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Pink Hazard
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:ノンジャンル 官能小説   
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1:Pink Hazard
『…ココが今日から僕が働く研究所か…』
 自分で言うのも何だけど飛び級で大学院のカリキュラムをかなり優秀な成績で卒業した僕は研究実績を買われこの施設への配属が決まった。
 21世紀後半、資源を持たぬこの国は優秀な人材を育成し、少ない面積で豊富な収穫を得て海外からの輸入に頼ら無くても良い環境を造るのが急務とされた。
 これまで狭い国土や日和見主義な政治家などの愚行により世界的な立場は弱く、かつて世界的な戦争に負けた事により軍事力も持たない牙を抜かれた家畜動物と同じだった。
『これからは僕達が何とかしなきゃならないんだ』
 その想いを胸に研究機関への配属を希望し、辞令を承けたのがこの施設だった。


【麻津度化学生物研究所】
 ゲート前のプレートにはそう刻まれている。
『うん、間違いない…』
 果して自分がどれだけ役立てるか不安もあったが、それ以上にあの学院長が指令書を手渡す時の歯切れの悪い口調と周りの先生や同期の学生が遠巻きにコソコソ話しているのが気になっていた。
ジロリ…
 門扉の受付に居る警備員が不審者を見る様な目で睨んでいる。
『お早うございます。今日から配属になりま…』
 辞令書と身分証明書を見せると電話確認の後、無言で親指を横に振った。通って良いと言う事らしい。
『あ…有難うございます』
 明らかに僕を訝しむ表情…刺す様な視線……あまり歓迎されていないのは確かだった。


『さて、所長室は何処だろう…』
 研究所と言ってもあまり大きくはない。少し立派な社員寮程度、本当にこんな所で大丈夫なのだろうかと不安すら感じてしまう。
「んしょ…んしょ…」
『あ、丁度良い、あの眼鏡の娘に聞いてみ…無い方が良い気がするな…』
 見れば僅かなティーセットを大きなトレイに乗せてズレる器のバランスをとりながらフラフラと歩いている。
(ヤバイ…天然系ドジっ娘な気がする)
「ヒ…ヒ…ああ…キャアッ!?」
ズルッ…
(何も無い所で転んだーッ!)
カシャカシャカシャ…
 咄嗟に飛び出した僕は大道芸人の様に宙に散蒔かれた茶器を集めきった。
『フゥ…危なか…ッ!?』
「はぅ~痛いのですよ~」
 床に這い着くばり腕をWに曲げてティーセットを支える僕の前に広がる青い海と白い波……な訳無いッ!パンツ、ストライプのパンツ!正確には眼鏡ドジっ娘の股間、見事これ以上無い程にM字開脚された乙女の最重要機密ッ!
「イ…イ…イヤァーッ!!」
 パトランプの様に耳まで真っ赤にした彼女が発した悲鳴のサイレンが所内全てに響く。
ドタドタドタ…
「どうしたの?マリリンッ!?」
「何事ですか?スパイ?バイオハザード?それともゴキブリーッ!?」
 錯乱したこの娘に話は通じないだろう…っていうかバイオハザードとゴキブリが同等?
 思わずティーセットを眼鏡っ娘に押し付けてその場から走り出してしまった。
「逃がすかーッ!」
ダンッ!
ヴィー!ヴィー!
 鳴り響く本当のサイレン、次々と外に続く窓や扉全てに分厚い金属製のシャッターが降りて来る。
 
「あら?麻津度さん家、またサイレンが鳴ってるわ。今度もゴキブリが出たのかしら?」
 通り掛かった主婦が警備員に会釈をする。どうやら日常茶飯事らしい。
「大変ですねぇ」
 主婦の同情に警備員はヤレヤレといった感じで掌をあげた。
 
「待てーッ!変質者ー!」
『誰が変質者かー!?』
 全く取り付く島が無い。この程度の建物では直ぐに追い詰められてしまう、僕は最上階のある扉に飛び込んだ。
『ハァ…ハァ…』
 壁一面に書籍やファイル、DVD-ROMが並んだ色気の全く無い部屋、何だここは?
「やぁ、君が騒ぎの原因かい?お陰で暗くて適わんよ」
 落ち着いた深みのある威厳に満ちた声。
『あ…ハイ、みたいですね…。僕は今日から配属され…』
パンパン…パタパタパタ…
(・・・無い?)
 ポケットに入れておいた筈の辞令書が無い!
「パントマイム芸人を喚んだ覚えは無いが?」
「所長ーッ!!」
バンッ!
 勢いよく開かれた扉の向こうに鬼の様な形相の女の子達、それぞれに得物を持って睨んでいる。
「所長、離れて下さい。ソイツ痴漢ですッ!」
「…そうなのかね?」
『違いますよ、俺は今日付けでこちらに配属になった…』
 しまった…辞令書が無ければ証明出来ない…。
「あ…あの、みな…みな…」
 一番後ろでさっきのドジっ娘がアウアウしている。そうだあの娘に…。
『ちょ…君からも言ってくれよ』
「あ…あのその方は、わ…私のスカートの中に頭を突っ込んで…その…は、恥ずかしい~ッ///」
「ヤッパリ痴漢じゃないのーッ!」
 選択肢間違えたーッ!!
「覚悟ーッ!!」
バキッ!!
 
 
「ウム、間違いない。君が連絡のあった新入…おや、寝るのが趣味かね?」
『もっと早く気付いて…』

・・・・

「では、改めて紹介しよう。新人研究員で痴漢芸人の真哉君だ」
『違いますよ、痴漢でも芸人でもありません』
「何だ、違うのかね…」
 心底残念そうな顔ですね…。
「フム…仕方が無いからこちらも自己紹介だけでもしておくか…」
 仕方が無いってナニ?どういう事?
「まずは、左から…毬花君、緊急事態対応と主にお茶くみ担当だ」
「あ…ぁの…ァゥァゥ…」
 緊急事態を引き起こすって意味じゃないよな…。
「そして次が安全監理担当の…」
「明日奈だ…帰れ!」
 僕を撲った乱暴なヤツだ。いきなり帰れかよ!?
「その隣が薬事および微生物担当の…」
「ククク…カレン…」
 怖ッ!?目っ茶怖ッ!絶対ヤバイ薬作ってるよコイツ…。
「そして…その他大勢のオペレーター達だ」
ドドド…ッ
「ちょ…酷いですよ所長!」
「私達もちゃんと紹介してくださいよ~」
 後ろに陣取っていた娘達が一斉にコケてブーイングをかましている。
「煩いね、大人の事情なのだよ。文句はタヌキにでも言いたまえ」
 大人の事情…?誰か技量の足りないヤツでも居るのか?
       ∧∧
《…ブッΣφ(゚ε゚;←タヌキ》
 
 ン…今、何か居たか…?まぁ…イイや。
「オホン…そして最後に私が所長のクリストファー・トリステインだ。今まで女所帯でな、男に免疫が無いんだ。赦してくれたまえ」
 ク…クリ…トリ…何だって?
「明日奈君頼む…」
バキッ!
『何故撲られたんでしょう?』
「何かとても失礼な事を考えられた気がしたんでね」

・・・・

「とまぁ、これで自己紹介は終わりだ、パンツ嗅い太郎君」
 そんな名前の奴が居るかい!自己紹介が台無しだよ。
 いい加減ツッコミ疲れてきた。
「それでは所内を案内させよう。明日奈君頼む」
ヒュン…
 また木刀が振り下ろされたがギリギリ躱す事が出来た。
「…チッ」
 な…何考えてんだコイツ…?
「スマン、ちょっとしたミスだ」
 今、チッ…って言ったよね?ミスって斬り損ねたって意味か?ほんと大丈夫かこの研究所。
「先に言っておくが女子更衣室や女子トイレと女風呂、あとプライベイトルームには案内しないからな」
『頼んでません。ただし男子トイレと男風呂は案内して欲しい、生活に必要だからね』

ピッ…

 エレベーターを通り過ぎ階段で1階まで降りる。というかエレベーター有ったんだ、気付かなかった。
『何で階段で1階まで?その間の階は案内してくれないのか』
「地上から上は所員の居住スペースだ。案内する必要は無い…ましてや男なんぞと狭い密室に入れるものか」
『必要無い…って僕はどうするんだ?』
「庭にテントでも張って寝ろ、同棲してると思われるのは不愉快だ」
 無茶苦茶だな…どんだけ男嫌いなんだよ。

「ここが研究棟だ」
 流石に地下数百メートルまで徒歩では行く気にはなれなかったのだろう。エレベーターは一人ずつ乗って降りる事になった。僕が到着すると待っていた明日奈がエレベーターの中をファブっているがスルーしよう。
 幾つもの堅牢な鉄扉とセキュリティをくぐり、漸くある扉の前に辿り着いた。

「ここで着衣を脱ぐんだ」
 ハイ?何ですかイキナリ?俺が困惑していると少しイラついた口調で喋った。
「何を考えている、馬鹿か貴様は!身体に付着した菌を滅する為に服を脱いでロッカーに入れる場所だと言っているのだ」
 ああ、成る程…。で指示通りにズボンを脱ぐと顔を真っ赤にした明日奈にまた木刀で撲られた。スミマセン、今のは配慮が足りませんでした。
「今日は案内だけだ、脱がんでいい!変質者な上に露出狂か貴様!?」
《…チェ》
 微かにスピーカーから声が洩れた。
「貴様等も何を覗いているか!」
 所内の各所に監視カメラが設置されていて、声の主はさっきのオペレーターの娘達の様だ。ゆ…油断出来ないな…。


「と…いう事だがまぁ当面は毬花の補佐をして貰う事になるがね」
『緊急事態を引き起こせば良いのですか?』
「馬鹿者!起こさない様に命懸けで阻止しろと言っているのだ」
 あ…やっぱり起こしてるんだ…しかも生命の危機に関わる様なのを…。

・・・・・

 と、いう様な日々が続いて1ヶ月もすると研究所の皆とも結構打ち解けてきた(明日奈以外は)。僕が使う滅菌ポッドには明日奈が貼った危険物もしくは汚染物シールが付いているから間違えずに済むが、一部の所員が[敢えて]間違おうとするらしく、明日奈は終始不機嫌だった。

『ハイ、お茶が入りましたよ』
 一人一人にプラカップを手渡していく。万一を考え、直ぐに消却処分する為だが何とも味気の無い。尤もガラスや陶器だと割る人が居るので仕方が無い。
「ウム、美味い。なかなか良い香りではないか、結構良い茶葉を使ったのではないかね」
 クリス所長が立ち上る香りを愉しみ、一口含む。手で扇いで確かめる仕草は戴けないが化学者の癖なんだろう。
『ハイ、先日の休みの際にオレンジペコの良品を見付けたので購入してみました。本当はスコーンやショートブレッドを出したいのですが、結構カロリーとかありますから邪道ながら金平糖です』
「砂糖要らない…ククク」
「ム…確かにこれだと紅茶の風味を損なう事も無く、見た目にも愉しめる。だがしかし…」
 明日奈は僕の功績はあまり認めたく無い様だ。

2011/10/24 00:00:33(obTWDcHd)
2
投稿者: たんたんタヌキの○○
「え~っと、他に何か有りませんかねぇ…」
 毬花が冷蔵庫に頭を突っ込んで物色している。ツンと突き出したお尻が動く度にヒラヒラとスカートの裾が揺れて絶妙な情景を見せる。
チャキ…
 僕の喉元に明日奈の木刀が触れる。
『OK!見てません、見てませんとも…』
「あ、こんな所に美味しそうなゼリーが有ったのですよ~」
「バ…馬鹿者!それは…」
「エ…ッ?」
スル…パリ~ンッ!
「アアアアーッ!?」

「ウッ…!?」
「ヒッ…!?」
「キャッ!?」
「ンン…!?」
 その場に居た僕以外が突如奇妙な呻き声をあげた。
『どうしたんですか?』
「イヤ、な…何でも無い、何でも無いのだよ、ウン」
 少し赤くなった頬を引き攣らせて、まるでトイレを我慢しているみたいだ。何かチョット色っぽい。
『え~っと…席外した方が良いですかね?』
「出るなッ!!」
バンッ!
 いつに無い強い口調で制止した。
「割れた瓶の中身が判るまでラボを一時隔離する」
 パトランプと共に警報が鳴り、何層もの分厚い鉄壁が空間を遮断する音がする。その場の全員に緊張が走る。
 バイオハザード…その言葉が頭を過ぎった。
 床に零れたピンク色のスライム状の液体は慎重にスポイドで集めて同じサイズの瓶に入れても明らかに減っている。
「オペレーター!汚染状況は?」
《ラボ内の空気に異常はみられません。通常通りです》
「空気感染型の可能性は低いか…」
「各自、サンプルとデータを照合して正体を調べる。急げッ!」
 一人ずつ個室に呼び出され血液と体液を採取される様だ。
「待たせたね、君で最後だ…」
 クリス所長は血液、唾液、涙と鼻や口内の粘膜のサンプルを手際よく採取していく。
「さて、あと二ツ必要なんだが…尿はこのカップに入れてくれたまえ」
 名前の書かれた紙コップにオシッコをいれて指定された棚に置いてきた。
『済みましたよ…』
「ウム、では最後のサンプルなんだが…」
 アレ?クリス所長の様子が少しおかしい。妙に言い辛そうにモジモジしている。
『最後に必要なのは何ですか?手早く済ませましょう』
「ウム、それなんだが…・・・なんだ」
 よく聞こえなかったので聞き返してみた。
「・・液…」
『ハイ…?』
 ボソッと蚊の鳴く様な小声で呟かれても…。
「だから、精液を寄越せと言ってる!何度も言わせないでくれたまえ」
 腕を組んで真っ赤な顔を背けてしまった。普段からポーカーフェイスの為、新鮮に感じる。恥じらう所長、萌え!
 まぁ…精液も体液だからねぇ…って採取ってヤッパリ…?
 右手を輪にして上下に振ってみる。
コクコク…
 頷くクリス所長。ああ、そうなんだ…。
 ファスナーを下げきり、取り出そうと右手を中に入れた時にフト気付いた視線。
ジ~ィ…
『…あの、もしもしクリス所長?』
「何だね?」
『何をしておられるんでしょうか…?』
「ちょっとした生物学上の見地からの観察だが?」
『いや、出さないと出せないというか、出し辛いんですが…』
「ん?サポートが必要かね?」
 ブラウスのボタンを3ツ程外してタイトスカートを上げようとする。
「これでも一応恥じらいという物は持ち合わせているので、あまり凝視せずに早急に採取してくれると有り難い」
『いえ、恥ずかしいのは僕で、お見せする様な物でも無いのですが…』
 どうもこの人とは感性に違いがあるのか、話が微妙に噛み合わない。
「ああ、そういう事か。それならこちらとしても助かるよ、今日はお気に入りでは無いのでね…」
 漸く部屋を出てくれるらしい。良かった、これで…。
《……ゴク》
 何か、唾を飲み込む様な音が聴こえ…あ、ここにも有った監視カメラ…。僕はトイレでする事にした。
「おや、もう採取出来たのかね?中々仕事が早いな」
『いえ、何と言うか、あの部屋だと落ち着か無くて…トイレを借りようかと』
 所長は「あ…成る程」と呆れた様な表情で天井を見上げた。
「フム、では出来るだけ早急に頼む。あとは君の精液採取だけなんでな」
『ちょ…』
「ぇ…せ…」
「…い」
「ぇ…エエッ!?」
「き…き…」
 空気が固まったのを初めて見た気がする。
「ここにはそういった類の資料は無いので方法は君に任せるが、妄想といえど出来るだけノーマルでお願いしたい」
 うわぁーッ!所長のおバカーッ!僕は脱兎の如くにトイレの個室に逃げ込んだ。

・・・・

『…採取終わりました』
 一応、試験管の中に出して検尿カップの棚に立てて来たけど、うわぁ…何この気不味い雰囲気。皆、顔を真っ赤にして視線を逸らしたまま無言だし、明日奈に到っては変質者を見る様な冷たい目で睨んでる。
「……変態」
「あ、あの流石にそこまでは…で、でも真哉君が望むのでしたら…はぅあぅ~」
「……マニアック。ククク…」
 ちょ…おま、皆の中での僕はどういうスタンスなんだ?っていうかこの緊急時に何考えてた!?
「即効性の毒性を含んだ物ならとっくに死に至っているだろうし、これといった症状が無くまだ生きてるのだから明確では無いにしろ時間はありそうなのでね」
 つまり皆して僕がどんな妄想で採取して(扱いて)いたかを妄想していた訳ね…。
「さ…さぁ、これで検体は揃った。各自検査を始めてくれたまえ」

・・・・

「これは困ったね…」
 調査の結果、取り敢えず男の僕には全く問題は無かった。が、他の所員、つまり女性には特定の場所に対象物が発見されてしまったのだ。
「ウ~ン…この明かに私怨を感じる低俗な症状は…」
 クリス所長は僕を呼び付けると立入禁止と貼紙がされたラボ室Cに入って行った。
『あの…所長?』
「問題無い、汚染されている訳では無いよ。我々が近付きたく無かっただけで寧ろここが一番安全だとも言える」
ピッピッピッ
『ウッ…』
 電灯の光によって暴かれた室内はこの研究室にあっては全く異質、寧ろ僕にはある種の懐かしさすら感じる物だった。
「…ったく、彼奴らしい」
 クリス所長が吐き捨てる様に称した部屋は埃こそ無いものの全く掃除された事の無い雑然とした研究資料や文献に雑じり、如何わしいDVDや雑誌が山積みになったカオスさだった。
(男子学生寮の方がまだマシだな…)
「フゥ…ここは前任の所長だった男の専用ラボでね。目に余る物があったので我々が叩き出したのだが、トンだ置き土産を置いてくれて行ったものだ…」
 呆れ果てた様な所長の溜め息、溢れかえるレパートリーを見てもその人格が窺い知る事が出来る。ハッキリ言って同じ男の僕でも退く内容だ。
「ハァ…先ずは整理から始めねばならんな。頼んだよ、真哉君…」
『ハイ…って僕一人でですか?』
「ここが放置されていた理由を察してくれたまえ」
 余程嫌われていたのは解るとして、まぁナニが付着しているか判らないから女性としては嫌だろうな。

・・・・

「一応、仕分けは出来ました」
 取り敢えず研究資料系とそれ以外に選別したが、それ以外の方が多い位だった。中には元が何かも判断出来ない袋も見付かった。
「ご苦労だったね、あとは私に任せてシャワーでも浴びてくれたまえ。おそらく君に頑張って貰う事になるだろうから」
 確かに少し汗をかいてしまったし、シャワーを借りる事にした。少し気になったのは皆が少しソワソワと落ち着きが無い様に感じた事だった。

・・・・

「諸君、傾注!」
 シャワーから上がってドライヤーで髪を整え終わった頃にラボ室Cから深刻な顔で現れた。
「この粘液体について分かった事がある。良い知らせと悪い知らせ、どちらを先に聞きたいかね?」
 
 
A:良い知らせ
 →レス>>3へお進みください。

B:悪い知らせ
 →レス>>4へお進みください。

11/10/24 00:01 (obTWDcHd)
3
投稿者: たんたんタヌキの○○
【良い知らせルート】
 
「ほぉ、先に良い方を聞いてしまって良いのかね?後の落胆が大きく無ければ良いが…」


 良い知らせとは製作者の名前とその資料が発見出来た事。製作者は前任の所長、かなり人間性に問題が有った人物らしい。
 事実、如何わしいメディア類を除けば、彼の主な研究テーマは生命の尊厳を弄ぶ物だった。整頓されたラボ内の奥から扉が見付かり、その向こうには更に地下へと続く階段が有り、研究所でおそらく一番堅牢であろうこのホールには彼の[作品]が展示されていた。
 見るからに醜悪なソレ等は幾つも列んだポッドの中に保存液を充たされた状態で静かに眠っていた。
「まさか動き出したりしないだろうね…」
 そして最奥に有った事務机に置かれていたモニターに繋がった巨大なスーパーコンピューター、道理で予算の縮小を求められていた筈だ。この規模だと研究所の予算だけでは足りない筈、つまりアノ軟体生物がバイトの副産物という事か…。

 別の小型PCのメールにはハンドルネームで書かれてはいるものの各国の軍から秘密裏に生物兵器の開発依頼または購入の申し出が残っていた。
「我々が近寄る事が無いと踏んでロックすら架けていないのか…愚かな」
 何度かハッキングされていた様だが、ワザと適度な壁を作り、持ち帰ったデータが[玉手箱]だったというお遊びまで愉しんでいたらしい。[玉手箱]を解析出来たらお持ち出来るサービス付きで。だが彼の事だ、解除している間にも答えが変わっていく位の事はしているだろうが…。
「まったく…才能だけはあるから余計に質が悪い」
 そして問題の粘液状(ゲル)物質に関しては驚く程に何もトラップは仕掛けられていなかった。まるで我々に挑戦し、己が才能を誇示する様に…。

・・・・

「つまり、この粘液状生物[Sweet trap]は女性の胎内に寄生し、性行為を行う事で猛毒化する。催淫効果のオマケ付きでね…」
 如何にも変質者の彼奴の考えそうな事だ。
 コレが世に放たれれば発情した女性が溢れ、眼前で恥態を見せ付けられた男達は理性の箍が外れて襲い掛かるに違いない。
 つまり至る所で強姦が繰り返されるだろう。だが我々が身篭るのは愛の結晶では無く、恐るべき猛毒を撒き散らす生物兵器。敵国を滅ぼす為には女性一人を送り込むだけで済み、施設などを破壊する事無く全てを入手出来る。
 だが同時に性行為を封じられた人類は遅くても百年後には死滅する。パニックを起こしたやつらは暴徒と化し全ての女性を抹殺にかかる可能性もある。だからこの研究所から出る事は出来ない。
 これが[悪い知らせ]だった。
「そ…そんな…」
「…クソッ」
 だが我々も余裕が無くなって来ている。静かに、確実に症状が進行しているからだ。
「…という訳で、真哉君。君には生き地獄を味わって貰わねばならなくなってしまった…」
 こんな時に何だが、我が研究所の所員は粒揃いだ。決してアイドルグループにも引けはとらない。だからこそそんな彼女達の恥態を間近で感じ我慢し続けねばならない真哉君への負担は大きい。申し訳無いが隔離せざるをえない。何故なら我々もソレを求めずにいられる保証は無いのだから。
 研究所内にある有りと凡ゆる薬品と化学式を用いて実験を繰り返した。検体は我々の胎内で増殖するであろうから枯渇する事は無いだろう。焦りと失意、重なる疲労と何度も襲い来る欲望に抗いながら…。そして…

・・・・

―2週間後―

「諸君!解った、遂に対処法が見付かったぞ!」
 答えは驚く程簡単だった。化学者故に難しく考え過ぎていたのだ。
 何故冷蔵庫に入れられていたか?つまり完成する前に前所長が追われた為に低温には極端に弱い性質の弱点を克服されていなかった。
「ぅ…本当にするんですか?」
 方法は簡単、冷水を胎内に注入し、活動力が低下したSweet trapを吸引する。言葉では簡単だが、内臓温度が下がり過ぎるときせいされた人間自身の生命の危機となる。この二つのバランスをとり、集めたSweet trapを液体窒素で急速冷凍させる。これで死滅させる事が出来るだろうが、万一を考えて強固な金属カプセルに閉じ込めて永遠の闇へと封印する。
 何処から冷水を注入するか?それは聞かないでくれたまえ。我々にも色々都合はあるのだよ…。


『どうやら…終わった様ですね…』
 別室に隔離していた真哉君も解放出来た。
「いや、すまなかったね。君も色々と溜まった物が有るだろうから、ご褒美に安全が確認出来次第お相手してあげるよ……彼女達がね」
「ちょ…所長ッ!?私達にも都合というか、その…」
「何だ?誰も手解きが出来んのかね…ヤレヤレ…」
 備蓄していた食料もギリギリだったが、冗談を言える状況を素直に悦んだ。
「そうだ、ここも開放して貰わねばね…」
 館内の通話回線を開いた。
「・・・・」
 返事が無い…?向こうからコチラを見る事は出来ても、コチラから向こうは見る事が出来ない。
「オペレーター!どうした、返事をしなさい。問題は解決出来た、隔離壁を開けてくれたまえ!」
「お食事中…でしょうか?」
 それは有り得ない。必ず誰か一人は在席している筈だ。
「何か、あったのでしょうか…?」
 ラボ内のメンバーに不安が過ぎる。

《ハ…ハァ…ハイ、お待たせ…ァウ…しま…》
「どうした?息が切れているではないか。まさかサボっていたのではあるまいな?」
 明日奈もかなり、イラついている。
《ぃ…いえ、そ…んな事…は…ハァ…ハァ…》
「とにかく隔離壁を…」
『ちょっと待ってください、何か様子が変です』
 真哉が所長の言葉を征し、オペレーターにこう告げる。
『すいません、監視モニターの映像をください』
《わ…分かり…ぁああ…》

・・・
・・・・・
・・・・・・・

 かなり人間性が歪んだ人物であったらしい前所長。そんな男が創った生物兵器が本当にあの程度で駆逐出来たのか…?PCにあんなトラップを仕掛け、ポッドの化け物達を創れた男が…?

《え…映像…送りま…ぁふ…》
『…ッ!?』
「…な…なッ!?」
 モニターに映し出された映像を観て一同は愕然とした。
「た…大変です。ポッドが…ポッドが空っぽなのですよーッ!!」

《You get a mail!》
 ラボのPCに差し出し人不明のメールが届いた。

【ヤァ、流石はクリス所長以下研究所所員の精鋭、見事[Sweet trap]の弱点に気付いた様だね。まずはオメデトウと言わせて貰おう…】
 そして得意げに見下す様な男の映像はこう種明かしを続けた。

 最高レベルでのエマージェンシーシステムを発動させた時、隔離壁に仕掛けておいた[Sweet trap]入りのカプセルが破壊されて外界に解放され、ラボ室CのPCが起動した2週間後にポッド内の異形達が解放される様に仕掛けておいたのだと…。
【さて、聡明な貴女達ならば[Sweet trap]を駆除していける事だろう。ただし、全人類の半数に対し、暴動が起きる前までに出来るのならば…だがね。…ギャハハハ!】

プツン…
 ここでメールの添付動画は終了した。
『チッ…』
 絶望で崩れる様に座り込むラボ内の所員達。
 外の監視カメラが捉えた世界は恥辱の行為に溺れる女性達と、彼女達に襲い掛かる欲望の権化と化した男共と女性の身体を揺さ振る異形の化け物共。
 所員達の命懸けの努力は徒労と化し、世界は一人の男の淫虐の宴をもって最期の刻を迎えようとしていた…。

-BAD END-
11/10/24 00:03 (obTWDcHd)
4
投稿者: たんたんタヌキの○○
【悪い知らせルート】
 
「そう…悪い方が先で良いのだね…」
 クリス所長は目を閉じて溜め息を吐いた。

 少しだけ前の時間のラボ室C…仕分けられた山積みの研究資料とアダルトメディアを前に頭を抱えていた。まともに調べるより、彼奴の性格から判断して解決方法を考えた方が良いかもしれない。

「こんな事だろうとは思ったが…」
 所長のクリスが例のピンク色の軟体に試験管の半透明な液体を垂らすとグニグニと藻掻くとタプンと音を発て青く変色して動かなくなった。
 顕微鏡で覗いてみても活発に動いている組成体は少ない、効果があるのは確かなようだ。

 半透明な液とは先程真哉から採取した精液。あの前所長の性格からして性的な復習を企てていたのは容易に想像出来た。
「まったく…トンだ逆恨みをされたものだね…」
 効果が薄いのは空気に触れて時間が経っている為に精子の鮮度が落ちた為か…、だとすれば直接…。
 もしコレが使われていたら…、起こりえた可能性を考えるだけで鳥肌が立つ。早めに追い出せたのは正解だった様だ。
「しかし、この事を彼等にどう伝えたものか…」


・・・・

「じょ…冗談じゃありませんよ」
「そう冗談では無いのだよ」
 悪い知らせとはこの淫靡なピンク色の液状人工生命体の機能。女性の体内に潜み、ユックリとその精神と肉体を蝕んでいく。その強力な催淫効果で…。
 その熱は蝋燭の灯の様に快楽の芯に燈り、狂おしい程に身を焦がす。決して絶頂を迎える事は無く、無限の狂喜が続いていくのだと。
「じゃ…じゃあ良い知らせとは?」
「ウム、対処方法"は"見付かった…」
 一同が首を傾げる。何故、[対処方法が]では無く[対処方法は]なのかと…。
「それ…なんだがね…」
チラ…
 急に言葉を篭らせる。いつもなら謎めかせる事はあっても言い澱むクリスでは無い。
「つまりだね…ある特定のアミノ酸で構成された特殊な…その…蛋白質を汚染部に投与すれば良いのだよ。出来るだけ搾りたての新鮮な物を…ね」
「間違いないのですか?」
「ウム、実物を使用し検証を終えている。ただし、少し時間が経っていたので完全に死滅とまではいかなかったがね」
チラ…
 何度もある特定の人物に対し視線が流れている。
「解りました。では早速その特殊な蛋白質の生成を…」
「ウ…ウム、それが…残念だがまだソレを生成出来た者は居ないのだよ…」
チラ…
「…?でも、さっき実物を使って…と言ったのですよ?」
「ここに牛、居ない…」
 搾りたてに該当する物は無い。それは誰もが思っていた。そんな中、明日奈がある事に気が付いた。
「所長、それは私達にとって本当に良い知らせなんでしょうか?」
 明日奈がクリス所長の視線の先を見て、他の者もそれを追った。
『エッ…!?ハ…ハイ?』
 視線は狼狽える真哉の一部に集中していた。
「そう…真哉君の・・・なのだよ…」

・・・・

「エッ…エエーッ!?」
 彼女達が驚くのは無理も無い。軟体生物の寄生している部分は3ヵ所、それはつまりそのまま真哉と性行為を行う事を意味しているのだから。
「ンン…で、では誰か最終検証に協力出来る者は居るかね?」
「・・・」
 誰一人手を挙げられず、頬を染めて視線を逸らした…。
「こ…これは困ったね、まさか全員未経験とは…」
 この研究所に居る女性は皆、幼い頃から特殊なカリキュラムにより育てられたエリートであり、化学・生物学に精通している為、知識としては知っているがその機会は無かった。つまり情報に躍らされた耳年増なのである。ましてや前所長がアレなので知識欲より嫌悪感の方が勝ってしまっていた。
「ムゥ…し、仕方が無い。責任者であり言い出しっぺの私が検体となろう」
『エッ?あ…あのぅ、い…良いんですか?』
「ウム、あまり余裕も無いのでね。君の好みは無視する形にはなってしまうが宜しく頼む」
 クリス所長が頭を深々と下げる。
「ちょ…ちょっと待ってください所長。そ…その、し…シタ後に検査等は誰がするのですか?代わりに誰か…そ、そうだ毬花、元々はお前の失態が原因なんだからお前がしろ!」
「エッ…エエーッ!?わ、私がですがぁ?た…確かにしなきゃいけないですけど。わ…私も真哉さんとなら…と言いますか…その…」
 真っ赤になって腕をパタパタと羽ばたかせてパニクっている姿は可愛いが…。
「いや、やはり私が最初になろう。君達を信頼しているからね」
 クリスが割って入る。所長としての責任感なのであろう。
『あの…本当にするんですか?』
「当然だ!」
『ココで…ですか…?』
ジィ~
 所員全員の興味津々な視線がクリスと真哉に集まっている。
「ば…馬鹿者ッ!奥の仮眠室を使えッ!///」
 明日奈が奥の部屋を指差して怒鳴った。
『ハ…ハイ、じゃあ所長…』
「ウ…ウム…」
 耳まで真っ赤にした俯いている彼女の手をとり、仮眠室へと急いだ。


「で…ではお手柔らかに頼む…」
 流石に緊張は隠せない様だ、いつもの大人の女性さは無く、一人の愛らしい女の子だった。
『分かりました。出来るだけ善処します、所長』
 そっと手を伸ばし肩に触れるとビクッ…と震える。
「ま…待ち給え。で…出来ればクリスと…名前で呼んで戴きたい」
『ク…クリス』
「…真哉」
 身体を小さくして震えながら瞳を閉じる。

・・・・

「ど…どうし…」
『シィ…』
 クリスの艶やかな唇を中指でそっと遮る。


バタンッ!
「キャアッ!?」
 バタバタとバランスを崩して重なる毬花達。
「あ…貴女達…!?」
「痛て…テヘヘ」
 どうやらドアの傍で聞き耳を立てていたようだ。
『ったく…明日奈さんまで…』
「ち…違うぞ、コレは生物学における純粋な…」
『・・・・』


「総員、撤収ッ!」
「お邪魔しましたーッ」
 ヤレヤレ…中学男子かアンタ等は…。
「プッ…困った娘達だな」
『…ですね』
 明日奈達のお陰で緊張も解けた様なので、改めて肩を抱き唇を重ねた…。

・・・・・

カチャ…
「しょ…所長、どうでした?」
 真哉に身体を支えられてフラフラと仮眠室から現れたクリスにドッと野次馬が集まって来る。
「だ…駄目だ…アレは危険だ。実に筆舌にし難い…」
 クリスは未知の快感に腰を抜かしてしまったらしい。しかし初体験で達し過ぎたのだろうか、疲労はしているものの肌はツヤツヤしていた。
「い…いえ、お聞きしたのは検証結果なのですが…」
「あ…///」

 検証の結果、口および咽喉、膣内部、腸内における[Sweet trap]の活動はいずれも確認出来ず、完全に死滅していた。つまり、クリス所長の想定は当たっていたと実証されたのだ。
「し…しかし、流石に疲れたよ。何やらまだ異物が入っている様な気がする…」
 少し照れくさそうに笑いながらソファーに腰掛けた。
「では、順番にいくとして次は誰が…」
 明日奈がそう口にしかけた言葉を真哉が遮った。
『ちょ…ちょっと待ってください。いくら何でもそんなに連続では無理ですよ。一度シャワーを浴びてきますから少し休ませてください』
 精巣は平均2日でフルチャージされ、それ以前の物は自動的に排出される。
 今の真哉はリボルバーで例えるなら6発の内、半分を消費しており、銃身が熱を持った状態だ。ただ数をこなせば良い訳では無い、人の命がかかっている。万一薄くて滅しきれ無ければ命が危ない。少しでも確率をあげる為にここは半日近くインターバルをおかせてみる事にした。
 しかし、襲い来る快楽への誘惑は彼女達をかなり苦しめている。一度でも自分で慰めてしまえば最期、後は気が狂ってまでも貪欲に快楽を貪り続けるだろう。
 クリス所長が少しでも早く精子が製造される様に精力剤を調合してくれたお陰で体力的にも早く回復出来た。しかし、スッポンの血とかまで有るのには正直驚かされた。理由を訊ねると
「美容・痩身の為なら悪魔にでも魂を売るわ!」
「ティーンズの肌をなめるな!20代はもう老化しているのだよ」
「日々の努力…大事…」
「アウ!アウ!」
だそうだ。女の執念恐るべし…。
「そういえば所長の肌がツヤツヤしているような…?やはりSEXとの因果関係が…」
「女性ホルモン…活性化…」
「いや、確かに活性化するだろうが、安易に頼るのは色素沈着などの弊害が…」
 あまり聞かない方が良さそうな生々しい会話が白熱している。モシモシ…貴女達は今、生命の危機に直面しているのですよ?
「死んだ後より生きている今が大事!」

クイクイ…
 毬花が上着の肘を引っ張っている。
「ヨロシクお願いするのですよ」
 ますます議論がヒートアップする中、二人は仮眠室へと姿を消した。
『えっと、まずはお口でして貰えますか?出来れば…その…胸も使って戴ければ…』
「あまり良く解らないので教えて欲しいのですよ」
 子供っぽい鞠花は真哉の指示に素直に従った。というか、新しい玩具を貰ったかの様に喜々として真哉を受け入れたいった。


「ハウ~…」
 ボ~っとする毬花に詰め寄る明日奈とカレン、既に経験を終えたクリスは後ろで腕を組んでウンウンと頷いている。
「でねでね、○○が××で△△から◇◇なのですよ」
 まるで新しいスウィーツを食べたかの様に興奮気味に話している。若干、纏まりは無いものの言葉はかなりダイレクトだった。
 検査結果はクリア、寄生個所全てで[Sweet trap]の活動は発見されず、代わりに真哉の[特効薬]が元気に泳いでいた。
「あぅ…恥ずかしかったのですよ」
 クリスと違い毬花は絶頂を迎えても倒れる事は無く、逆におかわりを要求してきた。が、無駄弾を撃つ余裕は無い、あと二人控えているのだから。

『次はどちらでしょうか?』
 何本目かのドリンク剤を摂取して一息吐いた真哉は本日3回目のシャワーを済ませて出て来た。何せ相手は全員耳年増な未経験者ばかり、真哉がリードせねばならないのだった。
「次…私…」
 手を挙げたのはカレンだった。
 カレンは研究所の中で一番背が低く、幼い体型をした女性だった。感情の起伏が乏しく、口数も多くない。逆を言えば何を考えているか判らないタイプだ。
『エッ?い…良いんですか、僕で…』
「注射するだけ…抗生物質と同じ…」
 ある意味合っているが何処まで理解しているのだろうか不安だ。
「早くしろ…余裕無い…パンツ濡れ濡れ…」
 そう言って自ら裾を持ち上げた。
『ワーッ!?解った、解りました。だからこんな所で捲らないでください』
 慌てて仮眠室に連れ込んだ。何かお漏らしした幼稚園児の世話をしている保父さんの気分だ。
バサッバサッ…
「さぁ来い…」
 ムードも何も無くいきなり着衣を全て脱ぎ捨てた。さっきといい、羞恥心が欠けているのだろうか?
「…私は露出狂か?」
 心が読めるのは解りました、ハイ…。
ジィ…
『あの…カレンさん?』
ジィ…
『そうガン見されると結構恥ずかしいんですが…』
ボソ…
「…小さいヤツ(器が)」
 うおおいっ!?そりゃ誰と比べての発言ですか?確かに自慢出来る程のモノじゃ無いけどさ…。そもそも日本男子の平均は…。
「良いから早く精液寄越せ…」
 ガバッとパンツまで纏めてズラされていきなり吸いたてられた。
「…出ないぞ?」
 パック牛乳のストローじゃないんですから、ただ吸ったって出ませんって。
「…面倒臭いヤツ」
 ウム、カレンの認識が色々間違えている事も理解出来た。やはり僕がリードしなければいけない様だ。
 カレンの身体は思ったよりも華奢で強く抱きしめてしまうと折れてしまいそうに感じられた。その感情の起伏が乏さを体現した様なスレンダーボディは少年を抱いているかの様な錯覚すら覚える。
「…誰が少年…か?」
『どわぁーっ!?くぱぁするな!』
 どうも先の二人と勝手が違い過ぎる。遊ばれている気もするが本当に今自分がおかれている状況を理解しているのだろうか?


パタン…
 俯いて検査室から出て来たカレン。上手くいかなかったのだろうか?
「…カレン?」
「・・・」
ビシッ!
 おお!?これ以上無い程に男前なVサイン、不自然な程にカタカタ震えるガニ股で無ければ完璧だったのに…。
11/10/24 00:04 (obTWDcHd)
5
投稿者: たんたんタヌキの○○
やはりカレンは無理していたらしい。
 しかし、3人相手に3発ずつはかなり厳しい。よく頑張ったよ僕…。後は・・・。
「…フ…フン」
 あ、明日奈か…。頼によって一番苦手なタイプだ。彼女は最初からあまり友好的では無かったからなぁ。
 相変わらず顔をこちらに向けずに仁王立ちのままだ。
『あの…え~っと…』
ギロッ!
 ハゥ…少しでも近付いたらあの伝説の木刀でぶん殴られる気がする。というか、殴る気満々ですよね?明日奈さん。
 目を吊り上げて身体を震わせながら牙を剥いてるよ。まるで猫科の威嚇ですよ。そんなに嫌いですか?男という生き物が…。

「まったく、困ったものだよ明日奈君にも…」
「全員クリア出来ないとここから出られない処か、最悪は・・・なのですよ」
「ククク…意気地無し…」


「…フンッ!」
 ドカドカと足を踏み鳴らすようにプライベートルームに帰ってしまった。
「ヤレヤレ…済まないがタイミングをみてセッ…説得してはくれないかね」
「どうせ嫌がられているなら無理矢理姦っちゃえば良いのですよ」
「注射嫌いで泣く子供にも打ったもん勝ち…」
 アンタ等それって強姦教唆じゃないですか?


『…ったく、他人事だと思って…』
 今日中の説得は無理かもしれないと諦めかけていたその時、明日奈の個室から呻き声の様な物が聴こえてきた。いや、呻くというより何か必死に堪えて苦しんでいる様な…?
「ん…クッ…ンンッ…」
 まさか、毒素が回りはじめたんじゃ!?
 このままじゃ明日奈が危ない!そう判断した真哉は思い切りドアを蹴破った。
バンッ!!
『大丈夫ですか?明日…奈…さ…』
「・・・」

・・・・・

―思考停止―
―緊急事態発生!至急再起動の後、現状把握と対応処置の構築を要請―

 眼前にはスカートの裾をくわえて全開の脚中心部に触れる半裸の明日奈。想定以上の豊かな乳房とキラキラ光る女陰…。
 し…死亡フラグ率120%。こ…殺される、伝説の木刀でミンチに為るまで殴り殺される!!緊急回避!緊急回避ーッ!!
 しかし硬直した身体は一歩も動かず、視線を逸らす事も出来なかった。
 終わった…選択肢間違えたーッ!!

―BAD END―

・・・・

『・・・アレ?』

「ぇ…ふぇ…ふぇ~んっ!!」
 な…泣いた?子供みたいに泣き出したッ!?
 "アノ"明日奈がまるで粗相を見付かった子供の様に泣き出した!
『あ…あの…明日奈?』
「うわあぁーん!見るな、来るな!あっち行けバカーッ!!」
 ベッドの周りに山積みにされた縫いぐるみや枕が次々と投げ付けられる。明日奈って意外と少女趣味…じゃなくて、自慰してたって事は症状が…。
「く…来るな!お前とシて生き恥を晒す位なら、いっそ…」
 明日奈が僕を…男を嫌っているのは知っている、でもこのままじゃ折角処女を失ってまで危険回避出来た皆が…いや、何より明日奈自身が…。迷ってる場合じゃない。
『嫌だ!僕はみんなを…明日奈を助けたいんだ』
「…エッ?…ん…んん!?」
 一瞬怯んだ隙を突いて明日奈の唇を奪い押し倒した。
「ンンッ…ンーッ!!」
 迷いは無かった。例え半ばレイプという形になろうと、僕は明日奈の中に躊躇無く押し入った。
 明日奈の涙が僕の心を深く抉る。だけど彼女の痛みに…彼女を助けられる事に比べれば…。

バシィッ!!
 シーツで身体を隠して震える明日奈の平手打ちが左頬を打ち抜く。
 激しく抵抗する彼女を力で捩じ伏せ、強引に全ての初めてを奪い、精を放った事実は変わらない。
「卑怯者ッ!!」
 幾らでも罵ってくれても構わない。僕の赤い痣の頬、血の滲む口元と破れた服を見て悟った毬花とカレンは明日奈の元に走って行った。
(クソ…)
 形容し難い自身への虫唾が走る。
「無器用だな…君は…」
 クリス所長が哀れみの眼差しで話し掛ける。
『言い訳はしません。全てが終われば処分でも制裁でも受けますので…』
 そう呟くと頭を深々と下げて自室に戻って行った。
「本当に、無器用な子…」

 宥める毬花とカレンが行った検査結果はクリア、僅かに症状が進んでいた明日奈も安全が確認されたので1週間の待機期間の後に隔離壁が開放され、今回の騒動は一応の決着を見せた。
 余程ショックが大きかったのか明日奈が部屋から出て来たのはその翌日だった。

「もう大丈夫かね?」
「ハイ、所長…実はお話しが…」


 一通り話し終えると明日奈は頭を下げて去り、あるドアの前に立った。
コンコン…
「ンン…私、明日奈だけど…」
 返事は無い。
「い…良いわね、開けるわよ」
ガチャ…
「…エッ?」
 そこに有る筈の荷物は無く、人の気配も無かった。
「ど…どういう事…?」
「彼ならもうここには居ないよ…」
 真哉は研究所が開放された翌日、部屋の整理をしてある場所へと行ったのだった。
「これだけ私に托してね…」
 【辞表】と記された封筒には所員全員に対する謝罪と退職願が入っていた。
「そ…それで彼は?所長は真哉が何処に行ったかご存知なんですか?」
「知っている、連絡が有ったからね」


「失礼します!」
 明日奈は走り出していた。真哉が拘束され(居座って)いる場所に…。
「…ヤレヤレ、ウチには不器用さんしか居ないのかね…?」
「で…彼は何処に?真哉は何処に居るんですか!?」
「…警察だよ。ある女性をレイプしたと自首してきたと連絡があった」
 しかし、届け出が有る物は全て否認し、また当然ながら被害者も面通ししても肯定しない。いくら取り調べをしてもレイプした女性の事は語らない、だから警察も困っている。
「彼はね、待っているのだよ。君が告発してくれるのを、ただ一言[この人に乱暴されました]…と言われるのを…」
 最悪、警察は犯人の顔を見ていない為に完全に否定出来ない被害者の事件を真哉の犯行として処理するかもしれない。
「もしもの時は私が被害者として名乗り出るよ。彼は世界を救った英雄よりも一人の女性を犯した卑劣漢として裁かれる事を望んでいるのだから…」

「真哉…」


「どうします、部長?」
 出頭してきた男の身体には抵抗された際に付いた爪痕と女性の物と思われる体液が付着していた事からも自供通り誰か犠牲者がいるのは間違いない。だだ解せないのは自首して来た理由だ。自首してきた被疑者は居る、でも被害者が居ない。抵抗して暴れてくれれば公務執行妨害を使えるのだが…。
「警部…」
「何…女が?」
 真哉を尋ねて同じ職場の女が来た。被害者の可能性が高い…。
「では、貴女が被害者で間違いありませんか?」
「…ハイ、10日程前になりますが…」
「じゃあ、被害届を出してください。あと調書を取りたいのでご協力戴けますか?」
 マジックミラー越しの俯いた男に少し安堵にも似た表情が浮かぶ。
「被害届は…出しません」
「な…では何故ここに…?」
 困惑する署内、そこに一人の男が現れた。
「私が説明しよう…」
「け…警視正…?」
「お父…さん」
 男は明日奈の肩に手を廻すと取調室に向かって行った。
ガチャリ…
「君が…真哉君かね?」
『ハ…ハイ…ッ!?』
ドガシャガシャンッ!!
「お父さんッ!?」
 立ち上がり頭を下げた真哉を思い切り殴り飛ばした。
「け…警視正、な…何を!?」
 警視庁の最高責任者がいきなり被疑者を警察署内で殴り飛ばしたのだから大問題だ。恐らくは全力で無かった事にされる筈…。
「では、この殴られた被疑者も居なかったのだね?」
 みな無言で頷き同意を示した。
「君も娘に対する贖罪をしたいなら今の一発で構わんよね?」
『で…ですが…』
 ここが退き処だと男の目は告げている、それに気付いた真哉は言葉を継げず、頷くしか無かった。
「では、私はこれで失礼するよ」
 君が居るべき場所は鉄格子の中では無いと諭すと二人をタクシーに押し込んだ。


『……済みま…せん』
 謝ろうとしる真哉の腕に手を廻し、グッと抱きしめ身体を預けた。
「謝罪はいい…私が愚かだっただけだ。私に意気地が無かった為にお前にも私自身にも辛い事になってしまった…赦せ」
『明日…奈さん?』


 車窓の風景は徐々に見覚えの有るものに変わっていく。明日奈は頭を肩に寄せたまま何も言わない。ただ出会った頃のイメージとは全く別人の様な感じがした。
「有難うございました」
 見覚えのある建物の近くでタクシーを降りた。2日あけただけだが妙に懐かしい。
『入りましょうか…明日奈…さん?』
 歩きだした真哉を引き止める様に腕を掴んだまま動かない。
「こ…今度は…優しく…して…欲しい…」
『エッ!?今度って…』
「う…煩い、今度は今度だ!」
 耳まで真っ赤な明日奈は腕を引っ張り、研究所へと戻って行った。

「お帰りなさいなのですよ」
「ククク…良かったな」
「フム、ご苦労だったね」
 居住区エリアの食堂では所員全員で祝賀会の準備中だった。といっても出来合いの物を並べただけの簡素なパーティーだ。ピザにオードブルセットにスウィーツの山、これ全部食べられるのか?と疑いたくなるほどの量だった。
「では、私達の生還とヴァージン卒業に乾杯ーッ!」
『ブーッ!?』
 な…何をいきなり言い出すのかと突っ込もうと振り返った瞬間、テーブルの料理は早1/4程消えていた。
(食うな…この人達なら…)


「いや~しかし間に合って良かったのだよ、一時はどうなるかと…」
 そうだった、彼女達はつい10日前は生命の危機に直面していたんだ。前所長の[置き土産]があり、男という生き物に少なからず抵抗があった彼女達は偶然僕が配属された事でどうにか事なきを得た。…偶然?本当にそうなのか…?

「本当にギリギリだったね…」
「間に合わないかと思ったのですよ」
「所長…ナイスフォロー…」
「まさか、真哉君が自首するとは流石に想定外だったしね、警視正に連絡がついて良かったよ」
(ソッチかいッ!?)
 でもお陰で誰も傷付かずに済んだ。僕は罪を償う事に固執して結果的に自分の事しか考えて無かったのだから。

「楽しんでいるかね?」
『ええ、まぁ…』
「ケーキ如何ですか?美味しいのですよ」
「さっさと食え…チキン…」
「ピザは冷えたら不味いのだから食べろ。無理にとは言わんが…」
(何だ?この猛アピールは…)
 真哉を取り囲むようにフードやドリンクを手に迫ってきた。
『ど…どうしたんですか、皆さん…』
「いや、結果的に明日奈君は父親への紹介が済んでしまった訳だし…」
「な…そんなツモリは…」
「大好物は譲れないのですよ」
「…中出し…みんな危険日…」
『…エッ?』
 今、サラッと爆弾発言が無かったか?
『で…でも[Sweet trap]と相打ちにな…』
「ボソ…(前レス参照)」
『…なってないッ!?』
 エエッ、あれ伏線だったの?誰の陰謀だよ!?
「発情しているメスは出来やすいとはいうがな…」
『明日奈さん…まさか君も…』
「・・・」
 アアッ!?顔を背けた。しかも耳まで真っ赤?
「だから拒否したのに真哉ったら無理矢理…」
「フフフ…真哉君、君には選択権がある。誰かとは言わない。我々全員の物になるか?全員に訴えられるかだ!」
『エエッ!?何ソレ?』
 思わずドアの方へと走り出した。
「逃げられると思うかね?」
バンッ!
 けたたましいサイレンと共に全所内の重い扉が閉まる音が響く。


「アラアラ、また警報が鳴ってるわ。本当に大変ですね」
 通りがかりの主婦の同情に警備員が愛想笑いで手の平を上に挙げる。

 そ…そういえばRPGに出てくるミミックって開けた人間を殴って気絶させて取り込んでから生気を吸うんだっけ…?
 真哉は逃げながら同期の奴らの哀れみの眼差しとこの研究所の別名を思い出していた。
【麻津度化学生物研究所】、通称【MAD MONSTER(狂った化物)】だと…。


-BAD END…かな?-
11/10/24 00:05 (obTWDcHd)
6
投稿者: くべ
良い感じなので前の作品も読ませてもらいました!が今回のが一番読みやすくまた新しいのも読みます!まぁあまりエロくないけど最高です!
11/10/25 20:39 (vsBGKg5Z)
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