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契約・ 1 【寧々】
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:空想・幻想小説
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1:契約・ 1 【寧々】
投稿者: 詩乃
僕が彼女に出会ったのは、もうずっと前。

いつものように、美味しそうな魂がいないか人間達を物色してた夜だった。

彼女、寧々はとっても面白いことを考えてたんだ。

『街を歩けば、素敵な男性がいっぱいいる。
もしかしたら、私を好きになってくれる男かもしれないけど、そんなこと聞いてみるわけにはいかないし、聞いたところで私のことを知ってもらわなきゃ答えが出ない。
でも女としての価値ならすぐに決められるよね。
私に「男の人を見ると、その人が私を求めてくれるタイプかわかる能力」があればいいのに。
そうしたら、私のことを求めてくれる人にどんどんアプローチして、いつでも情熱的なエッチができて寂しくないのに』

ってさ。

面白いよね。

この子はきっと、誰かを好きになる能力が欠落してるんじゃないかな。
だから、好きになってくれるかどうかが大事なんじゃないかって思ったんだ。

「誰もいらないから誰でもいい」
「誰も好きじゃないから誰でも同じ」
好きになってくれるなら…だよね。

存在しないものを求めて枯渇し続ける魂なんて、僕の大好物じゃないか。
悪魔は潔癖で孤独な魂が大好きなんだ。

僕はさっそく寧々の前に姿を現して、
「魂と引き換えに願いを3個叶えてあげる。願いを2個でやめれば、魂は取らないから大丈夫だよ」
と、誘惑したんだ。

彼女は驚いていたけど、すんなりと契約してくれた。

うん、君はそうだと思ったよ。




ひとつめの願い。

相手にとって自分の体型・年齢・容姿が魅力的なら、男の頭上に○が見える。
まったく脈がなければ×が見える。
どちらでもなければ△が見える。

寧々は嬉しそうに街に出て行った。

だけど、すれ違う男の頭上を見て、彼女はがっかりしたんだ。

自分好みの男性に○が見えることが、とっても少なかったんだって。

×が見える人も少なかったんだけど、そんなことは関係ないんだろうね。

むしろ、△が多すぎることにショックを受けてたよ。

△ってことは、寧々が抱いてと言ってくれたから喜んでセックスするだけの男だからだめなんだって。

女心は難しいな。

しばらくは自分を好きだと思ってくれる男とのセックスを楽しんでたけど。
すぐに寧々は心がすり減ってしまったんだ。

そのうち、もう男の本音なんて見たくないって言って、自宅に引きこもってしまった。



そして、ふたつめの願い。

「男なんか必要ない体にして」

僕は、彼女の身体に魔法をかけた。

彼女が望めば、クリトリスが男性器のように大きくたくましく、そして触手のように自在に伸びて。
自分で自分のことを犯せるようにしてあげたんだ。

もちろん、どっちの性器も快感を味わえる。

寧々はヨダレを垂らして、セックスに溺れた。
どっちから溢れた体液かわからないもので汚れながら、ひたすら快楽を求めた。
それは滑稽で醜くて、とてもエロティックな光景だったよ。

だけど、疲れ果てるまで遊んでから、やっぱり彼女は気がついたんだ。

1人で得られる単純な快感には、愛情や興奮や悦びという要素がない。
だから、気持ちよさに限界があるってこと。

それから。
こんな風になってしまった自分を後悔した。

寧々は本当に美味しいそうだ。

しかも、絶望というスパイスで、いい感じに料理できた。

絵の具を塗り重ねる時と一緒で。
白が黒になるのは容易いけど。
黒を白に戻すことはできない。



…さあ。

そろそろ僕の出番だよね。

みなさんここで「元に戻して」と、みっつめの願いしてくれる。

そして僕は契約通りに魂をいただいて、めでたしめでたし。



…と思ったのに。

彼女の3つめの願いは、僕にとって奇妙なものだったんだ。






「私を普通の女にして。穴だらけの心じゃなくて、男の人を愛せる普通の女にして」

それが最後の願いらしい。

仕方ないから、僕は寧々の大切なものを奪ってみた。

これまで生きてきた悪いこと良いこと全ての記憶を取り上げた。

悪魔の僕には、寧々を普通の女にする方法なんて、これしか思いつかなかった。

「黒を白に」はできないから、黒になってない状態に戻したんだ。

これが彼女が望んだ通りの方法だったんだろうなと、僕が気がつくのはもっとずっと後の話。



全てがなかったことになって、寧々はつまらない女になった。

なんにも執着してなくて、なんにも求めてなくて、何のためにどう生きていいのかもわからない。
明日も今日も同じ。
今日の連続が未来になるだけ。
そんな女になってしまったんだ。

記憶を失ったせいで、彼女は大切なものを大事に思う気持ちまで失ってしまった。

彼女はもうなにも怖くないし、なにも寂しくないし、なににも心飢えることがない。



そして。

寧々は、何が悲しいのかわからないのに、大事な何かをなくした気がして苦しいんだと言った。

僕は知ってる。

寧々が無くしたものは、寧々が寧々であるためのものすべてだったんだ。

寂しさや飢えや孤独すら、寧々が寧々である証だったんだ。

みっつの願いを叶えたことだし、僕は約束通り、寧々の魂をいただくことにしたんだけど。

寧々から奪った魂は、困ったことに全然美味しくなさそうだった。
なんの色も輝きもなくて、僕は何故か喪失感を感じたんだ。

せっかく美味しそうな魂だったから、余計にね。

なんだろう。

これは本当に「普通の女」なのかなって、思ってしまったんだ。
穴だらけの心じゃなくなったけど。
空っぽになってしまった。

僕は美味しい魂を食べるチャンスを逃してしまった。

しかも、僕はみっつめの願いを叶え損なったんじゃないかなって。

だって「男の人を愛せる普通の女」にできなかったからね。

…まいったな。それじゃあ契約は無効だ。

だから、僕はその魂を食べずに天に放すことにした。

まったく嫌な女だと思ったよ。




あれからどれだけの時間が流れただろう。

思い通りにならなかった寧々のことを、僕は今も待っているんだ。

いつか、寧々の魂が新しい命として産まれて来たら。
今度は普通の女の子に育つように、近くて遠い所から見守っていようと思う。

その時こそ、みっつめの願いを叶えたことになる。

だから。

僕のために、早く巡っておいで。



《おわり》
2017/11/03 23:33:06(P19agjIl)
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