不妊治療、出生前診断。長い年月をかけてそのすべてを見て、体験した。
いい歳して、子供はまだいらないかな、なんて考えている連中。歳があがるほどに膨れ上がるリスクを知らない。表に出ないネガな事実、統計。年寄りのたわ事だと邪険に思うだけだろう。
出生前診断認可の拡大、歓迎する。限られた未認可のそれをしてくれる一握りのそこに、日本全国から妊婦が集まっていた私達の時代と違い、今は公認で受けられる。
命の選別
その異常が判明した場合、是非はあくまで当事者が決めること。
外野がとやかく言う資格はないし倫理観がどうたらとかどうでもいい。
ただ当事者が選択出来るように制度を整備すればいい。
長年NICU勤務だった妻は染色体異常だけはどうしても産めない、と言った。
生まれた当人はもちろん、周囲もどれだけの暮らしを迫られるか、何十何百、嫌というほど見て、世話をしきたそのプロが。
どういうことなのか、はネット時代なので割愛するが、その決意を遮ることは誰にも出来ない。
検査を受けてみた方がいい、と言われた時。
検体を送り、結果が出るまでの数日間。
どんな気持ちで過ごすことか。
判定を知り、安堵に抱き合い、嗚咽する人。
我を忘れるほど取り乱し、泣き叫びながら抱え出される人。
たくさん見た。
半端に医療が進歩してしまったために、本来なら自然淘汰の対象となったはずの命。
選別否定派は綺麗事しか吐かない。
異常有りで生まれたとして、育てるのは誰か。周囲の協力はあくまで協力。
リハビリと称した、ただ寝たきりの硬直を防ぐためだけのそれ。生まれ出てから何十年も特殊校の空きを待ち続ける青年。病棟を出ることはない可愛い女の子。育児放棄。
信念があるなら産み育てればいい。
私見はデメリットしかない。
物?のように見ているのではない。
世話に自信がなければ育てられない。子も親も、人生すべてを掛けることになる。
その覚悟は、並の精神では持てない。
命の選別。
誰も責めることなかれ。