夜も更けた頃、送迎の用で出ていた。
久しぶり、折角の1人ドライブ、ただ帰るのもつまらないので、マッタリ山散策して帰ろうと、市街地から北へ。
前に路線バス。合わせながらマッタリ。
後ろに何か付いた。ミラー越しに見てみる。軽バン?のようだ。妙に詰めて来る。
…不快。前見てわからんのか
バスが終着ロータリーで外れる。
…ここから峠越えまで完全山道、欝陶しいからチギろぅ
譲る気ゼロ。
エアコン、車内照明OFF、BGMはTOPGUN、GO!
ベタ踏み。対向二車線、センターは割らない。
高重心につき、ロールG掛かりまくり。カーブは開けながら回頭、二輪からの癖。
向こうも加速してくる、が、付かれない自信はそれなりにあるつもり。
山岳道、ロールギリで、60チョイが上限。
滑るスベる(笑)
後ろは…相当のハイペースだが20mは離している。しかし…
カーブでミラー内の灯火が消え、再び映り込んでくるタイミングが殆ど変わらない。
ほぼノンブレーキのこの子について来れる?
ここで頭を過ぎるのは、
…この辺り、出るんだよな…こんなヤツ(鹿)とかあんなヤツ(猪)とか…
HIGHビームにしているとはいえ、曲がりくねった路のため、開けてもせいぜい50mくらい。60kmで、前方にいたら、即OUTだ。
峠頂上手前で少し道幅が開く。
…今迄はツイてたんだ、ここからは先に出そう
ハザード、寄せる…
すぐに追い付いてきて、チョッと躊躇したような感じで、抜いて行く。
……へ?
軽トラ、しかもダンプキャビン…
……へぇ………
抜かれ様発進、すぐ後ろに付ける。
すると…
イキナリ減速してきて目前でハザード2回!
え゙!?
もしや…まじですかっ!?
即座に意味がわかってしまう残念な自分。
なにをトチ狂ったのかまさかの挑発。
後ろについていたならこのクルマが何で、更に子供&椅子マークが貼ってあるのが見えてただろうに!
どこのバカだか知らんが挑戦されたからには受けて立つ!
パス2度打ちして乗ってしまうバカがここにもう一人。
途端、急加速。
このすぐ先、峠下り京都側は、完全ギリ1車線、右岩盤山肌、左ガード+崖。
直進区間、下り勾配、超狭路。
……このまんま、突っ込むのかぁ
突入。
車間は、マージンギリの1,5m、直後に付ける。
メーター指針は50少し。
……これ、50で下るのかぁ…スゲェ…
ベタ付けしていながら何だが、敬服。
回頭時、制動灯が一度だけ、光る。
…完全に身体で憶えてるんだなぁ
それはこちらとて同じだが相手は挙動からして間違いなくMT。
こっちはターボ車とはいえ1tはある高重心ハイトワゴン。バリバリドノーマルのファミリーカー。イマドキのエセシフトもないただのCVT。
先行のシフト、減速タイミングを頭の中でトレースしながらなんとか離されないようついていく。
分が悪過ぎるが負ける訳にはいかん。
漆黒の闇の中、狂気の二台が、下る。
こんなコトが出来るのは、馬鹿か大物で、この場合は明らかに、前者。
筋金入りのバカ二人。
長く、短い峠抜けが終わり街が開ける。
終了。
ドロー。
先行、減速しながらハザード2回。
パス1度、ホーン1打で返し右折して離脱。9号老の坂方面へ。
奴は農道の闇へと消えて行った…
昭和は既に去り、平成も終ろうかという今、こんな目に遇うとは夢にも思わず。
タイムスリップでもしてきたかのような感覚を味わった。
もうやらないぞ。