつ遺伝子レベルでの性別のみを変えられたのだからある意味物凄い天才なんだろうけど、僕にとってはただのエッチで危ない幼馴染みなんだよね…。 「これからは出そうになったらちゃんと言ってよね。それ位はマナーなんだから……って、またおっきさせてるしーッ!?」 「いや…何て言うか、紫織を見てたら自然に…。その…何とかしてくれないか?」 何とかってーーッ!? ま…まさか、抜いてくれって事?そ…そんな事…ボヒュ~。 さっきのは純然と洗い方を教えていただけだけど、今回はエッチな行為そのものだから…。 一気に恥ずかしさが込み上げてくる。 シュッ…シュッ… 「・・・ハァ」 結局、しちゃってる…。だって彩依にウルウルと困った瞳で見られると…。 「ネェ、まだ?」 「いや、凄く気持ちイイんだけど、まだゾワゾワってした感じが…」 「ァウ~~」 もう手が疲れてきちゃったよぉ。 「な…なぁ、紫織…」 「何?」 「その…口で……出来る?」 ちょ…それって、フェ○チオって事ーーッ!? 何でソッチ方面だけは詳しいのよ? 「この間、クラスの奴らが盛り上がって話してた」 覚えてろ男子共~~。彩依に余計な事教えやがって~~。 「イテー!?紫織、痛いよぉ~」 思わず握る手に力が入ってしまったみたい。 「ご…ごめ~ん…」 お口はまだ無理だけどせめてと水着は着けたまま胸の谷間に挟んであげる。 「し…紫織…?」 「こ…今回だけだからね…」 ギュッと挟み込んで上下にすり上げる。でもこんな事初めてだし、やり方なんて分からないよ…。 見様見真似で動かしてみると彩依のが熱く、固く、大きくなっていくのが判る。 「ハァ…ンア…し…紫織ぃ~」 な…何だろう、悶える彩依を見てると身体が熱くジンジンしてくる。これが女の子って事? 駄目…我慢出来ない。彩依のが可愛くて…愛しくて…。 …ハム 「し…紫…織?」 「ン…ンチュ…ほう?ひもひいひ?」 口の中にジワ~と彩依の味が拡がり、ヌルッとした先走りのカウパー氏腺液が下に絡まる。 (ああ…頭がクラクラする…) 「ハ…ハゥ…し…紫織…紫織ぃ…」 「……ッ!?」 彩依がグッと頭を抑えこみ、腰を跳ね上げてきた。 「ン…ンン~、ンン…ンン…」 胸を叩く手にも力が入らず、ただ空回るだけ。 「…ゥウッ!」 「……ッ!?」 ビュクッ…ビュクッ… 喉の一番奥で彩依のが弾け、精液が口一杯に溢れる。 「……ゥウ~」 苦しくて涙が零れてしまった。 「ぁ…あの…紫織…?」 「ケホ、ケホ…酷い!最低ーッ!!信じらんない…彩依のバカーーーッ!!!!」 バスルームから彩依を蹴り飛ばし、ドアを閉める。 「紫織…ゴメンってば…紫織~」 「帰れ、バカ彩依!顔も見たくない!早く出てけーッ!!」 ドアの向こうでショボくれた彩依の歩く気配がする。 パタン… あ~ぁ…何やってんだ僕は…。せっかく覚悟決めて、新しい下着も用意して、母さんにも出て行って貰ったのに…。台無しじゃないか…。大体、彩依が悪いんだ…元女の子のクセに無理矢理…、お陰でちょっと飲んじゃったじゃないか。……って、僕が男のままでも同じだったろうな…。 ハァ…明日学校どうしよう…休んじゃおかな…。顔合わせ辛いし…。ハァ……
11/11/01 19:02
(aOaycoNd)
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