「……あなた……」
予想だにしなかった夫の出現に、亜由美は動けなかった。
昇一はずかずかとベッドに近寄る。
驚いて動けずにいる隆昭の顔を、昇一は思い切り拳で殴りつけた。
元々が華奢な隆昭は、体格の良い昇一に殴られベッドから勢い良く転げ落ちた。
鼻血を流している。
昇一は隆昭の顔を蹴った。
呻きながら、隆昭は自分の顔を両手で覆った。
昇一はがら空きになった隆昭の腹を蹴った。
隆昭はからだを丸めて腹を守る。
昇一は隆昭の背を蹴った。
半屹ちのおとこを剥き出しのまま、隆昭は動かなくなった。
「あなた! 止めて! お願い、止めて!」
亜由美はベッドから下りると、昇一の腰にすがった。
昇一は亜由美の頬を力任せに張った。
亜由美は床の絨毯の上に転がる。
「何が止めてだ! この別荘はお前のスケベ宿じゃないんだぞ!」
昇一は亜由美に向かって怒鳴る。
「お前のやる事為す事はな、全部お見通しなんだよ! この雌豚が!」
昇一は言うと、亜由美の腹を蹴りつけた。亜由美は激痛で気を失ってしまった。