ようこそゲストさん。
ナンネットIDにログインしていません。
ID: PASS:
IDを保存 
ナンネットIDは完全無料のサービスです。ナンネットIDを取得するとナンネットの様々なサービスをご利用いただけます。
新規登録はこちら
ID・パスワードの再発行はこちら
(無題)
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:ノンジャンル 官能小説   
投稿の削除 パスワード:
1:(無題)
投稿者: 菊乃 ◆NAWph9Zy3c

頭が痛い。


こんなに気温が高いというのに、寒い。寒くて仕方がない。



開け放った窓から、夏の風が入ってきて、あたしの頬を優しく撫でた。




揺れる黄色のカーテンの隙間から、蒼い空がチラチラと、覗いている。






昨夜、あたしは熱を出した。


ジャイアンは、必要以上に心配して、

「俺、明日は会社休むよ。何かあったら、大変だし。」

などと、とんでもないことを言い出した。




…何もねぇよ。ただの風邪なんだから。



女が風邪ひいたくらいで、いちいち仕事に穴をあけるようでは、到底、出世は望めない。




そう思ったので、

「男が簡単に仕事を休むなよ。親の死に目にもあえないぐらいの覚悟で働け。…あたしは平気だから」

と言って、会社に行かせた。





お昼過ぎ、食欲がなかったので、インスタントのコーンスープを飲んだ。


何か、お腹に入れなければ、薬も飲めない。




コーンスープを飲み終えたけれど、薬を飲む気が起きない。やたらに薬を摂るのは、昔から、いやだった。




だるい身体を引きずって、再びベットに潜り込む。





部屋の中には、あたし一人だった。





やっぱり、会社、休んでもらえばよかった、そんな事まで思いはじめた。



風邪をひくと、どうにも、心まで弱くなってしまっていけない。情けないものだ。




やっぱり、空は蒼くて、曇は白い。



遠くで、蝉と子供の声が、いかにも夏、というBGMを造り上げていた。





しばらくすると、あたしは、ウトウトし始めた。














はぁ…はぁ…

熱い息が、身体にかかる。

手首が痛い。何か、紐のようなもので、縛られている。動けない。動かそうとすると、痛みが跳ねた。




細くて、眼鏡をかけた、真面目で神経質そうな男の舌が、幼い身体の表面を這い回る。








これは、夢だろうか。昔の記憶…?

でも、あたしの記憶では、ない。

だって、この男は…。







男の、眼鏡の奥の、鋭く光る小さな眼は、赤く血走り、まるで蛇のようだ。



完全に、理性を失っている。




異常だ。




昼間だというのに、薄暗くて、じめじめした部屋。



湿っぽい、変なにおいがする。



部屋のドアも、窓も、閉められたままだ。



空気は淀んで、灰色だ。




閉められた窓には、暗幕が掛けられ、空の蒼さを、美しさを、 奪っていた。もう、昼なのか、夜なのかも分からない。




異常だ。




昼なのか、夜なのか。


現実なのか。夢なのか。




汗だくで、皮膚がぬるぬるする。



ただ、ただ恐ろしくて、声も出ない。




涙ばかりが、溢れる。




怖い、痛い、苦しい、悲しい。




男が、チュウチュウと音をたてる。

赤い痣が、残る。





激しい痛みが、突き上げる。


情けない声が、漏れる。




…たすけて…たすけて…





くじけそうに、なる。







…今、辛くても、ちょっと我慢すれば、ちょっと辛抱すれば、そのうち、解決する…






自分がしっかりしなくては。



強く、強くならなければ。





男の熱い息が、更に荒くなる。




真っ赤な痛みが、裂ける。






…夢ちゃん…俺、強くなるよ…







次の瞬間、急に頭の中で、何かが弾け、真っ白な光が炸裂した。
















がばっと起き上がると、外はもう暗かった。


無意識にベットから這い出て、玄関のすぐ近くの床の上で、タオルケットにくるまって、子供のように、小さくなっていた。


涙が、止まらなかった。




…ごめん…ごめんね…





涙が、止まらなかった。




そこに、丁度、ジャイアンが帰宅した。



「ただい……夢ちゃんッ?何…どうしたの?大丈夫?」




ジャイアンが駆け寄る。



あたしは、

「…おかえりなさい…」

と呟いた。



多分、あたしはひどい顔をしているだろう。


長い髪は、もつれて、乱れて、ひどい顔を隠している。


はたから見たら、たった今、井戸から登場したばかりの、幽霊にしか見えないだろう。


下手すれば、テレビの中から手を伸ばして来そうな勢いだ。




そんなあたしの肩を、ジャイアンが抱く。

「夢ちゃん、何で、こんなとこで寝てるの?ちょ…大丈夫?」

と、言いながら、あたしの身体を揺する。




あたしは、

「…遅ぇよ。もっと…はやく帰ってきてよ…バカ、ハゲ、デブ…」
と言って、彼の肩にしがみつく。





寂しかった、なんて、口が裂けたって、言えない。





ジャイアンは、床の上にうずくまっているあたしの身体を、ひょいと抱き上げ、いわゆる、お姫様だっこでベットまで運んでくれた。



マジャマ代わりにしているTシャツは、汗で濡れてしまっていたので、脱がされ、新しいものに着替えさせてくれた。


グシャグシャの髪に、櫛を通してくれた。


あたしは、ベットに座った状態で、大人しく、されるがままになっていた。



風邪のせいで、心まで弱っていたからだろう。

不覚にも、甘えてしまった。

ジャイアンは、そんなあたしを、抱き締めて、

「よしよし、いい子だね」
と言って、髪を撫でた。



あたしは、ジャイアンの胸に顔を埋めた。右手では、彼のパジャマを握りしめている。


「もう、独りじゃないからね」

ジャイアンが呟いた。







窓からは、ひんやりと心地好い夜風が吹き込んでいる。

外には、美しい夜空が広がっていた。




2007/05/25 16:06:59(31j4hOOo)
2
投稿者: 'A`)
なにこのツンデレぶり
俺ンとこ来い!
なんか新キャラがチラッと・・・
07/05/25 16:57 (YNvn2T14)
3
投稿者: 菊乃 ◆NAWph9Zy3c
早速、ありがとうございます。


はい、ツンデレですね(((^^;)書きながら、自分でもそう思いました(笑)




新キャラ…でしょうかね。。
いや…

って感じです(笑)




よかったら、これからも、読んでくださいね。

ありがとうございました

07/05/25 17:46 (31j4hOOo)
4
投稿者: 菊乃 ◆NAWph9Zy3c
ちなみに、題名は、

『無題』十二

です。付け忘れてしまいました。。

すいません。
07/05/25 17:57 (31j4hOOo)
5
投稿者: たぁ
待ってました☆すばらしぃですね(>_<)!いつも楽しませていただいて…ありがとうござぃます!!次を楽しみにしてます(^O^)/
07/05/25 22:05 (kQZqNP3E)
6
投稿者: ゆう
自分が弱っている時は、人の優しさがありがたいよね…。
と、小説なのに感情移入してしまうよ
07/05/26 06:56 (B4fTAvr3)
コメントを投稿
投稿前に利用規定をお読みください。
名前
メール
本文
スレッドを上げない
画像認証

上に表示されている文字を半角英数字で入力してください。
 
官能小説 掲示板
官能小説 月間人気
官能小説 最近の人気
作品検索
動画掲示板
画像で見せたい女
その他の新着投稿
人気の話題・ネタ
ナンネット人気カテゴリ
information

ご支援ありがとうございます。ナンネットはプレミアム会員様のご支援に支えられております。

Copyright © ナンネット All Rights Reserved.