時計を見ると17時ちょっと過ぎていた・・・
チェックアウトして車の前で恭子は
「お兄 運転して・・・」
と言った。
「あぁ いいよ」
と言って運転席に座る。
エンジンをかけて外に出たが・・・
ふと考えて車を路肩に停めた・
「どうしたん? 忘れ物?」
「いや・・・新大阪から乗るわ・・・お前の家の近くで降りるわ」
「なんで? ええよ 遠いやん」
「お前・・・ ちゃんと運転できんのか?」
「できるわ!」
「まぁええやん もうちょっと一緒におろうや」
「新幹線の時間大丈夫なん?」
「大丈夫 1号線でええんやろ? 道教えてな」
「うん」
小さい音で音楽をかけて暫く走って呟くように
「送ってくれて正直助かったわ・・・」
「うん・・・そやろ?」
「ちゃんと運転する自信ないわ・・・」
「・・・」
「なんか・・・」
「家に帰りたくないなぁ・・・」
「家の者はなんも知らんからな・・・お前が普通にすんのが一番ええねんで・・・」
「お兄は慣れてるからええけど・・・」
「考えたらドキドキしてきたわ・・・」
「近くのコンビニで降りるから一服だけして落ち着いて帰んねんで」
「長く休憩したらあかんで いつまでも帰られへんようになんで」
「そんなん言うてもできひんわ・・・」
「どうせ俺の事 色々聞かれるんやから 俺の悪口言うとったらええねん」
「俺の悪口やったら一杯あるやろ?(笑)」
「あるけど・・・」
「あかん! お兄の悪口考えたらさっきの事思い出してきた・・・」
「ああぁぁ・・・!」
途中 渋滞もあって近所のコンビニには19時過ぎに着いた。
俺もあまりゆっくりしてられない時間というのは恭子もわかっている。
「じゃあ・・・帰るわ・・・」
「うん・・・メールするな・・・」
「うん・・・気いつけろよ・・・」
手をギュっと握って車を降りて 角を曲がる前に振り向いた。
恭子は小さく手を振っていた・・・
※元投稿はこちら >>