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優希のひめごと -女装のHな体験談を脚色・創作しました-
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:ノンジャンル 官能小説   
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1:優希のひめごと -女装のHな体験談を脚色・創作しました-
投稿者: 優希
2.優希1
 「ふぅ…」



 思い出していた。何年前だろう、名前は何だっただろう。掲示板で知り合い、迎えに来てもらった車はネイビーのレガシィだった。冬の夜遅い寒さから、エアコンの効いた車内の暖かさ。

 「こんばんは」
 「こんばんは、初めまして」

 あたしは、なるべく喉を震わせないような優しい声で挨拶した。もらっていた画像と同じだけど、動きや声音、体温で立体化したちょっと違う感じの相手。あたしはミニスカートがはだけてしまわないようにお尻からシートに腰掛けてから、脚を車内にしまっていく。エナメル光沢のヴェルニを膝の上に乗せ、もう一度運転席を見る。今晩の相手の横顔。あたしのこと、どう感じたんだろう。

 送っていた画像はたくさん撮った中で、写りの良かったものに肌の明るさを修整している。そして角度が変われば、それ以上に実際がイメージと違うかもしれない。幻想を抱き性欲にかられメールしたものの、実際会って後悔していないかな。あたしは手元に視線を落とし、買ったばかりのネイルチップを確認する。カーナビの明かりに浮かぶ、普段より華奢に見える指。

 「ゆきさん、美人ですね。」
 そう言われて、ふっと気持ちが落ち着く。大丈夫、心配しなくてもよかった。顔を上げ右を覗くと彼と目が合った。お互いの表情がわずかに緩む。

 「で、どうしましょう?」

 そんなこと訊かれても困ってしまう。あたしの方から、ホテル行こうなんて言いづらい。それでいいから会ったのだ。こういうときは、ホテル行きたいけどいいよね? くらい、あたしは頷くだけでいいような、ちょっと強引にリードして欲しいのだ。そういうことだけを目的とした淫靡な部屋で、優しく肩を抱かれ、蕩けるようなキスをし、首筋から胸、脇腹、腿の内側と愛撫され、下着姿で抱き合い、一緒に高まっていきたい。そんな思いを表に出すような言葉を、あたしから出すのにはためらいがあった。

 「軽くドライブでも…。」そう答えると、

 彼は「そうですね。」と言い、シフトレバーを動かし、サイドブレーキを下ろすと車を発進させた。ブラの下でドキドキしていた心臓が、少しずつ穏やかになっていく。窓ガラスの外に流れる夜の明かり。赤や黄色の光と、カーステレオから流れるラジオがリンクする。DJの読み上げるリスナー投稿。あたしたちは、こうやってよく会うのとか、お酒が好きかとか、饒舌でも途切れがちでもない程度に話を交わす。ふわりと柔らかく香っていた、会う前につけた香水が、しっとりと甘くあたしを包んでいく。ロードサイドに照らされたホテルの看板が現れるたびに、どうするんだろうと思い出し、時々隣に目をやる。


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2018/02/18 11:10:39(/9LPqjVZ)
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