世間一般で言えば間違っていることは分かってる。
でも抑えられない。
ずっとずっと母の事が大好きで愛している。
ひとりの女性として。
父は俺が小学校の時に居なくなった。
後で聞いた話だと会社の若い女性と浮気して子供を作ってしまったそうだ。
父は俺と母を捨ててその女性と再婚した。
あの時の母の辛そうな、悲しそうな顔を見てから俺は決めた。
俺は母のそばにずっといる。
母の事は俺が守る。
それから母の顔に笑顔が戻るように俺は頑張った。
勉強も頑張ったし母が笑って明るく過ごせるように努力した。
幸い、金銭的には母の実家が裕福な方だったから苦労はしなかった。
徐々に明るくなっていった母の姿に俺は嬉しくなった。
毎週のように母とデートした。
母からすればただ息子と出かけてるだけだったかもしれない。
でも、俺からすればそれは好きな女性とのデートだった。
春は桜を見に行ったり、夏には海に出かけたり。
秋は紅葉を、冬はスノーボードに温泉。
普通なら同年代の女の子とする様なデートだと思う。
でも俺は母と一緒が良かった。
一緒に手を繋いで歩いた。
「大好きだよ」「一緒に居るよ」そう言って何度も抱きしめた。
母がどういう気持ちで俺の行動を受け止めてくれたかは分からない。
でも母は俺が抱きしめるといつも「ありがとう」そう言って抱きしめ返してくれた。
何度もそれが繰り返される日常の中で俺は母にキスをした。
最初は頬に、そして何度目かのキスは唇に。
その頃の俺は母より背が高くなってた。
唇にしたキスの後、驚いた顔をした母は俺の胸の中で俯くように「…ごめん」って謝った。
「何で謝るの?」そう聞く俺に母は「これは…親子じゃなくて恋人にするキスかなって」
「俺はお母さんの事が好きだからいいんじゃない?」わざと軽く言った俺に俯いたまま無言の母。
「ちなみに俺のファーストキスです」そう言った俺に対して母は「そっか…」そう言って顔を上げた。
俺を正面から少し見上げる母は少し泣いてるみたいだった。
母がどういう感情になってるのか分からなかったけどその顔を見て俺はまた唇にキスをした。
一瞬俺から離れようとしたけど抱きしめたままキスをすると力が抜けたように受け入れてくれた。
そのまま、抱き合ったまま何度も何度もキスをした。
一度受け入れてもらえたと思えば遠慮する理由は無い。
それからは毎日、母の姿を見かけるたびにキスをした。
ある日、母と映画を見ていた。
母は恋愛映画が好きでその日もソファーに座って俺に寄りかかるような恰好で一緒に観ていた。
後半、キスシーンが画面に映し出された。
抱き合い、舌を絡めていくような少し濃厚なシーン。
俺はそれを見て少し興奮した。俺も母と…そう思って。
そっと母を見ると俺が見ていることに気が付いた母と目が合った。
優しい母の笑顔を見た瞬間、俺は手の平で母の頬に触れた。
そして顔を近づけてキスをした。
いつもの唇が触れるだけのキスじゃなくて恐る恐るだけど舌を出して。
母の唇に触れた瞬間、母がビクッと体を震わせた。
怒られるかな、そう思ってこの先どうしようか迷った俺の舌の先に母の唇じゃない感触が触れた。
驚き、そしてそれが母の舌だと気付いた俺はもう本能のままにそれを味わっていた。
今まで観ていた映画の様に母を強く抱きしめて母の唾液を味わうように舌を絡ませた。
そのままソファーに押し倒して深いキスで母を味わい続けた。
名残惜しくも母から離れた時、映画はもう終わっていた。
俺はその日、母で童貞を捨てた。